2023.11.17

CARS

子供の頃に見た姿が忘れられなくて手に入れた黄色いナローの911T そのままの姿で次の世代にちゃんと自動車文化を継承したというオーナーのオールド・ポルシェ愉しみ方とは?

ドイツから持ち帰ったナローの911Tとオーナーの旦さん。

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デンマークに赴任中にドイツで見つけ日本に持ち帰った911Tに15年以上乗り続けているという旦祐介さんは、オリジナリティを維持しながらも積極的に乗って楽しんでいる。ちょっと古いポルシェが大好きなモータージャーナリストの藤原よしおがリポートする。

スキーを背負った911

“ナロー”と呼ばれる世代の中でも2341ccに拡大された空冷フラット6を搭載したモデルは、初期の911の完成形といえる。

旦(だん)祐介さんが所有するライトイエローの911Tは、エンジン・オイルの給油口が右フェンダーからエンジン・ルーム内に戻った1973年のFモデルで、しっかりと走り込まれている様子が好ましい、オリジナリティの高い1台である。

「ランボルギーニ・エスパーダ、アストン・マーティンDB5など、まだ乗りたいクルマはいくらでもある。僕には長いリストがありますから。それが生きるエネルギーです」と旦さん。軽整備は自分で行うが、日本に持って来て以降、難しいところは東京の瑞穂町にあるポルシェのスペシャルショップ『FUNTEC』の溝部篤宏さんにお願いし、好調を維持している。オーバーライダーのラバーは73年US仕様の特徴。

「最初からナローが欲しいと探していたのですが、一番の理想はショート・ホイールベースの初期型。あとはどの年式でもいいけど911Sでした。でも予算的にコンディションの悪いSを買うくらいなら、程度の良い他のモデルを買った方がいいだろうと。じゃあなぜ911Tにしたのかというと、ベース・モデルの911Tはレースに出る人のために用意されていたという話があります。そこがS以外で乗るならTがいいと思った理由です」

そう語る旦さんがクルマ好きになったのは、子供の頃の原体験が大きいという。

「父の仕事の関係で1960年代に4年間、小学校4年生から中学2年までイギリスに住んでいました。ロンドンのちょっと北のリージェンツ・パークのあたりだったんですが、フェラーリ330GTCとか非常にたくさんの良いクルマを路上で見ることができて、一時は走っているクルマの名前は全部わかるくらいでした。その中でもお気に入りはジャガーEタイプでした」

そんな折、旦さんは今も脳裏に焼き付いている鮮烈な光景に出会う。

「1969年に学校のスキー合宿で、オーストリアのインスブルックの先に1週間滞在したのですが、ホテルの外にスキー板を背負った911が停まっていたんです。その姿が非常に衝撃的で。今思えば、そこがスタートラインでした」



その後、国際関係論の研究を続けていた旦さんは、しばらくクルマとは縁遠い生活を送っていた。

「大学で教えるようになった1988年に、まだ子供も小さかったので後部座席もある最終型の924Sを買いました。これは10年間に10万km以上乗りました。その後イギリス、オーストラリアを経て、2006年にデンマークのコペンハーゲンにある東海大学ヨーロッパ学術センターの所長として赴任した時に、ケータハム・スーパーセブンを買ったのです」

セブンを買ったのはケンブリッジ大学に客員研究員として赴任した時に知り合った友人の影響だった。

「彼は3台乗り継いだだけでなく、キットから作った経験もあって“クルマの原点はセブンだ”って言うんです。それもあってケータハムの本社に一緒に行って中古を買いました。ちゃんと自分の技術を磨きたいなと思ったし、スポーティに走るクルマには非常に関心があったので、何回かコペンハーゲンから1000km走ってニュルブルクリンクのノルトシュライフェに走りにも行きました」

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