2024.02.12

CARS

中古車買うならオシャレなBMW Z4なんてどうですか? ビックリするほど乗り心地がいい!【『エンジン』蔵出しシリーズ/BMW篇】

スマートに走らせるのが似合ってる、BMW Z4。

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2009年7月号に掲載された、アルミ製のルーフを持つリトラクタブル・ハードトップを採用して、グッとエレガントになったZ4の国内初試乗をお送りする。

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重厚・高級・高性能

BMWの新しい2座ロードスターの車名は従来と同じくZ4である。でも、あの軽くて簡素だったZ3から重厚・高級・高性能にフルモデルチェンジしてZ4になった……という今までのロジックを継承するなら、新しいこれはどう見てもZ5と呼ぶべきだろうに……。



そう言いたくなるくらい、新型Z4はこれまでのZ4より、ケタちがいというか、クラスちがいに重厚・高級・高性能になった。まあ、これが5シリーズ級というのはさすが言いすぎだろうが。

新型Z4が重厚なのはある意味で当然である。超古典的なロング・ノーズ下に直列6気筒を積んで、ホイールベースは2495mmというのは先代と基本的に同じだが、ウェイトは先代比でなんと100kgかそれ以上も重い。これは主に、凝りに凝った電動格納式ハードトップによるものだろう。通常のZ字型に畳まれるのではなく、いったんリアガラス部分が持ち上がった後に、2枚重ねでトランクに収まるのだ。そうじゃないとこのキュートなキャビン形状は無理だったのだろう。

35iはレザー内装と電動シートが標準装備。


写真ではインパクト薄なのが残念なインテリアも、実物はダッシュボードが丹念にレザー張りされて、少なくとも精緻感や手触りは正しく5シリーズなみに高級だ。100kgも重くなれば動力性能が心配だが、今回試乗した上級のsDrive35iの3リッター・ツインターボは先代のMを超える400Nmの最大トルクを持つ。それにギアボックスもダイレクトで高効率な7速ツインクラッチだから、高性能スポーツカーと呼んでまったく差支えないくらいには速い。

さらに全域でワザとらしいくらいに反響しまくるエグゾースト・ノートのおかげで、フル加速時の迫力は従来のZ4Mロードスターにも引けを取らない。今のところは新型Z4Mの予定がないのはちょっと残念だが、これ以上速いのを欲しがる人は実際にはあんまりいないだろう。

7速DCTのステアリングシフトは右アップ左ダウンのM3とはちがって「引いてアップ押してダウン」のレバーが左右に備わる。



ビックリするほど乗り心地がいい

ちょっと以前の海外試乗記でも多くの先生方が書いていたが、新型Z4はビックリするほど乗り心地がいい。とにかく快適。乗り心地はたぶん現行3シリーズのどのモデルよりもいい。

この個体はオプションの大径18インチ(もちろんランフラット)を履いているのだからさらに驚きである。最近のBSランフラットは乗るごとに乗り心地が良くなっているが、それとともについに投入された電子制御リアルタイム可変ダンパー(BMWがいうところのアダプティブMサスペンション、単独装着なら20万1000円)によるところも大きいだろう。この可変ダンパーには3つのモード切り替えがあって、「ノーマル」、「スポーツ」、「スポーツ+」としていくにつれて、アシが締め上げられるだけでなく、パワステは重く、スロットル制御も早開けになっていく。

走って印象がいちばん良かったのはやはりノーマルだ。スポーツ+は明らかに演出過多。中間のスポーツはそれなりに反応が速まるが、重くなっただけでなくリアサスが明確に粘るようになった新型Z4のシャシーは、ゴリゴリと無理に振り回そうとするよりも、ふわりとスマートに走らせるほうが似合うし、なにより気持ちいい。

今回試乗した上級の「35i」は335iと同じく、最新の3.0リッター直6ツインターボを積む。価格は625万円。もうひとつ用意される523万円の「23i」は同じくストレートシックスの2.5リッター自然吸気。204psの低出力型だが、キレのいいスポーツ6ATとの組み合わせだ。


マニア的な意味でのスポーツカー風味、キレ味では、ハッキリいって先代より後退した。しかし、この当たりの柔らかさ、サスの正確で滑らかな作動、そして上屋の落ち着き……の3つが見事に両立した乗り心地は、スポーツカーうんぬんではなく、乗用車として絶品に近いデキといいたい。

ホイールベースなどから想像するに、これは先代と同じくE46系(=旧3シリーズ)のプラットフォーム設計だろうか。だとすれば、表面的なレスポンスではなく、フトコロの深さで勝負できるE46系シャシーは、やっぱり傑作だったんだなあ……とあらためて思う。いまのE90型3シリーズは基本的に硬いのがマッチするが、E46型は硬くても柔らかくても良かった。だから、コーナーでブイブイ言わせたい人は135iクーペか、Z4Mロードスターをどうぞ。新型Z4はそういうクルマではない。


文=佐野弘宗 写真=小野一秋

(ENGINE2009年7月号)

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