2026.01.01

LIFESTYLE

【名作住宅の憧れの“お風呂” ベスト10】1位は異次元の非日常空間 どれに入ってみたい? 

雑誌『ENGINE』の連載「マイカー&マイハウス」から魅力的なお風呂を選びました。

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3位 お風呂からの眺めも抜群。富士山も見える絶景住宅

富士山も拝める、静岡県三島市の丘の頂き建つ眺めの良い住宅。初日の出を見るため、お正月には家の脇の道路に人が集まるほど。浴室も、この眺めを生かした。

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眞部 写真で見ると、お風呂場部分が、家から飛び出したような特別な浮遊感を感じる。

彦根 風呂は建物から飛び出した構造ではないが、出窓付近の処理で浮遊感が生まれているのでは。

塩澤 この家は、最上階のロフトからの眺めが抜群だった。

眞部 お風呂から富士山は見えるのか? 夜は町の灯がきれいに見えるはず。

ジョー 取材日は時折雪がちらつく曇り空。残念ながらこの日、富士山は見えず。しかも富士山はお風呂からは方角が違で、たとえ晴れても見えない。取材時、風呂のガラス窓に子供が暗記用のメモを貼っていたのを発見。撮影時は一旦剥がしたが、子供も長風呂を楽しんでいるエピソードを含め、惹かれた。

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設計:acaa建築研究所(岸本和彦)

2位 目の前が海。ベッドルームに大きなお風呂がある房総の別荘

海を目の前にした立地で、前を遮るものが何もなく海と空が広がり、夕景も美しい別荘。建物は全面が窓で、家の中は天井が高く解放感がある。腕の良い棟梁が存分に木材を使って仕上げた、温かい雰囲気のバスルーム空間。寝室の窓際にある洗面台は、できるだけ視界を遮らないデザイン。



塩澤 ベッドルーム内にお風呂があるのが良い。開放的な空間。10年前の、最初期の取材で思い出深い。夕方の海が美しく、その時間まで待って撮影した記憶が。

彦根 何といっても、海の目の前の立地。木のルーバーが、囲まれ感と開放感を作っている。建築として上手い。

ジョー 木造で、2階にこれだけ大きなバスタブを置けるのに驚いた。ベッドルームの洗面台も含め、海を見ながらの時間を大切にした空間が心地良かった。

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設計:廣部剛司建築研究所

1位 お風呂から海に沈む太陽が拝める、世界的な現代美術家の家

幅30m、高さ15mの堂々としたサイズの、宮古島の海沿いに建つ、アーティスト森万里子さんのアトリエ兼別荘。高さ10mのサンゴの丘に建つ建物の前には海が広がり、遮るものは何もない。

ベッドルームにある鏡と洗面台は、森さんのオリジナル・デザイン。フェラーリなどが仕事を依頼する、イタリアの工房が制作したもの。シャワールームは、別途設けてある。



彦根 圧倒的な景色と海の青。実は宮古島の海岸を歩いていて偶然この建物を見かけ、ビックリしたことが。お風呂周りのデザインも、アーティストとしてのスタイルが出ている。景色を楽しみながらぬるめのお湯で長湯して、身体を拭いたら横にベッドがある。他には何もいらない…。

塩澤 圧倒的な開放感。この部屋がアート作品みたい。

ジョー 異次元の空間。体験型アート作品のようだった。お風呂の向きは西で、冬至の頃は太陽が真正面の海に沈む。それを眺めるのは、さらなるアート体験か。

彦根 普通の住宅建築では体験できない、非日常性を備えた特別なお風呂。空間の持つ力は凄いと実感する。

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設計:森万里子、リングアーキテクツ

***

ジョー これまで取材したお宅の中には、魅力的なお風呂のある家が随分とありました。ですがテレビの企画と違って、我々の取材ではお風呂に入ることはありません。今回は、この湯船に浸かったらさぞや極楽だろうなと思わせる、『入ってみたいお風呂』を選ぶ企画です。皆さん、選んでみた感想は如何でしたか。

彦根 僕は建築の審査員を務めることが少なくありません。その時は、建築的に上手い解決をしているものを選んでいます。ですが今回は、ズバリどれに入りたいか。読者の皆さんと同じ目線だと思います。

塩澤 僕は、ENGINE本誌の名物企画、『ホット100』をやってきました。これは、身銭を切って買いたいクルマを、審査員それぞれが20台選んで100位までランキングしているんですが、今回は同じように、身銭を切ってでも我が家に欲しいお風呂を選びました。

眞部 私は露天風呂好きなので、『ザ・開放感』で選んでいます。



ジョー 彦根さんと眞部さんには実物を見ないで選んで頂いているので、写真でだいぶ印象が違うかもしれませんね。僕は全て取材をしていても、お施主さんや建築家にインタビューしているので、お風呂はチラッとくらいしか見ていないんですよ。

