DJ、選曲家、音楽プロデューサーとして活躍する松浦さんの愛車はゲレンデヴァーゲン。松浦さんにとってこのクルマは「仕事場」でもあった。
1990年にスタートしたアシッド/クラブ・ジャズ系のDJユニット、ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション(U.F.O.)での活動以降、シーンの最先端で活躍する松浦俊夫さん。現在もソロでDJとしてプレイ、選曲家としてキュレーション、プロデューサーとして音楽を創るなど、国内外で多様な音楽の仕事に携わっている。
そんな松浦さんの愛車はメルセデス・ベンツG55AMG。2000年式で、松浦さんが所有してから13年目、現在11万キロだ。
「免許を取って、かれこれ30年が経ちました。これまで7台のクルマを乗り継いできましたが、このゲレンデヴァーゲンが唯一10年を越えたもの。この前にはミニに乗っていたのですが、ちょうど子供が生まれるタイミングで買い換えようと思って専門店のウェブをチェックしていたら出てきたのが、このクルマ。すぐ実車を見に行ったらやはり良くて、“これしかない!”と即決でした」
それもそのはず、このベンツG55AMGはちょっと普通ではない。前オーナー(松浦さんは2オーナーめ)がドイツのAMGにスペシャル・オーダーしたものだそうだ。
「通常の丸目2灯のGクラスとは違い、丸目4灯の仕様、スペシャルなピアノブラックの塗装がされている。そして内装は、ゴージャスなウッドパネルやブラック×グレーのツートーン・カラーのレザーシートなど、こだわりにあふれています。今となってはところどころキズもありますが、ゲレンデヴァーゲンというクルマの特性ゆえ、味があっていい。こんな武骨な見た目だけれど、長時間運転していても、あまり疲れない。大阪くらいまでならば休憩なしで、ノンストップで運転できますね」
運転中は音楽を聴いていることがほとんど。いま注目しているのは英国ロンドン、米ロサンゼルス、そして米シカゴに拠点を置く新世代のアーティストたちによるジャズだ。そういうシーンの潮流を的確に捉えて、いち早くリスナーに届けるのが、11年続く自身の音楽番組『TOKYO MOON』だ。
「今はストリーミングやデータで世界中から新しいサンプル音源が届く。ときには世界中のラジオ番組を聴いてみたりもします。気になる1000曲聴いてみて、そこから100曲を選び、さらに10曲に絞る。なかには良くない曲もあるので、この作業はちょっとした苦行でもあります(笑)。車内では運転しながら直感的に曲を選べるので、このクルマはもうひとつの仕事場ですね」
いま、松浦さんはカメラを車内に積み、自ら運転したドライブコースのイメージに合わせてセレクトした音楽を乗せる映像作品を制作しているという。コロナ渦で音楽に癒しを求める人が多い現在、見る人がまるでクルマを運転しているような気分で音楽を楽しめる、そんな新しい音楽の届け方を模索している。このゲレンデヴァーゲンは、さまざまなアイデアや作品が生まれる、スタジオでもあるのだ。
写真=岡村昌宏 構成・文=小林尚史(ENGINE編集部)
(ENGINE2021年5月号)
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