2023.12.03

CARS

【超保存版】8歳でお父さんが乗るジュリエッタに恋したのが始まりだった 世界に名高いアルファ・コレクターの愛と情熱の私設博物館とは?【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇】

世界的なアルファ・コレクターとして有名なジッポ・サルヴェッティさん。これまた有名なアルファのクラブ、「アルファ・ブルー・ティーム」の発起人でもある。

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気が遠くなるような回数になる。クラブ員は今、何人いるのだろう?

「全部で28人さ。そのほとんどが毎週集う」と、当たり前のように言う。会員になるには厳しい条件があるのでしょうね、と尋ねると。「会長の僕とお金を出し合ってアルファ・ロメオを1台買い、共同所有すること、それだけだよ。出資額は50%でも15%でもいいんだ」。

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アレーゼで最後に作られたアルファ164の後期型Lもいたりして。あれは乗ると楽しいクルマだったなぁ。


それだけですか? と訊くと、にこやかに笑みを浮かべてこう続ける。

「そうだ、忘れていた。男性であること。女人禁制だ。たまにパートナー連れでというのはあるから、それは許されている。それと“禁煙”を口に出すことはご法度だ。それと、アンチ・アルフィスタは立ち入ることも許されない(笑)」

と、ジッポさんの携帯電話が鳴った。イタリア語でなにやら相談にのっているいる様子。なんだろう? という顔をしているのが見透かされたのか、すぐに教えてくれた。

「息子が家内とアルファ6(セイ)で出かけているんだが、ドア窓が上がらなくなったといってきた。セイはもともと、パワー・ウィンドウの動きが遅いんだが、たまにそういうことも起こるのさ。すぐに直る。セイは部品取り用も必要だから、9台あるかな(笑)」

どこまでも、こともなげ。年季が違う。微塵も動じていなかった。それにしても、ジッポさんの戦後の量産市販アルファのコレクションはすごいですねぇ、と話を向けると。

 2階へ上がると、またまた……。ジュリエッタやジュリアのベルリーナがいっぱい。50年代、60年代の戦後黄金期のアルファがこれでもかと並びます。中には初めて知るクルマも。

「メインの地上階は便宜上、アルファ・ブルー・ティーム、地下は“マイナス1”、マゼラーティの隣に置いてある一群は“ゼロ”と呼んでる。それらを足すと、アルファが119台。ティームのメンバーでスイスにコレクターがいるのだけれど、彼のところが“ウーノ”。僕が田舎に置いてある30~40台が“ドゥエ”だ」

そうでもしないと、どこに何があるのか示すのだって難しそうだ。ジッポさんは、これだけの数のアルファをグッド・コンディションに保っておくために、腕っこきのメカニックも専任で雇っている。そういえば、たしかに旧いマゼラーティが何台か置いてありましたね、と問うと。

6C(チリンドリ=気筒)2500Sベルリネッタ・ピニンファリーナ。アルファの盾はないけど、美しいばかり。

「アルフィスタというのは、すなわちアンチ・フェラリスタでもあるのさ。兄といっしょに古い8気筒マゼラーティのロードゴーイング・カーを集め始めたんだ。それでさ。まだ数台だけどね。旧いフェラーリは乗った感じがどうも自分には合わない。でも、マゼラーティはOKだ。自分に合わないといえば、戦前のアルファもそうなんだよ。肌に合わない。アンティークには向いていないんだろうな。ま、戦前のアルファはどのみち値段が高くて手が出ないし」

でも、ここへ入ってすぐの所に、素晴らしいベルリネッタ(クーペ)がありましたけど、と言うと。

「あれも戦後だ。お気に入りの1台さ。1947年の6C2500Sベルリネッタ・ピニンファリーナのことだろ。後に出たSSと同じ3連キャブレターが付いている。世界であれ1台きりなんだ」

コレクションの先頭を飾る逸品というわけである。他にも思い出に強く残るアルファがあるはずである。

アルファ・ブルー・ティームの毎木曜日の集会場所にしてアルファ関連文献の宝庫。ご自身で本を書くにいたり、出版社まで作ってしまったサルヴェッティ氏。ご子息も書いている。アルファ愛はしっかりと受け継がれているのです。本はいろいろなオンライン・ショップで購入できます。ご興味のある方は検索してみてください。

「2階に置いてある1967年の2600デラックス(ベルリーナ=セダン)は、1979年に僕が結婚する時に買った。83年に長男が生まれ、86年に次男を授かった。どちらも産院へ迎えにいくときに使ったんだ。その時しか使わなかったと言う方が正しいかな(笑)。思い出深いといえば、僕が2台目のアルファとして買ったジュリエッタSZもそうだ。アルトゥーロ・メルツァリオが持っていたクルマなんだが、分かりやすいようにユーロに換算していうと、当時、たったの55ユーロで買えた。買えたんだが、ほとんどフル・レストアに近い作業が必要だった。いい勉強になったよ。クルマをさまざまな側面から深く知ることができた。それ以来といってもいいかな。アルファ・ロメオの書籍や資料、文献に熱心に目を通すようになったのは。クルマは知ってから買う方がいい。いや、正しい。だから、ここにもアルファの文献をこうして置いてあるんだ。自分でもアルファの本を書くようになって、あげくに出版社まで作ったよ。息子が書いた本もある」

それを聞くに及んで、僕はもう、絶句するよりほかなかった。

文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=ロベルト・カール コーディネイト=野口祐子

(ENGINE2013年12月号)

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