2025.02.10

CARS

ホンダと日産の統合への協議破談で日産の将来はどうなるのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が考察する

年末も押し迫った2024年12月23日、突如、本田技研工業(ホンダ)と日産自動車(日産)との経営統合に向けて協議を開始することが発表された。しかし、2025年1月末までに方向性を判断するはずだったが、それを2月中旬に先延ばししたものの、最終的には破談することが決定的となった。ホンダと手を組むことができなかった日産は今後どうなるのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が将来を考察する。

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3つの「考えられるストーリー」

ホンダと日産の統合劇、説明するまでもなく日産の経営状況悪化によって始まったもの。実際、日産は破綻に向かっていたと思う。統合話が消えたため日産からすればスタート地点に戻ることとなり、新たな再建策を立ち上げる必要が出てきます。ということで今後の日産はどうなっていくのか、3つの「考えられるストーリー」を考えてみた。



独自再建の場合

1つ目は独自で再建するというもの。その場合、すぐさまリストラを始めなければならない。日産の世界販売台数は内田社長が就任した5年前の2019年で565万台。2024年は230万台も落ちた335万台! 人員や工場規模を3分の2程度まで削減し、縮小均衡を図らなければならない。社員は連結で13万3千人いるため4万人以上カットすることになる。

そんなこと内田さんにできるだろうか? そもそも内田体制の5年間で落とした230万台である。経営手腕なしという証明みたいなもの。加えて日本市場は昨年と今年、新型車ゼロ。自動車メーカーがクルマという主力商品を出せないなんて考えられない。といったことを考えると、自力で再建しようとしたら経営陣を即刻総取り替えする必要がある。



海外企業の傘下になる

2つ目は日産を活かす海外企業の傘下になること。ウワサに上がっているのがシャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)だ。台湾の企業であれば日本のブランドを大切に考えてくれる。しかも鴻海の自動車部門のTOPは日産の社長候補だった関さん。日産の開発部門や工場をそのまんま居抜きで引き受け、日産というブランドも残してくれるだろう。

可能性としては十分あるけれど、そもそも「海外の企業に日産を取られたくない」ということからホンダとの統合話になった。統合話が破談になるというニュースを受け、早くも経産相は「考え直せ」とコメントしている。鴻海に買収されることは是としないだろうし、ホンダすら嫌った日産の取り締まり役会も首を縦に振ると思えない。



ファシリティだけ欲しい企業に買収

3つ目が日産のファシリティだけ欲しい企業に買収されること。例えばテスラというメーカーはディーラーを持たない。テスラの場合、販売にはディーラーなど無くていいと思う。ただ大がかりなリコールを出したり、メンテナンスや車検など必要になってくるとサービス拠点が欲しい。サービス拠点の件はテスラの大きな課題になり始めている。

日産を買収すれば世界中の日産ディーラーをサービス拠点として使える。しかもイーロンマスクの財力からすれば日産なんか小遣いで買える規模。イギリスやアメリカ、中国の工場でテスラを生産することだって可能。経産省を筆頭とした日本政府も、イーロンマスクに頼まれたトランプ大統領からの話ならイヤと言えない。

テスラに買収された場合、日産としてのブランド維持は非常に難しくなってくると思う。遠からず消え去るかもしれない。といったことを考えると、子会社というポジションだったとしても日産はホンダと一緒になるべきだったと思う。鴻海にしてもテスラにしても、それ以外の企業だったとしても、日産のブランドを残すのは難しいと考えます。プリンス自動車の如く消え去るかもしれない。



文=国沢光宏

(ENGINE WEBオリジナル)

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