2021.08.15

CARS

世界が熱い視線を送る、ちょっと古いGT-R! 今だから乗りたい日産スカイラインGT-R!!

ちょっと大きなクルマではすれ違うことをためらうような狭い田舎道を進んでいくと第2世代GT-Rのスペシャリストの、広い工房が現れた。GT-Rを求めてモータージャーナリストの島下泰久さんがたどり着いたのは、夢のような場所だった。

そういう売り方はしない!

私がR32型スカイラインGT-Rを購入したのは、奈良県吉野郡にあるガレージヨシダだ。R32~R34のいわゆる第2世代GT-Rのマニアには知られたショップだが、中古車情報サイトに物件を載せているわけではない。

私はGT-Rを求めてアレコレ情報を集めているうちに辿り着いた。ここで買おうと決めた理由は、単に条件に合うクルマがあったからというだけではない。実は最初、契約したらすぐに東京まで乗って帰ろうと考えていた私に、吉田光造社長は言ったのだ。「ウチはそういう売り方はしていないんです」と。要するに、30年も昔のクルマでいきなり東京まで走っていって、何も起きない保証はない。きちんと整備してから納車したいということだった。その売りっ放しにしない誠実な姿勢に、ココは信用できると任せることに決めたというわけである。

R34はサスペンション以外ほぼノーマルだが、シャシーは全ブッシュ交換など一度完全にリフレッシュされている。価格はASK。

R32は全身完全ノーマルのワンオーナー車。30年間、10万kmを乗ってきた前オーナーが「誰かわからないような人に引き継いでほしくない」と託した。価格は598万円。

R33は5、6年前にガレージヨシダでデモカー的に仕立てた1台。シャシーはリフレッシュ。ヘッドカバーの塗装以外ノーマル然としたエンジンは中身も車検にそのまま通る仕様ながら、約550馬力というパワーを得ている。価格はASK。ベースの限定車LMリミテッド自体、最近は高騰中。

それにしても第2世代GT-Rは本当に高くなった。かつては、ほぼ国内だけが市場だったが、ここ10年弱の間に一気に世界から熱い視線を送られる対象になったのが、やはり大きい。現在、R32の中古車は程度にもよるがほぼ新車より高い価格をつけているし、R33もそれに引きずられて高くなった。そして最終型のR34に至っては何と3千万円を超える価格が掲げられる場合もあるほどだ。「以前のユーザーさんは、多くが昔乗りたかった、憧れていたという40~50歳台の普通にお勤めの方でした。でも今は資産としても考えて買われている方がとても多いです」

同社はあくまで整備、レストアがメインで、R32~R34の販売車両が揃ったのはなかなかレアなことだとか。

吉田社長はそう言う。それこそ10年前、程度はともかく100万円で買えるR32も珍しくはなかった頃に較べれば、ユーザーの平均所得は間違いなく上がっているだろう。

「さらに年月が経過していますから、当然ですがクルマは前より壊れやすくなっていますし、メインテナンスも大変です。以前よりハードルが高くなっているのは否めません」

容易に手を出せないクルマになってしまうのは寂しいけれど、一方でいわゆる資産価値が上がってくればユーザーは良い状態をキープしようという気になる。おかげで世の中にあるクルマの質は全体に高まってくるから、車両価格の高騰も悪いことばかりではない、とも言える。

「問題は整備で、今は純正部品頼みですし取り巻く状況はいいとは言えません。正直、クルマの価値が上がって海外に出ていくと、現地でパーツを開発して、出してくれるかなという期待はあります。やはり乗れなくなるのが一番ツラいですから」



実際、レストア中の車両も見せていただいたのだが、年式の新しいR34でもフロントのストラットタワーのようなパーツすら製造廃止で、必要なら板金で作るしかないと聞いて驚いた。そんな状況を憂いて同社が用意したのがリビルトボディ。これは程度良好なボディをベースに溶接、防錆処理などをすべてやり直し、新車以上の品質に仕上げたもので、なんと仕上げは新車のライン同様に電着塗装しているという!

高くとも、今乗る意味がある

私自身はR32を資産として云々ではなく純粋に乗ってみたかったから手に入れた。100万円以下で売られていた頃も知っているが、欲しくなったのが今なのだから、それが巡り合わせだと感じている。

購入価格は高かったが、今後は車両の価値も落ちず、パーツ供給も良い方向に向かって、いざとなればリビルトボディ換装のようなことも視野に入れながら楽しく乗っていけるようになるなら、敢えて今乗り始めた意味はある。いや、私にとっては今こそ乗るべきタイミングだったとすら思っているのだ、本当に。

バンパーやドア、ボンネット、トランクまで組み上げられた状態のリビルトボディ。完成度は圧巻のひとこと(写真右)。「外板を外して中を見たら想像以上に程度が悪いことが多く、直すには新車が買えるほどの予算が必要な場合も。それならこういう選択はどうですか、という提案のつもりなんです」と代表の吉田光造さん。

もし今、第2世代GT-Rに関心を抱きつつも、どうやって良好な個体を選び出せばいいのかと頭を悩ませている人は、ガレージヨシダのような整備の目利きに相談してみてはどうだろう?

ただし、普通の中古車専門店のようにすぐに乗り出せたりはしないと覚悟しておくように。冒頭に記した通りGT-Rの走りを安心して楽しめるよう、しっかり整備した上でユーザーの許に納めるのが、こちらの流儀なのである。

文=島下泰久 写真=岡村智明

※取材車両の価格、在庫状況はエンジン8月号掲載時のものです。

(ENGINE2021年8月号)

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