2023.10.26

CARS

「これほど内燃機関の喜びを全身で体感できるモデルはない! by 武田公実」 総合第9位は? 自動車評論家41人が選んだ「2023年いま買いたいクルマのランキング!」

第9位にランクインしたのはこのクルマ!

全ての画像を見る
雑誌『エンジン』の大人気名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」。今年のテーマは原点に帰って僕たちクルマ好きの欲望を一番刺激するクルマ、愛することができるクルマは何かだ。41名のホット100選考委員のジャーナリストと編集部員、そして今年はEPC(エンジン・プレミアム・クラブ)会員も加わって、2023年の今だからこそ買いたいと考える20台にポイントをつけて投票し、新車で買える注目の100台を選んだ。まずは2023年版のホット100に選ばれた上位20台をカウントダウン形式で発表する。第9位に選ばれたのはこのクルマ!

第9位は、BMWアルピナD3S/B3! 165pt

昨年の6位から若干のダウンとはなったものの、今年もベスト10内にランク入りを果たしたBMWアルピナD3S/B3。自動車については守旧派を自認する筆者ながら、特にディーゼル版のD3Sについて高く評価しており「6気筒ディーゼル+ツインターボのサウンドや加速感は、往年の名作B10ビターボを連想させる。今、これほど内燃機関の喜びを全身で体感できるモデルは、ほかにはないかもしれない」との添え書きをつけ、自身の第1位に推挙させていただいた。



しかし「ガソリンとディーゼルのどちらかを選ぶのか難しい」(飯田裕子)という見方についても、全面的に支持したいところだ。今や完全に身内となったライバル、BMW M3と同じS58型エンジンをベースとし、M3の510psに限りなく近づいた495psのパワーを誇りつつも、そのフィールはとても滋味深い。「乗り心地はミニ・ロールスロイス、性能とエンジン・フィールはもはや“M”」(西川淳)という識者の意見にも、B3Sのソフィスティケート度合いは裏づけられている。

そして「アルピナ・マジック」という、いささか使い古された感もある言葉に形容される、素晴らしいサスペンションのセットアップについては、「“最後のエンジン車”として乗りたくなるほど甘美なパフォーマンスと超快適で上質な乗り心地」(金子浩久)という評価のごとく、常に賛美され続けてきた。

ボーフェンジーペン家のファミリー・ビジネスだった従来のBMWアルピナは、新興国マーケットの嗜好に合わせた「わかりやすい魅力」が必須条件となっている現在にあっても、徹底して玄人好みに振り切ったクルマ作りを身上としてきた。さるエンジン・プレミアム会員の方がいみじくも述べられた「ワインのように熟成されればされるほど、乗れば乗るほど魅力が増してくるクルマ」というコメントは、実に的を射た秀逸なものと感じられる。

そういえば、ボーフェンジーペン家のアルピナは、ワインの輸入・販売の分野においても、既に40年以上の実績を上げてきているという。そして現在もなお、彼らにとってのクルマ作りには、ワインのごとき熟成が重要視されているのだろう。

ここで気になるのは、BMWグループに収まった、今後のアルピナのあり方についてである。ご存知のとおり、創業以来のフォーマットによるBMWアルピナは、名実ともに親会社となったBMWの意向により、2025年をもって終焉を迎えることが決定しているという。「今しかない、とは言いたくないが、今後の行方が定かではないゆえ一番気になるブランド」(高平高輝)というコメントにも表されているように、これまで数多くのコニサー的愛好家を魅了してきたBMWアルピナの世界観が、今後どのようなかたちで体現されていくかについては、誰しも不安と興味が尽きない。

でも、あるいはだからこそ、BMWアルピナ終幕の数年間を牽引すべく、長年継承された哲学を遵守し続けているD3S/B3こそ、アルピナを依然としてHOTたらしめているモデルと確信できるのだ。

BMWアルピナDS3リムジン
全長×全幅×全高=4725×1825×1440mm。ホイールベース=2850mm。車両重量は1890kg。水冷直列6気筒ディーゼル・ターボは最高出力355ps/4000~4200rpm、最大トルク730Nm/1750~2750rpmを発生、8段ATを介し、後輪を駆動する。車両価格=1220万円~

文=武田公実 写真=茂呂幸正

BMWアルピナD3S/B3には13人が投票!
菰田潔20pt+武田公実20pt+石井昌道19pt+斎藤聡18pt+村山雄哉16pt+高平高輝13pt+日下部保雄11pt+飯田裕子10pt+西川淳9pt+金子浩久8pt+大谷達也7pt+桐畑恒治5pt+佐藤久美3pt+EPC6pt

アルピナD3S/B3に投票した上位5名のジャーナリストの「マイホット20」はこちらでチェック!
◆「長く付き合えれば愛する気持ちも湧いてくる!」 いま自動車評論家が本当に欲しいクルマはこれ! 菰田潔が選んだマイホット20 1位は極上な乗り心地のドイツのあのクルマ
◆EV回避、MT大歓迎! 自動車評論家の武田公実が「エンスー目線」で選んだ今欲しい20台がこれ!! 1位はドイツの特別な乗り味のあのクルマ!
◆「ドライビングで幸せを感じられることが最優先!」いま自動車評論家が本当に欲しいクルマはこれ! 石井昌道が選んだマイホット20 1位はフランスのあのスポーツカー
◆世界で最もコントロールしやすい1000馬力とは? 自動車評論家の斎藤聡が選んだ今欲しい20台がこれ!! 1位はイタリアのプラグインハイブリッドのスポーツカー!
◆まだ身銭を切る資金がないので夢ですが! エンジンHOT100委員がいま本当に欲しいクルマ20台を選んだ! 23歳最年少集部員、ムラヤマの第1位は?

(ENGINE2023年9・10月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement