2020.08.19

CARS

車重はなんと720kg! KP61型トヨタ・スターレットが決定づけた自動車人生!!


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初代誕生から5代で四半世紀以上の時を生き抜き、それなりの長寿を誇ったこのモデルも姿を消してすでに20年以上。それゆえ、当時を知る多くの人の記憶からも忘れ去られようとしていそうなスターレットとは、のちにヴィッツ、そして現在ではヤリスへとそのポジションが受け継がれた、当時のトヨタを代表するエントリー・モデルである。

その中で自身が新車から乗ったのは、 「KP61」 という型式名の2代目。周辺ライバルがすでにFFレイアウトを採用し始めていた中で、スターレットがそれに追随したのは次期モデルから。そんな「最後のFRスターレット」の中で自身が手に入れたものは、通称“初期型”と呼ばれる丸形ヘッドライトの持ち主であった。

余談ながら、 「一家のクルマ」という条件付きで親の資金援助を受けたこともあり、3ドアと5ドアが選べたボディは後者を選択。ただし、軽くチューニングされたサスペンションを採用するMTの「S」グレードを選択……と、この部分は譲れなかった(?)ことを記憶する。

学生の身分で当然資金が潤沢にあろうはずもなく、ガソリン代を捻出するのが精いっぱいで、 “どノーマル”の状態で乗る以外になかったが、それでも実質的には初めてのマイカーとなったこのモデルで、とにかく夜な夜なあちこちを走り回った。

エンジンは1.3リッターのOHVで最高出力もグロスで72psに過ぎず、動力性能はたかが知れたものだった一方で、その“武器”は軽量さ。車両重量は何と720kgと現在の多くの軽自動車を下回るほど。それゆえに、タイトなサーキットに持ち込んで計測をしてみると、 (当時としては)それなりのタイムをマーク出来たりもしたものだ。

特に、TMSC(トヨタ・モータースポーツ・クラブ)がナンバー付きのスポーティ車のオーナーを対象に、年に何回か筑波サーキットで開催した “ドライビングキャンプ” というイベントに、 “皆勤賞”で参加したことが、その後の自身の大いなる糧となったことは間違いない。何しろ、当時のトヨタ系プロ・レーシング・ドライバーが操る自分のクルマに同乗できるだけでなく、自身が操る横からアドバイスを貰うことも出来たのだから、コンプライアンスの厳しい現代では恐らく不可能な、今振り返れば夢のような体験でもあった。

そうした限界領域でのコントロールも含め、特に低ミュー路面でのバランス感覚の重要さを学ばせてくれたのは、乗っていたのが後輪荷重の小さいFRレイアウトの持ち主であったからでもあるはず。

かくして、KP61型スターレットは、我が自動車人生を決定づけたのである。

文=河村康彦(自動車ジャーナリスト)


(ENGINE2020年7・8月合併号)

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