塩澤 僕はこの企画をジョーさんと共に共に立ち上げ、半分近くの住宅を一緒に取材してきました。どう撮ればより魅力が伝わるかカメラマンと現場で検討していたので、お風呂はじっくり見ています。

ジョー そんな背景のうえ皆さんの視点が違うので、僕が予想したのとだいぶ異なる順位になったのが面白いですね。

彦根 採点結果を見ると、バスルームそのものの設計だけでなく、眺望が大きく影響していますね。今回は『建築的に上手い』ではなく、『入りたい』という基準ですから。

ジョー 僕はそれに加えて、取材時のエピソードなどにも影響を受けた気がします。

眞部 でも、森さんの宮古島の別荘は、審査員全員が納得する1位でしたね。

ジョー 森さんは、2026年に森美術館で大規模個展が予定されている美術家です。この別荘は、海外の有名な住宅雑誌の表紙にもなったのですが、取材した時は、日本の美術雑誌も建築雑誌も取り上げていなくて。ENGINEでは、そういう建物も紹介しているんです。

塩澤 そうした特別な家から、小さいけれど捻りの効いた家まで、幅広く紹介した方が面白いのではというのが、スタート当初からの考えですね。

眞部 こうしてランキングを付けてみると、普段の記事を読むのとは違い、住宅の魅力がより見えて面白いですね。お風呂だけじゃなくて、他のランキングもできるといいのですが。

ジョー 読者の皆さんからそういう声がるのなら、考えてみましょうかね。

一同 
ともあれ今年の冬は寒いようです。お風呂でよく温まって、風邪などひかずに冬を乗り切ってください。

構成・文=ジョー スズキ 写真=佐藤慎吾(ENGINE編集部)

■彦根 明(建築家)
東京藝術大学の大学院修了後、磯崎新のアトリエに勤務。独立後、彦根建築設計事務所を主宰する。数多くの住宅を手掛けるだけでなく、温泉施設も設計する自称、「温泉建築家」。2022年にリニューアルオープン(新築)した雲仙宮崎旅館(全39室)は、100年近い歴史のある老舗旅館。リノベーションを担当した全8室の旅館、渓谷に佇む隠れ宿「峡泉」は、2020年度「日本の小宿10選」に選ばれている。温泉に泊まる際は、最低5回は入浴するお風呂好き。2026年2月3日に著書『最高の家』(エクスナレッジ社・馬場未織、狩野翔太氏との共著)が発売予定。自身が手掛けた12の家の住人に、彦根氏自らがインタビューした意欲的なもの。ENGINE Webの連載「マイカー&マイハウス」では、vol.90 に設計した住宅が掲載コロナ時だったため、サウナもあるお風呂ゾーンの、取材は叶わず。彦根明建築設計事務所:http://www.a-h-architects.com/




▲彦根明さんが手掛けた雲仙宮崎旅館。雲仙温泉には、ガスや温泉が湧き出る荒涼とした「地獄」が、建物のすぐ横にも広がっている。


▲彦根明さんが、自身の設計した家の建主を取材した新刊「最高の家」(エクスナレッジ社・彦根明・馬場未織・狩野翔太著)。2026年2月3日の発売予定。

■塩澤則浩(編集者・記者)


雑誌『ENGINE』編集部在籍中にジョー スズキ氏と共にライフスタイル企画の「マイカー&マイハウス」を発案し、連載を担当。その後『ENGINE Web』のリニューアルを担当した際に連載ページをWeb化し、人気記事づくりに貢献。新潮社退社後はフリーの編集記者として現在も活動中。山梨県大月市の築55年の実家をDIYでリノベーションすることを画策中で、冬寒いバスルームをどうするかは喫緊の課題となっている。機会があれば新築物件の内覧会に足を運び、理想の「お風呂」を求めて情報を収集中。夢はDIYで大好きな檜風呂をつくること。ちなみに愛車はムルティプラと初代パンダのフィアット2台持ち。

■ジョー スズキ(デザイン・プロデユーサー)


雑誌『ENGINE』の連載、「マイカー&マイハウス」の前身となる2016年3月号の特集号で、塩澤則浩氏と組んで4軒の個性的な住宅を紹介。以来10年に渡って、「マイカー&マイハウス」の住宅選定・取材交渉・執筆を担当。名物企画に育て上げる。小学生の時から、丹下健三やフランク・ロイド・ライトに興味があった元建築少年。風水にこだわっており、吉日、吉方位にある日帰り温泉に出かけるのが趣味。仕事の企画も、長風呂に浸かりながら着想を練ることが多い。倉俣史朗の家具の復刻も手掛けるマルチ型のクリエイターで、写真家として、2026年3月に個展の予定が。

(ENGINE Webオリジナル)

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