2022.04.16

CARS

システム出力は最大830馬力!! フェラーリ初のV6ミドシップにしてハイブリッドの296GTBにスペイン・セビリアで試乗!!

フェラーリ296GTB

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さて、ここで296GTBの概要を確認しておこう。フェラーリ初のV6ミドシップ・ハイブリッド・モデルとなるこれは、まったく新しく開発されたPHEV用プラットフォームとエンジンを持つ。全長×全幅×全高は4565×1958×1187mm。すなわち、現行V8ミドシップ・モデルであるF8トリブートより46mm短く、21mm狭く、19mm低い。ホイールベースは2600mmで、これまたF8より50mm短くなっている。ひと回りとまではいかないが、半回りくらい引き締まったボディ・サイズを持っていることになる。

ミドシップに搭載されるエンジンは、名前の通り2.9リッターのV6ツインターボ。とはいえ、正確には2992ccだから、普通は3リッターと言うのではないかと思うが、306という車名にしたくなかったのだろうか。その理由については尋ねるのを忘れたが、このエンジンについて特筆すべきは、120度というバンク角を持つことである。加えてクランク角も120度にして、等間隔燃焼による振動と騒音の少ない好バランスを実現。広いバンク内の中央にふたつのIHI製タービンを置き、ターボ・エンジンとしては異例の8500rpmまで回るようにして、8000rpmで663psの最高出力を得ている。リッターあたり出力は、なんと221ps。これは市販モデルとしては新記録になるのだそうだ。

ところで、90度V8を搭載するF8より120度V6の296の方がボディ横幅が狭くなっているのは、F8ではターボを両バンクの外側に置いているからで、ターボも含めたエンジンの横幅はV8の1138mmに対して、V6は1003mmしかない。高さも86mm低い590mm。長さは補器類の関係で10mmだけ短い680mmだが、重量は30kgも軽くなっているというから、V6のメリットは思っていた以上に大きそうだ。

そのV6エンジンの後ろに、167ps/315Nmのパワー&トルクを発生する電気モーターが置かれている。さらにその後ろにデュアルクラッチ式の8段自動マニュアル・トランスミッション。エンジンとモーターの間には切り離し用のクラッチがあるから、モーターだけで走行することも可能で、その最大走行可能距離は25km。前輪にもモーターを搭載するラ・フェラーリやSF90と違って、296はフェラーリのPHEVとしては初の後輪駆動モデルとなる。



重心が低く、引き締まって軽い

試乗当日、モンテブランコ・サーキットに着くと、赤い296GTBがズラリと並べられていた。パッと見た感じでも、やはりV8モデルよりキュッと引き締まった印象がある。デザイン的には、かつての名車250LMのイメージを引用しているらしいが、確かにルーフやサイド・ウインドウからリアのフィンにかけての造形は60年代のクラシカルな雰囲気を醸し出している。それでいて、フロントやリアには明らかに最新のエアロダイナミクス・デザインが導入されており、クラシックとモダンが見事に融合した美しい姿を持つスポーツカーだと思った。

まずは公道試乗からスタートすることになり、思い切り低いシートに着くと、目の前にはSF90と共通するテイストのデジタル化されたコクピットの風景が広がった。ステアリングホイール上にあるスタート・ボタンをクリックしてシステムをオンにすると、ヒューンという音とともに真っ黒だったメーターパネルの中央に黄色い大きな回転計が現れた。

ステアリングホイールのスタート・ボタンの右にはお馴染みのドライブ・モードを切り換えるマネッティーノのダイアル。左側にはパワートレインのモードを選択するeマネッティーノのタッチ・スイッチがある。デフォルトはハイブリッド・モード(H)で、ほかに電気のみで走行するeドライブ、エンジンを使ってバッテリーの効率を維持し、常にフルパワーが出せる状態にするパフォーマンス、バッテリーのチャージを抑えて、短時間ながら830psの最大のパフォーマンスを発揮できるようにするクオリファイの計4つがある。

Hのまま右のパドルを引いてギアをDに入れ、アクセレレーターを踏んでいくと、ヒューンという音を立てながら、ウルトラ・スムーズに296は発進した。ほんのわずか走っただけですぐに分かるのは、このクルマの重心の低さだ。120度のV6の採用や電池をドライバーの後ろの床下に搭載することにより、V8モデルより重心が10mm低められているというだけあって、とても安定感がある。そして、運転していても見た目通りにクルマがキュッと小さい印象があり、加えて、とても軽い感じがした。乗り心地も抜群に良くて、もうサーキットの敷地を出るか出ないかのうちに、これは楽しいクルマだゾ、と了解して頬が緩んでいた。

やがて高速道路に入ると、時速120kmを超えたあたりでエンジンが始動した。時速135kmまでモーターで走れるというが、アクセレレーターの踏み方次第で、すぐにエンジンに火が入る。逆に、右足を緩めると、すかさずエンジンを停止してEVモードに入るようになっており、それはマネッティーノをスポーツやレースにしても変らない。これがフェラーリとは思えないくらい環境配慮が徹底しているのに驚かされた。



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