2023.09.13

CARS

ヤフオクで7万円のシトロエンを落札し、200万円をつぎ込んだエンジン編集部ウエダのエグザンティア、アルデンテだった足がフワフワに復活!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#25】

納車から1カ月は絶好調。ただしサスペンションの問題を除けば、だが……。

全ての画像を見る

advertisement


ハード・ロックな状態

本来、この時代のV-SXというグレードのエグザンティアやXMのハイドローリック回路、“ハイドラクティブ2”は、デフォルトの状態はソフト(カタログなどの記載はノーマル)・モードのはずで、車速、スロットル・ワーク、ブレーキ圧、操舵角や操舵速度、車体状況など、ある一定の条件を満たすか、センター・トンネルにあるボタンを押すとわずか0.05秒でハード(カタログ記載はスポーツ)・モードに切り替わるはずだ。しかし現状、フロント側はどうにもソフト・モードとは思えない硬さだし、ボタンを押しても何も変化が感じられない。

センター・コンソールのシフト・ノブ後方にあるサスペンションの切り替えスイッチ。通常時はソフト・モードで、スイッチを押し、ランプが点灯すればハード・モードに切り替わるはずだが……。

簡単に機構を紹介すると、ハイドラクティブ2は左右輪とその中央の、前3つ、後3つ、それぞれのLHM量とスフェア内の窒素ガスの総量で決めているダンピング・レートを、中央のスフェアへ繋がるLHMのラインをせき止めるか、流すかで、ロールの制御を硬軟2段階に切り替えている。

作動の手順は以下の通りだ。ドアを開けるとECU(電子集積回路によるコントロール・ユニット)は、前後中央2つのアディショナル・スフェアの根元にあるエレクトロ・バルブに電源を流し、バルブを開く。LHMはこのスフェア内を自由に流れることができる。これが柔らかい状態、ソフト・モードだ。しかしECUが各種情報から足まわりを引き締めるべきと判断した場合、もしくはセンター・コンソールのボタンをドライバーが押した場合は、エレクトロ・バルブへの電源がカットされ、バルブが閉じ、スフェアへのLHM流入も止まる。これが硬い状態、つまりハード・モードだ。

この切り替えが固定されてしまうからサスペンションのロック、つまりサス・ロックと呼んでいるワケである。主な原因はハイドラクティブ2を司るエンジン・ルーム内のECU内のトランジスタが、想定より大きな電力が入るオーバーロードで焼けてしまうせいらしい。そうなると硬い方に固定、つまり“ハード・ロック”状態になってしまう。

やっとハイドロ・シトロエンの本領発揮?

2022年4月28日、僕はランチアYと初代ルノー・カングーに乗る荻原一家を取材で尋ねるついでに、ほぼ1カ月ぶりにカークラフトを訪れた。

おそらくエレクトロ・バルブに電気が来ていないのでは? という予測の元、まずセンター・コンソールのスイッチを外して導通を確認すると、作動を示すランプだけは点灯するが、やはりバルブへの通電は途絶えていた。

整備マニュアルによればECUは、最初に12Vの電圧をエレクトロ・バルブへ送り込み、その後5Vへ変化しつつ、バルブを開けたまま維持するのが正常のようだ。とりあえずECU内部の検証は時間が掛かるので、この日はテストということで、試しにヒューズ・ボックスから取り出した電源を、配線を追加してエレクトロ・バルブに直接、流してみることにした。

エンジン・ルームに向かって右側にあるヒューズ・ボックスからサス・ロックの問題検証のため配線を追加し電源を取る。

するとどうだろう。フロント・サスペンションの動きが、あのフワフワな感じに戻ったのが、もう本当に走り出した瞬間から分かった。思わず口元がにやけてしまう。

うん、これよこれよ、これなのよ! これじゃなかったら、ハイドローリック・シトロエンじゃ、エグザンティアじゃないんだよ!! やっぱりこうでなきゃ!

いやはやこれで一安心、といいたいところだが、このままでは不味い。フロント側がこれまでと逆にソフトな状態でロックし、リアが状況によってソフトとハードを切り替わることになる。根本的な解決にはなっていないのだ。

そこで足まわり以外の不具合の洗い出しもしつつ、さらに翌月、念のため前オーナーから譲り受けていた予備のECUも持ち込み、カークラフトで再度検証作業を行うことになった。次回はこのサス・ロックの解決篇と、1カ月の間に見つけた、細かな不具合の修復作業の様子をお届けする。

※今回の修復内容と費用
・サスペンション・ロックの検証、
 センター・コンソール・スイッチ分解、導通確認、
 フロント・エレクトロ・バルブ導通確認、
 ダッシュボード下部分解、点検        次回持ち越し
・追加配線部品代               次回持ち越し
・エンジン・ルーム内燃料ホース漏れ、交換   次回持ち越し

■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2022年4月時点までの整備の支払い総額は216万9326円)
導入時期 2021年6月
走行距離 16万329km(購入時15万8970km)

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=カークラフト/上田純一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

◆エンジン編集部ウエダのシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート連載一覧はコチラ
ヤフオク7万円25年オチのシトロエンの長期リポート連載!

◆ちょっと古いクルマ趣味を愉しむ人たちのリポート一覧はコチラ
ちょっと古いクルマが面白い!

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement