2023.12.08

CARS

これが最後の純内燃機関? M3とM3ツーリングに国沢光宏が試乗! BMWのスポーツ・モデルといえば、やっぱり「M」でしょう! 【前篇】  

BMWのスポーツ・モデル、M3とM3ツーリングに試乗!

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十二分にスポーティなM3

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最新のM3はサイズからしてインパクトが大きい! 全長4805mm×全幅1905mm。初代M3は全長4360mm×全幅1675mm。最新のM3を見ると、かつての5と7の中間くらいのサイズである。搭載されるエンジンも今や絶滅危惧種となった3リッター直6のツインターボで、ポルシェ911カレラGTSの480馬力を超える510馬力/650Nmという途方もないパワーを引き出す!



そして「xドライブ」と呼ばれる8段ATの4WDである。M3はマニュアルも後輪駆動も選べない。考えてみれば後輪駆動で650Nmというトルクは、タイヤの性能をはるかに超えていると思う。冷えた状態で少しでもアクセル深く踏もうものなら全くグリップしてくれない。もちろんトラクションコントロールが介入するけれど、パワーやトルクを活かしきれないです。

今回は試乗場所の関係でタイヤが滑るような乗り方を一切していないものの、サーキットで510馬力エンジンをフルパワーにすると、後輪駆動では(100%後輪しか駆動しなくなるモードがある)完全なるオーバースペック。全てのパワーを使い切れないと、やっぱり楽しくない。BMWが510馬力のエンジンを搭載したモデルを開発するにあたり、4WDとしたのは正しいと思う。



とはいえBMWである! 滑るほどのパワーを使わない限り、普通に乗っていると100%後輪のみ駆動している。交差点やワインディングロード、高速道路のジャンクションを走っている時は後輪駆動のまんまだ。そして4WDと言われない限り気付かないだろう。私なんか4WDだと解って乗っていても、全く気にならなかった。追い込んだ時に助け船が出てくるイメージでいいと思う。

ここまで読んで「もうMにマニュアルはないのか?」と思うことだろう。正確に書けばM3だと選べないが、M4ならマニュアルの後輪駆動モデルを買える(今回の試乗車はATの4WDです)。考えてみたら始祖のM3って2ドアセダン。2ドアクーペのM4こそ正当な後継モデルという位置づけなんだろう。マニュアルの後輪駆動については「後篇」のM2で紹介したいと思う。

M3および同ツーリングのインテリア、エクステリアにはカーボン・ファイバー素材のオプションが装着され、見た目もより一段とスポーティになっている。

長い前置きになった。M3から試乗といきましょう。標準車は1410万円で、性能からすればリーズナブルな価格設定だ。テスト車はゴールドのブレーキ・キャリパーやカーボン・パッケージなどが付いており1697万3000円。ドライビングシートに座ると、ホールド感と快適さのバランスがちょうど良い。セミバケットと好みが分かれると思うが、日常使いなら標準に近いシートを選ぶ。

エンジンや足回りを「コンフォート」とし、Dレンジをセレクトして走り出すと、十分にスポーツカーの乗り味である。というかスポーツカーとしても硬め。個人的にはもう少しコンフォートでいいと思うレベルだ。とはいえ良質のダンパーを使っているのだろう。突っ張るような硬さじゃなく、制限速度のクルージングですら十分快適だ。柔らかくすると個性も薄くなってしまうか?

 今回試乗した4台は全て、3リッター直列6気筒ツインターボ・エンジンを搭載する。


このあたりは長年Mを開発してきたチームが決めたのだろうから、尊重したい。実際、走り出した直後から普通のBMWと全く違う乗り味だったりする。M+3桁の数字と組み合わせたモデルは普通のBMWの乗り味の延長になるけれど、Mの後の数字が1つのモデルって完全なるスポーツカーという位置づけ。エンジンもステアリングもコンフォートすらピュアスポーツ・レベルだ。

となればハードな方を試してみたくなる。サスペンションは「スポーツ」の他「スポーツ・プラス」というモードまで選べます。一般道でスポーツを選ぶと、路面の凸凹を上手に探す機械のようになる(笑)。ガマン出来ないレベルでこそないものの、相当の「カタイもの好き!」御用達。というか、すでにサーキット用だ。筑波サーキットのようなコースならスポーツで十分。



スポーツ・プラスをどんな路面で使ったらいいかは良いアイデアがない。滑らかな路面のサーキットを高い速度域で走るような時に使うんだと思う。一方、エンジンはスポーツ・プラスにするとレスポンスや変速タイミングなどを攻めてくれるため、サーキット走行だけでなくヒルクライムのような一般道を使って行う競技に使える。同じセレクト画面で100%後輪駆動も選べます。

使い勝手抜群のツーリング

続いてM3の派生モデルで初めてとなるツーリングである。450馬力エンジンを搭載するアウディのRS4アバントの売れ行きが順調。そこを狙ってきたことは明々白々です。M3のツーリングならRS4アバントを凌駕出来ると考えたんだろう。乗ってみると、公道じゃ450馬力も510馬力もあまり変わらない感じ。両方とも十分以上に速い! 加速のストレスは皆無と言って良い。



どんな場所でもアクセルを踏めば必要なだけの速度を得られる。ステーションワゴン・ボディである必要性なんかないでしょう、とも思えるが、もし自分でM3を買うのなら「ありかもしれません」。M3ツーリングはその気になれば毎日の相棒として使える。コストコやIKEAまで買い物に行きたいし、4WDなのでウインタースポーツの足にもなる。1台持ちだってOK!

その気になったらアクセル踏んでスポーツカー。普段は買い物に便利なステーションワゴン。休日のレジャーも遊び道具をたくさん積めるし、4人家族の荷物を積んで成田空港にも行ける。RS4アバントのユーザーを見ると、皆さんそういった使い方を考えているようだ。M3のツーリング、案外ニーズがあるかもしれません。個人的にはもう少しコンフォート寄りだったら100点です。

◆そして、話はM3本来の後継モデルといえるM4へ! この続きは【後篇】で!!

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正

■M3コンペティション(セダン)
駆動方式 エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高 4805×1905×1435mm
ホイールベース 2855mm
車両重量(車検証) 1800kg(前軸960g、後軸840kg)
エンジン型式 直噴直列6気筒DOHCツインターボ
排気量 2992cc
トレッド(前/後) 1615/1605mm
最高出力 510ps/6250rpm
最大トルク 650Nm/2750-5500rpm
トランスミッション ZF製8段AT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) (前)275/35ZR19、(後)285/30ZR20
車両本体価格(税込み) 1410万円

■M3コンペティション・ツーリング
駆動方式 エンジン・フロント縦置き4WD
全長×全幅×全高 4805×1905×1450mm
ホイールベース 2855mm
車両重量(車検証) 1870kg(前軸950g、後軸920kg)
エンジン型式 直噴直列6気筒DOHCツインターボ
排気量 2992cc
トレッド(前/後) 1615/1605mm
最高出力 510ps/6250rpm
最大トルク 650Nm/2750-5500rpm
トランスミッション ZF製8段AT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) (前)275/35ZR19、(後)285/30ZR20
車両本体価格(税込み) 1420万円



(ENGINE2024年1月号)

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