2024.06.21

CARS

あなたはオープン派、それともクーペ派?  新車から今も乗り続けるフェラーリ・カリフォルニアのオーナーが「これだけはずっと乗り続ける」と言う理由とは?

2009年型のフェラーリ・カリフォルニアに新車から乗り続けるオーナーの山里さん。

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欲しいフェラーリはここまで

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「カリフォルニアの魅力は、フェラーリ初の電動オープン、直噴V8エンジン、7段DCTとか、実験場みたいなところですね。電動ドアミラーまで初ですから。あとはなんといってもNAのエンジンです。とにかく音とレスポンスは最高。逆に言うと、それ以外のものは何も提供していない(笑)。それがすべて。この後ターボのカリフォルニアT、ポルトフィーノになりますが、フェラーリはNA以外乗りたくないというのが僕の気持ちです」

マグネライドサスペンション、デイトナシートといったオプションが奢られた山里さんのカリフォルニア。各部が艶々とした素晴らしいコンディションからは、オーナーの愛情の深さが窺える。


驚くべきは約15年間、6万km以上を走行しているにもかかわらず、エンジン・ヘッドカバーの結晶塗装はもとより、外装、シート、インテリアに至るまで新車のような輝きを残していることだ。

「最近は仕事が忙しく、なかなか構ってあげられませんが、昔はよく洗車をしました。内装もステアリングコラムの加水分解がひどくて、自分で外して清掃して塗装し直したり、スイッチをバラして直したりしていますが、トラブルは一度もありません。あるとすれば、エキマニの出口にカーボンが溜まってエンジン・チェックランプが点くので定期的に清掃するくらいです」

降雨時以外は基本的にオープンで、ツーリングやスーパーカーのイベントからお花見まで、様々なシチュエーションでカリフォルニアを楽しんでいるという山里さん。昼間の海岸線を低めのギヤでスロットルをパーシャルにして流して走るのが、風の巻き込みも少なく、V8サウンドを楽しめて一番楽しいという。



「それでいて走りもしっかりしている。サーキットを走っても速いんです。曲がる、止まる、加速する、すべてがすごく優秀。フェラーリってやっぱすごいんだな、フェラーリはやっぱサーキットが似合うなと改めて思いましたね。以前C6コルベットZ06の友達とサーキットに行った時もスペック・シート上は負けているのに実際にはカリフォルニアの方が圧倒的に速かった。FRだけどフロントが軽くて、鼻の入りがすごく良いんですよ。さすがはフロント・ミッドシップと感じます」

そんな山里さんが最近新たに手に入れたのが、アイスブルーに彩られたマクラーレン765LTだ。

「フェラーリのV8系はターボなので、どうせターボ・エンジンならカーボン・モノコックにディヘドラル・ドアのマクラーレンが僕の中で最終の答えになった。そこで720Sを考えたのですが、妻が“普通に買えそうなクルマを買っていいの? 手が届かなそうだけど、ギリギリ行けるところを狙うから次に行けるんじゃない?”って背中を押してくれて。すると、たまたまドンピシャの仕様の765が出てきたんです」

一方の765LTは3月に納車されたばかり。その存在は「敢えて困難な目標を掲げる」という山里さんのビジネスにも通じるものがある。


実は山里さんは2020年に日本コムシンクの社長に就任した際に、社員平均年収40%アップ、4億円規模の一括受託開発力など、達成困難と思われる5カ年の目標を掲げ、3年間で営業利益7倍、平均年収24%アップを実現させた経歴の持ち主。765LT購入はそうしたビジネスのスタンスにも通じるものがあるという。

「765はこの3年仕事を頑張って、やっと買ってもいいかなというところに来られた自分へのご褒美でもあると思っています。一方で次はセナやスピードテールを買えるようにならないと、と逆に追い込まれています。そういう意味でも生きるモチベーションというか、自分を鼓舞する存在ですね。最初は812スーパーファストもいいなと思ったんです。あのV12は人類の到達地点ですから(笑)。でもリセールが安定している812で“置き”に行かず765でチャレンジしたというのが、今の自分を表している気がします。それもスーパーカー協会のおかげ。協会をやっていなかったらマクラーレンを買うことはなかったし、僕の能力値も鍛えられなかった」

そして765LTを手に入れたことで、カリフォルニアへの想いはさらに強いものになったようだ。

「特に原体験があるわけではないけど、最初のSLKからオープンカーは途切らせたことがないくらい乗り続けてきました。その中でもカリフォルニアは特別。フロント・エンジンのNAに価値を感じる僕が欲しいフェラーリはここまで。扱いやすいし、維持費の面でも、子供を乗せられるのもアドバンテージ。他のクルマは増車したり入れ替わったりしてきましたが、カリフォルニアだけは変わらない。これからどんなクルマが出てきても、乗り続けていこうと思っています」

文=藤原よしお 写真=望月浩彦

(ENGINE2024年6月号)

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