2024.02.10

CARS

直噴フラット6+PDKを得て登場したボクスターSは、どんなポルシェだったのか? 3.4リッター・フラット6は絶品だった! 【『エンジン』蔵出しシリーズ/ポルシェ篇】

直噴フラット6とダブル・クラッチ式ギアボックス、PDKを得たボクスターS(2009年)

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、タルガ・フローリオの聖地、シチリア島で開かれた直噴フラット6とダブル・クラッチ式ギアボックス、PDKを得た新型ボクスターの国際試乗会の2009年4月号のリポートをお届けする。ボクスターをこよなく愛する『エンジン』編集部員ムラカミによるファースト・インプレッションだ。


タルガ・フローリオの島で

昨年11月にスペインのヘレス近郊で行なわれた新型ケイマンの国際試乗会に続き、フェイスリフトした新型ボクスターの国際試乗会がイタリアのシチリア島を舞台に行なわれた。

ダブル・チューブ式のヘッド・ライトとより大型化された左右エアインテークが新型のアイコン。


シチリア島と言えば、かつてのタルガ・フローリオの開催地。マドニエ山地を駆けめぐる峠道をそのまま使ったこの公道レースが、連続する無数のコーナーと急なアップ・ダウン、狭い道幅と目まぐるしく変化する路面状況から、世界で最も苛酷なレースのひとつと言われたのは、古いクルマ好きならご承知の通りだ。

そして、小さな排気量のエンジンから効率良くパワーを取り出し、軽量でバランスのいいボディと組み合わせたポルシェほど、このレースを得意としたメーカーはなかった。11回の総合優勝のうち、記念すべき初優勝を遂げたのは1956年で、クルマはボクスターのルーツとも言うべき550Aスパイダー。1.5リッター空冷フラット4を積む小さなミドシップ・スポーツカーが、大排気量のフェラーリやマゼラーティ、メルセデス・ベンツといった強豪を抑え、2位に約15分もの差をつけて勝った。

低重心と前後バランスの良さを視覚的にも感じさせるプロフィール。


今回の試乗ルートには残念ながらタルガ・フローリオのコースは含まれていなかったが、レースの主催者であったフローリオ家のワイン工場を見学する寄り道が用意されるなど、ポルシェがかつての栄光にその末裔たる新型車のイメージを重ね合わせようと目論んでいたのは間違いない。

いや、ポルシェの思惑がどうであれ、こちらはシチリアの州都パレルモの空港に降り立つ前から、新型ボクスターに乗るのがタルガ・フローリオの島であることに大いなる興奮を覚えずにはいられなかったのだ。


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