2024.01.06

CARS

新型マセラティ・グラントゥーリズモに試乗! 世界で一番色気のあるスポーツカー、ついに日本上陸! その走りやいかに?

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ

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新型グラントゥーリズモの最大の特徴は、内燃機関モデルと100%電動モデルが同じプラットフォームからつくられることだ。まずは内燃機関モデルが日本上陸。550psの3リッターV6を搭載するハイパフォーマンス版のトロフェオに試乗した。エンジン編集長のムラカミがリポートする。

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マセラティの色気のオーラ

世界にスポーツカーは数あれど、マセラティのクーペやカブリオレほど、そこに置いてあるだけで周囲に強烈な色気を発散させるモデルはほかにないだろう。そして、その色気のオーラは、新型でも健在である。

試乗車のボディ・カラーはブルー・ノービレ。“高貴な青”ということか。写真=柏田芳敬


いや、それどころか、基本的なデザイン・テイストは、ほぼそのまま引き継がれていると言っていい。やや小ぶりにはなったものの、大きくえぐられるように口を開けたフロント・グリルに、低く長いボンネット。伸ばした位置がピッタリ前輪の中央にくるように寝かされたAピラー。そして、それに続くルーフ・ラインは流れるような美しいカーブを描いてリアエンドへと繋がっていく。

フロント・フェンダーに穿たれた3つのエア・ベントや、サイド・ウィンドウ後端の特徴的なカーブといったマセラティならではのアイコンもしっかりと継承されており、誰がどこから見ても見紛うことなくマセラティだとわかる、そういうデザインになっているのだ。

インテリアはネロ(黒)とアイス(氷色)のコンビ。なんとも言えない色っぽさが、外観にも室内にも漂っている。写真=柏田芳敬


それはインテリアも同様で、これほど濃密に色気が漂う空間を持つクルマというのは、ちょっとほかに思いつかない。試乗車のネロ(黒)とアイス(氷色)のコンビネーション・カラーは、なんとも言いようがないくらいに色っぽく、幸い私のその日の服装はそうではなかったが、もしブルー・ジーンズを穿いていたら乗ることさえ躊躇われるような繊細な美しさを持っていた。

気を使うのは内装だけではなかった。写真でご覧のように、日本のナンバープレートはグリルより完全に下に取り付けられており、随分とパンパーより下にはみ出した格好になっている。三叉の矛の部分にレーダーが仕込まれているためだろう。しかも、先代よりかなりオーバーハングが長くなっているので、ナンバープレートの下部が段差などを越える時に擦りやすいのだという。キーを受け取った時にそう言われて、これは困ったなと思った。いつも使っている会社の駐車場の入り口は、道から歩道に上がる部分に、かなりの段差がついているのである。

写真=柏田芳敬


まるでドイツ車のような安定感

いや、そういう繊細なところも、今に始まったことではない。昔からマセラティは常に気を抜くことができない剃刀のようなクルマだった。たとえば、かつての3200GTなんて、アクセレレーターをちょっと踏んだらファンと物凄い勢いでV8エンジンが吹け上がるものだから、腫れ物に触るようなデリケートなタッチで操作しなければならなかった。ステアリングの操舵感があまりに軽すぎるために、強く握っているとかえって高速道路ではまっすぐ走らなくて怖いと思ったこともある。

しかし、この新型グラントゥーリズモは、走りに関しては、そういう繊細さや不安を感じさせる要素を一掃した、まるでドイツ車かと見紛うようなどっしりと安定した重厚な乗り味になっているのが最大の特徴である。4WD化されたことが、走りに大きな影響をもたらしているのは明らかだ。

 フロントの奥深くに縦置きされるエンジンは、先代のフェラーリ製V8から、マセラティ自製となるMC20ゆずりのネットウーノ3リッターV6ツインターボに変更された。駆動方式が8段ATを介して4輪を駆動する4WDモデルになったことも、大きな変化だ。写真=柏田芳敬

それに加えて、エンジンがフェラーリ製V8から自社製のV6ツインターボになったことも、乗り味を大きく変える要因になっているように思う。F1由来のダブル・チャンバー技術を投入したという、この“ネットウーノ”ユニットは、機械としてとても優秀な、しっかりと下からトルクを出しながらも、回そうと思えばしっかりと上まで気持ち良く回るエンジンだが、官能的と表現するよりも、メカメカしいと言った方がいいようなキャラクターの持ち主なのだ。サウンドも低く唸るようなもので、甲高い雄叫びを上げるようなものではない。

写真=柏田芳敬


ドイツ車のような重厚な走りを持ちながら、見た目はどこまでも色気を発散するイタリアの伊達男のようなスポーツカー。新型グラントゥーリズモをひと言でまとめると、そういうことになると思う。

エアサスペンションを標準装備しているから、乗り心地も換えられるし、段差で車高を上げることもできる。そういう賢さと色気を両立させたところに、このクルマの真骨頂があるのかも知れない。旧型からの乗り換えより、意外にドイツ車から来る人が多いというのも頷ける話だと思った。


文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬

■マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ
駆動方式 フロント縦置きエンジン4WD
全長×全幅×全高 4965×1955×1410mm
ホイールベース 2930mm
車両重量 1870kg
エンジン形式 90度V6ツインターボ
排気量 2992cc
ボア×ストローク 88×82mm
最高出力 550ps/6500rpm
最大トルク 650Nm/2500-5500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エアスプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 265/30ZR20 /295/30ZR21
車両本体価格(税込み) 2998万円

(ENGINE2024年2・3月号)

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