2023.09.05

CARS

ポルシェ964、993ってどんなクルマ? ナローから993まで空冷モデルにイッキ試乗!【911誕生60周年記念エンジン蔵出しシリーズ#1 後篇】

「最良」と「最高」は別物だ

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スズキ 993をはじめてドライブしたときは、やっぱり「最新は最良」だとは思った。964ターボで取り入れた合理的な開発・生産法は、993で大々的に使われている。

吉田 ステアリングもクイックになって、パワステもうんと軽くなった。微妙なステアリング・フィールやエンジンの味わいという意味では、964のほうが深い。でも、限界は確実に高くなっている。スズキ 箱根でテストしたときも、993は荒れた路面でもはっきりと落ち着いていて速かった。―ただ、順番に乗っていくと、993は996の原点という感じ。

993 カレラ(1997年式993カレラ/3.6リッター) いわずとしれた最後の空冷911。特徴的なヘッドランプはついにスラントしてフェンダーの峰は低くなり、リアのマルチリンク・サスペンションを包み込むヒップ幅もついに1.7m超に。排気量は3.6リッターのままだが、後期のヴァリオラム仕様はじつに285ps。

吉田 そうそう。エンジンこそ空冷だけど、クルマ全体は964より996に近い。ナロー以降のライトウエイト感がどんどん薄れて、この993で完全に脱皮してしまった感じ。リヤ・サスペンションがマルチリンクになったのも、ここからだ。

ーースズキさんも吉田さんも、993に964以前ほどの思い入れが強くなく聞こえるのは、気のせい?

スズキ このカッコウは中途半端だと個人的に思うけれど、今の感覚で空冷に乗りたい人には好適だよ。

吉田 993はスタイリングが半端にモダンだけどサイズ的には空冷ボディだし、それでいて感触がデジタルっぽいから、比較的若くて空冷に乗りたい人には向いているかも。でも僕くらいのオールドボーイになると、スタイリングもドライビング感覚も964の方がしっくりくる。





スズキ
 クルマにあるレベル以上の興味と知識がある人にとって、空冷911はやっぱり欠陥車なんだ。

吉田 空冷もリア・エンジンも、軽量化や信頼性、トラクションという意味で、50年前は合理的だった。

スズキ でも、社会の飛躍的進歩と高速化のなかで、911はその根本を常に直されなければならなかった。いっぽうで、そこが911のダイナミズムをもっとも強く感じさせるところでもあって……。

吉田 911の歴史はそういう異端な部分を是正してきた歴史でもある。だから、911は新しくなるごとに大きくなって、合理化されて、薄味になる部分はあるんだけど、クルマとしては確実に良くなってきた。

スズキ 911はもっとも実用的なスポーツカーであり、優秀なグランツーリスモであり続けてきた。

吉田 だから、時代を追うごとに快適で乗りやすくなっていくのは、911にとって間違いなく進歩。

スズキ ただ、あらためて乗ると、それぞれの時代の911には、他をもって代えがたい固有の魅力がある。ひとつひとつの911が、その欠点にもかかわらず、おおいに魅力があった。今日は本当に楽しかった。

吉田 機械や商品としての「最良」と、ひとりひとりにとっての「最高」は別物だ。911に乗ると、それがよくわかる。

話す人=吉田 匠+鈴木正文(ENGINE編集部) 司会=村上政(ENGINE編集部) まとめ=佐野弘宗 写真=柏田芳敬 車両協力=ミツワ自動車株式会社

(ENGINE2012年2月号)
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