2024.01.05

CARS

もう一度見たい新しいモビリティが目白押し 【ジャパン・モビリティショー回顧録:トヨタ後篇】

2023年に起こった自動車シーンの中で一番盛り上がったものといえば、ジャパン・モビリティショー(JMS)2023の開催を置いてほかにないだろう。東京モーターショーからバトンを受け継ぐ形で4年ぶりに開催された自動車の祭典は大きな成功と共に幕を降ろした。

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トヨタが考える次世代モビリティ

今回はあの興奮をメーカー別に振り返ってみたいと思う。今回は前回に引き続き、多くの車両をひな壇に並べたトヨタ。後篇では電動車とともに出展された次世代モビリティを取り上げる。

ジャパン・モビリティショー2023で電動化への本気の取り組みを印象付けたトヨタだが、ブース内にはジャパン・モビリティショーの名称に沿ったような次世代モビリティの姿も見られた。

ランドホッパー

特定原付、ランドホッパー

たとえば、免許不要の電動パーソナルモビリティを提案する「ランドホッパー」は改正道路交通法における特定小型原動機付自転車、いわゆる特定原付と呼ばれる車両区分を想定したもの。16歳以上であれば運転免許が不要なので、免許返納後の移動手段とすることも可能だ。

前2輪、後1輪として安定感を確保し、シート高は足つきがよく乗り降りしやすいよう低く設定。また、フロントにはチェーンやバネで機械的につないだ左右輪を上下させるリーン機構を備え、2輪や4輪車とは異なる一体感や走りの爽快さを味わえるという。

折りたたみ機構も備え、クルマのトランクに収納が可能。電動自転車よりコンパクトで、電動キックボードより安定性や操作性に優れ、特定原付の新たな選択肢として実用化が待たれる。

ランドホッパー

電動車いすのコンセプト

「JUU」(ジェイユーユー)は、どこでも自由にひとりで移動できることを目指し、走破性を高めた電動車いすのコンセプト・モデルである。特徴的なのが、背もたれ後方に格納されたフリッパーで、これを着地させることで本体の傾きを抑制。自動制御で最適な姿勢を維持し、最大16cmの階段を昇降することが可能だ。

左右の駆動輪には大径タイヤを採用し、段差の乗り越えを容易にしている。後部には多方向への移動が可能なオムニホイール・タイプの補助輪を備え、取り回し性を高めた。駆動系にはクルマで性能が実証済みのモーターを採用し、高い品質と信頼性を確保するという。

将来的には自律運転も想定。ユーザーがクルマに乗り換えた際には自ら荷室へ移動し格納され、降車時には逆に、使用者の手を介することなく荷室から運転席横へ移動するような機能が検討されている。

JUU(ジェイユーユー)

その名はカヨイバコ

ランドホッパーやJUUとともに提案されたのが「カヨイバコ」と銘打った小型ワンボックスのBEVだ。トヨタが自動車工場の製造現場で省資源や効率向上に寄与する運搬用ボックスとして使用している「通い箱」に着想を得た商用バンで、物流や移動販売、乗合車両などにアレンジできるほか、低床を活かして車いすで車内を移動することも可能となっている。

カヨイバコ

新しい操作方法の提案も

身体にハンディキャップを持つ人が運転を楽しめるようなデバイスも興味深かった。「ランドクルーザー250」に実装された「ネオステア」は、アクセルやブレーキの操作を操縦桿風の異形ステアリング・ホイールに統合し、足での運転操作を一切不要にした。これにより足の不自由な人の操作を可能になるほか、運転姿勢の自由度が高くなり疲労軽減も期待できるため、長距離輸送車両などへの応用も視野に入っているようだ。

また、下肢に不自由があり踏ん張りが利かなくても、安定した運転姿勢を保ってくれるキネティック・シートは健常者にとっても快適なシートにつながりそうな技術。こうした使い手に寄り添う中から生まれる真にユニバーサルなデザインやテクノロジーが次世代モビリティに活かされることを楽しみにしたい。

ネオステア

文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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