2024.03.13

CARS

ここはまるで自動車ミュージアム!  ベントレーS2コンチネンタル・フライングスパーからマクラーレン720Sまで、ブランドを問わずクルマを愛するオーナーのこだわりは、色でした!

最初のクルマはセリカXX

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1962年のベントレーから最新のハイパーカーまで、この博物館的なラインナップはどうして出来上がったのだろうか? 土田さんに話を伺った。

「自動車の免許を取ったのは19歳のときでした。スーパーカー・ブームにはハマッたとは言えませんね。もちろん、クルマは好きでしたよ。でもまわりがカウンタックだ、512BBだとか言っていても、僕はマセラティ・ボーラやメラクが好きでしたね」

土田さんはいまでもクルマのスペックにあまり興味がない。ベントレーS2コンチネンタル・フライングスパーのエンジンを撮影したときも、V8だったような気がすると言っていた。



「最初のクルマはトヨタ・セリカXX(初代)でした。高校の音楽の先生がこれの黒に乗っていまして、なんてカッコイイんだろう! と思っていたんです。その印象が焼き付いていて、中古を親に買ってもらいました。ボディは白で内装は赤のベロア。昭和のスナックみたいな内装でした(笑)。丸っこいオシリが好きでしたね」

大学院を卒業し、浜松で勤めるようになるとBMW318iカブリオレ(E36)が愛車になった。

「正規輸入は6気筒しかなくて高かったんです。4気筒モデルをオートトレーディングという並行輸入業者から買いました。アメリカから輸入した1台でボディは紺色、内装はクリーム色。カリフォルニア仕様という感じで好きでした。オープンカーが大好きになったきっかけかもしれません」

来客用駐車場と思われるスペースには、デイムラー・ダブルシックス(X300)ロングとポルシェ・パナメーラGTSが並んでいた。どちらも土田さんの足グルマである(写真右)。ゲストハウスのガレージに並んだワインレッドの2台はマクラーレン720SとジャガーXJSコンバーチブル(写真左)。「ジャガーXJSのシューティングブレイク、リンクス・イベンターが欲しいんですよ」と土田さんは言う。


故郷の水戸に戻って、デイムラー・ダブルシックスの最終モデルを増車、このダブルシックスは土田さんのコレクションのなかで最古参である。

「ブランドでいうとジャガーが好きですかね。いまもシリーズIIIのダブルシックス、XJSコンバーチブル、Eタイプ、XJ40、X300系ダブルシックス・ロングと、ジャガーがもっとも多いですから」

母屋1階のガレージには5台が収まっていた。写真上の左から時計まわりにジャガーXJ40、アルピナB7ビターボ、アルピナB6Sカブリオ、ジャガーEタイプ・シリーズ1。自分が持っているクルマのなかで乗って一番楽しいのはアルピナB6Sカブリオだと土田さんは言う。ボディ・カラーはジャガーXJ40がワインレッド、ほかの3台はグリーンとなる。土田さんが好きな色だ。


では、持っているクルマのなかで1台だけ選べと言われたら?

「アルピナB6Sカブリオですね。あれは2007年の東京モーターショーに展示されたクルマなんです。初めて乗ったとき、アルピナとBMWは別モノだと思いました。アルピナは脚のしなやかさと速さを高次元で両立していますね。B6Sはスーパーチャージャー過給なんです。そのキーンという金属音がジェット機みたいでアルピナすごい! と思いました。で、B7を買ったらあれはビターボで、ターボはキーン! じゃなかった。そうか、自分はアルピナが好きなんじゃなくてスーパーチャージャーが好きだったんだと買ってからわかりました(笑)」


コンチネンタル3から始まった

乗って一番なのはアルピナB6Sカブリオ、一方ロールス&ベントレーは雰囲気を楽しんでいるという。

「デイムラー・ダブルシックスとベントレー、ロールスはどれぐらい違うんだろう? という興味があって、シーザートレーディングに見に行ったんです。ベントレーのオープンカー、コンチネンタル・シリーズ3がありました。ロールスで言うとコーニッシュですね。デカい! というのが第一印象です。で、ちょっと乗ってみようかなと。いろいろ大げさでしたね(笑)。でもシートは素晴らしかった。毎日は乗れないけど、日常使いしないとカビが生えるみたいなクルマでした。これがロールス&ベントレーのスタートです」

