2025.02.15

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、ハイドロ配管は蘇ったが、足まわり硬化問題が再発? シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#63

入庫しリフトで上げられた後、高い台座に載せられたリポート車。これで車高の調整など、下まわりの作業を何度でも納得いくまで繰り返せる。雪の季節はそろそろ終わりだったが、コーティング施工のために借用したスタッドレス・タイヤはまだ履いたままだ。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円を投じての大規模修復をするも、走りながらトラブルに見舞われ、さらに80万円以上をつぎ込んでいるエンジン編集部ウエダによる完全自腹の散財リポート。ハイドローリック・シトロエンの肝、LHMの流れる配管はメイド・イン・ジャパンのパーツとノウハウで完全に造り直すことに成功したのだが、実は、それでもまだほかの問題が山積みだったことをリポートする。

世界中が苦労している

話は約2年前、リポート車の納車直後にさかのぼる。意気揚々と走り始めた僕は、ソフトとハードの硬軟2つあるはずのサスペンション・モードが固定されるトラブルに遭遇した。シトロエンXMやエグザンティア乗りがサス・ロックと呼ぶ症例で、第25、26回と2度のリポートに分けて報告している。しなやかな足が肝のクルマなのに、硬いハードなモード・オンリーになってしまうという、いわば“ハード・ロック”な状態なのだ。



このとき散々調べて知ったのだが、実はこの症例、世界中のウェブサイトで報告されている。シトロエン乗りの日本の先輩たちによるきめ細かなトラブル・シューティングはもちろんのこと、英語、フランス語は当然、さらにはロシア語の非常に的確な対策リポートや、動画だってある。

比較的エグザンティアより、ほぼ同じシステムを使う趣味性の高いXMの症例が多かったけれど、AMラジオの特定の周波数を使ってその音の変化でハード状態を見分けた人もいたり、D.I.Y.でECU(電子集積回路によるコントロール・ユニット)内の回路を解析し、作動切り替えランプを追加する人もいた。こうした先輩たちの問題に向かい合う真摯さや貴重な体験談は、どんなに読んでも読み飽きない。

それら膨大な情報をごくごく簡単にまとめると、原因はエンジン・ルーム内にあるサスペンションECUの中のソリッド・ステート・リレーにあるようだ。ここに想定より大きな電圧が流れてリレーが焼け、その結果ECUは足まわりの硬軟を切り替える前後2つのアディショナル・スフィア根元にある、エレクトロ・バルブへ既定の電圧を送らなくなってしまう。

ただ、もともとの原因はエレクトロ・バルブ自体にもあるようで、この中のダイオードがパンクして、逆にECU側へ問題が波及している可能性もあるらしい。

最も手軽な対策はECUやエレクトロ・バルブそのものの交換だが、当然今やどちらも新品は入手困難。中古品を探すしかないが、前者は特に高価な上、あまり出回ることがなく、出てきても仕様が合わないことも。後者はイギリスの専門店などが販売しているが、1つ2万5000円ほどと、こちらもなかなか高い値付けがされている。いずれにせよ信頼性については、正直期待はできない。



なおエレクトロ・バルブ上部の茶色の樹脂内部にあるダイオードは交換できない構造なので、このトラブルの解決方法はECU内のリレー交換か、さらにはECU内にダイオードを追加するという手法が一般的のようだ。

幸いリポート車は、前オーナーから譲り受けた予備ECUとオリジナルECUを交換することで症状が収まった。……と思っていたのだが、ハイドロ配管の修復のため細かくテストをしていくと、ECU以外のところで色々と問題が発覚したのだった……。

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