2023.11.17

CARS

子供の頃に見た姿が忘れられなくて手に入れた黄色いナローの911T そのままの姿で次の世代にちゃんと自動車文化を継承したというオーナーのオールド・ポルシェ愉しみ方とは?

ドイツから持ち帰ったナローの911Tとオーナーの旦さん。

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ドイツから日本へ

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セブンを楽しむ一方で、911への思いを募らせていた旦さんは、ベルリン在住でクラシック・ポルシェを得意とするショップを営む渡辺暁雄さんと知り合い、南ドイツにある1台の911を一緒に見に行った。



「2008年のことですね。オーナーは地元の名士で、元々カリフォルニアにあった個体を輸入して、15年くらい乗っていたんだけど、高齢で手放したい、まだ息子は若すぎて危険だから、ということでした。とてもオリジナリティが高かったので試乗して譲ってもらいました」

調子の悪かったインジェクションを直し、しばらくデンマークで乗っていた旦さんだが、日本に帰国するにあたり、ボンネット脇などに出ていたサビを板金して仕上げた状態で持ち帰ろうと、渡辺さんの紹介で南ドイツのアンデ・フォトラーさんのショップに預けることにした。

オリジナリティを保ったコックピットは、ステアリングだけが前オーナーの好みで珍しいブリタニカ製の4スポーク・ステアリングに交換され、レーシーな雰囲気を醸し出している。

「結構オリジナル塗装が残っていたんです。僕はパティナ(古艶)派だから、なるべく触らないで部分補修にしたかったんだけど、どうしても色が合わなくて、オリジナル・カラーで全塗装することになりました」

作業は1年半近くに及び、日本に届いたのは2011年になってしまったが、以来大きなトラブルに見舞われることもなく距離を重ねている。

「好きなところはダイレクトなハンドリングと、しっかりとしたボディ。コンピュータ制御じゃなく、ブレーキ・サーボもパワステもない分、クルマと自分の一体感があって、路面の状態も一つ一つ感じられる。そういう原点の部分は、クルマに求める要素として譲れないところです」



実は911を手に入れたあと、旦さんは渡辺さんの所有していた356SCを譲り受けただけでなく、子供の頃の憧れだったジャガーEタイプ・シリーズ1クーペも手に入れ、今も所有し続けている。

「この2台はドイツ・シュトゥットガルトのガレージに預けてあります。ガレージのオーナーがポルシェ好きで年に2回、仲間を集めて4~5日のツアーを企画してくれるんです。この後も向こうに行って356でアルプスを走ってくる予定です」

そのほか東京のご自宅には911とともにオリジナル塗装のままの1957年型のフォルクスワーゲン・ビートルも収めているそうだ。

「家族が最優先という生活を長く続けてきましたが、子供もみんな巣立ったこの数年で、やっとできるようになったという感じです」

とおっしゃるが、オイル交換をはじめ自分でメンテナンスを行い、磨くよりもしっかりと走らせることに重きを置いている。そこにはモータリゼーションの文化と歴史の研究もライフワークとしている旦さんのこんな想いもこめられている。

「モータリゼーションの文化をちゃんと次に継承したいという気持ちがあります。電気自動車になってもクルマは当分続きますから、できるだけオリジナリティを高く保ってパティナになっても後世に渡していきたい。メーカーが何十万キロも走ってテストして、満を持して世に出しているわけですから、モディファイしたいと思ったことはありません。911はいい。でも356にもまた違う原点の良さがある。2台を通じてそれを実感しました。ポルシェは本当に偉大ですよ」

文=藤原よしお 写真=望月浩彦 取材協力=FUNTEC http://www.funtec-web.com



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(ENGINE2023年11月号)

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