コンチネンタル3の次はロールス・ロイス・シルバーセラフへ。

「セラフは八代亜紀さんのクルマでした。ロイヤル・ブルーの外装にクリーム色のインテリアという組み合わせ。こういう色の組み合わせはなかなかないんですよ。で、このセラフでワクイミュージアムに行ったんです。大雨の日でね。こんな雨の日に来る人は珍しいと涌井さんに歓迎していただきました。そこに先ほど見ていただいたベントレーS2コンチネンタル・フライングスパーがあったんです」

来客用駐車場と思われるスペースには、デイムラー・ダブルシックス(X300)ロングとポルシェ・パナメーラGTSが並んでいた。どちらも土田さんの足グルマである(写真右)。ゲストハウスのガレージに並んだワインレッドの2台はマクラーレン720SとジャガーXJSコンバーチブル(写真左)。「ジャガーXJSのシューティングブレイク、リンクス・イベンターが欲しいんですよ」と土田さんは言う。


いま気になっているのは、戦前のロールス、ベントレーだという。

「いわゆるダービー・ベントレーというやつですね。1937年製とか。涌井さんの薦めをずっと断ってきましたけど、自分もいい歳だしそろそろ乗っておこうかと。やっぱりイギリス車が好きなんですね」

そういった旧い英国車に興味を抱きながら、最新のハイパーカー、マクラーレン720Sスパイダーもガレージにあるところが土田さんのすごいところである。

「やっぱりデザインが好きなんですね。最も素晴らしいデザインだと思っているのはフェラーリF355スパイダー。ピニンファリーナの傑作ですね。ところが360モデナになると、ちょっとね。マクラーレンで最初に買ったのはMP4-12Cです。フェラーリ458と乗り比べたらマクラーレンの方がはるかに良かった。その後、570GTを買って、それがいまの720Sに。リセール・バリュー最悪のマクラーレンを3台乗り継ぎました(笑)」

ロールス・ロイス・カマルグ(1985)。



色にこだわる

スペックよりもデザインだという土田さん。もうひとつのこだわりは色だという。

「もうひとつというか、色が最大のこだわりですね。選択肢があるなら白は買いません。白はボディラインがはっきり出ないからです。ワインレッド、グリーン、シャンパンゴールドの3色が私の好みです」

そういえば、赤や黄色といった原色のクルマは1台もない。マクラーレン720S、ジャガーXJSコンバーチブル、メルセデス・ベンツ280SEクーペ、マセラティ・グランカブリオはどれもワインレッド、アルピナの2台、ジャガーEタイプはグリーンだ。

中庭にあるガレージにはベントレー・ミュルザンヌ、ポルシェ911ターボ、マセラティ・グランカブリオ、フェラーリF355スパイダーが収まる。「993ターボはRUF純正のパワーアップ・キットが組み込まれています」と土田さんはサラリと言う。そんなことよりエメラルド・グリーンのボディ・カラーが土田さんには重要だ。ガレージ内にはバー・カウンターが設けられており、一杯やりながらクルマを眺めることができるようになっている。


「いま整備に入っているロールス・ロイス・コーニッシュ5はピンク・ゴールドです。マセラティMC20チェロもピンク・ゴールドで注文しました」

なんと! この博物館的ガレージは色で統一されていたのか!

「クルマは生活の道具というよりも、ファッションに近いですね。自分を表現するものだし、自分のライフスタイルを豊かにしてくれるものです。だからデザインや色にはこだわりたいんです」

それにしてもこれほどの台数、管理はどうしているのだろう?

「整備はそれぞれ購入したところや、知り合いの腕利きメカニックにお願いしています。ただし管理は大変です。車検を切らしちゃったり。メカニックからはクルマをもっと動かせと。今日のようなことがないと、エンジンをかけないクルマも多いから、みなさんには感謝しています」

いつでも呼んでください、動かします! と心のなかで叫んだ。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦



(ENGIN2024年2・3月号)

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