マクラーレン最後の純内燃エンジン車！　750Sの発表に併せて来日したマクラーレンのプロダクト・プランニング・マネージャーの本音とは？

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シェーン・ハーマンさんハーマンさんは愛車の軽量スポーツカーで年に6～8回はサーキットを走るというねっからのカーガイ。

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英国からやって来たサーキットにも足繁く通うという腕利きに“今”と“これから”のマクラーレンについて尋ねてみた。エンジン編集部のウエダがリポートする。

重要視するのはパワー・ウエイト・レシオ

プライシングやマーケティング担当というと、数字に強いリアリストという印象だが、英マクラーレン本社ではそうでもない。プロダクト・プランニング・マネージャー、シェーン・ハーマンさんは、走ることへの情熱を隠さないカー・ガイだ。

BMWで1シリーズやi3に関わり、その後GPS機器で知られるガーミンを経てマクラーレンへ。前職でF1とのパートナーシップも担当したが、やはり今のポジションこそ勝手知ったる場所、と笑みを見せる。

MP4-12C以降、アルティメットなモデルを除き、V8一本でやってきたマクラーレンは、V6ハイブリッドのアルトゥーラを投入し、新たなV8ハイブリッドも開発中。だが750Sは720Sの大改良版で、従来通りの純内燃エンジン車だ。その理由を彼は、棲み分けもあるが、何より軽さと、それがもたらすドライバーズ・エクスペリエンスのため、と語る。「1000psに達する、絶対的なパワーを欲するひともいるが、我々が重要視するのはパワー・ウエイト・レシオ。軽量化こそが運動性能と快適性の両立をもたらす」と断言。そのため素材や機構は徹底して吟味された。ただしクルマとの一体感を損なわないよう、電動油圧パワステなどは残された。「完全電気式の利点は多いが、まだ油圧式の性能、感触や反応に達していない。そうした取捨選択がマクラーレンをマクラーレンたらしめている部分の1つ」なのだそうだ。

シェーン・ハーマンさんハーマンさんは愛車の軽量スポーツカーで年に6～8回はサーキットを走る。ステージは主にブランズハッチ、ニュル、スパというから相当な好きものである。そこでかつてのスポーツ・シリーズのような、現行のGTとは異なるエントリー・モデルの予定はないかと尋ねると、いちクルマ好きとしては魅力的なようだが「エキサイトメントの面から最高速や出力の妥協はできず、コストも含め商業的成立は難しい」とのこと。

シェーン・ハーマンさんハーマンさんは愛車の軽量スポーツカーで年に6～8回はサーキットを走る。ステージは主にブランズハッチ、ニュル、スパというから相当な好きものである。そこでかつてのスポーツ・シリーズのような、現行のGTとは異なるエントリー・モデルの予定はないかと尋ねると、いちクルマ好きとしては魅力的なようだが「エキサイトメントの面から最高速や出力の妥協はできず、コストも含め商業的成立は難しい」とのこと。

いかにもカー・ガイ的な意見と思ったのが、サーキットにおける750Sのパフォーマンスについての話だ。既存のハイブリッド車や、純EVとの差をこう語る。「重量増に伴う運動性能の差はもちろん、750Sは40分連続走行ができ、数分の給油でコースに戻れる。しかし純EVは発熱で走行時間がずっと短く、充電にはさらに時間を要します」

とはいえ近未来のマクラーレンにとって、ハイブリッドが1つの着地点となることは間違いないという。ただし純EVはまだ早い。エンジンの音、振動、感触に喜びを感じる人は多いと笑う。「自分自身も含めて、です。理由はなぜか説明しにくいけれど、好きなものは好き」。

モデル・ライフから推測すると、750Sや今後のLTなどが、シリーズ・モデルとして、最後のマクラーレンの純内燃エンジン車になることは避けられない。750Sは、まさに時代の大きな境目にいる。

文＝上田純一郎（ENGINE編集部）　写真=マクラーレン

750Sは720Sから全体の30％のコンポーネントを刷新。ライト周囲のアイソケットというダクトが細身になり、リア・セクションの変更に伴いウイングも大型化しつつ30kgの軽量化を実現。3994ccのV8ターボは30psと30Nm向上し、ハイパーカーのP1を上回る750psと800Nmを発揮。