2022.05.20

CARS

ルパン三世もSDGsに対応!? 13年ぶりにEVへと進化したフィアット500eに試乗した

フィアット500eアイコン

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フロントに積まれ前輪を駆動するモーターの最高出力は118ps、最大トルクは220Nm。車両重量はもっとも重いオープンで1360kgと、従来型の500Cツインエアを300kgほど上回るが、トルクが約1.5倍なので加速は十分だ。とりわけモーターの特性を生かしたスタートダッシュは印象的。首都高速道路でも確実に速度を上乗せしていくことができた。

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EVライフのスタートに

ドライブ・モードは「ノーマル」の他、ワンペダル走行が可能な「レンジ」、電力消費を抑える「シェルパ」がある。特筆すべきはレンジ・モードの回生ブレーキで、フィアットらしい小気味良さを表現しながら唐突感はなく、市街地ではこのモードを多用するほど使いやすかった。



乗り心地は、エンジン車で気になった小刻みな揺れが控えめになって落着きが増した。高速道路ではステアリングの手応えがもう少し欲しいとも思ったが、アダプティブ・クルーズコントロールが装備されたおかげもあって、巡航性能はエンジン車より確実にアップしている。満充電で335kmという航続距離も、サイズを考えれば十分だろう。

アイコンとオープンのインパネは短冊切りのレザーを編みこんだ素材で覆われ、シートはFIATのロゴを入れたレザー調リサイクル表皮を使用。従来型の500より格段に上質な空間になった。

ハンドリングはフロントの重さや重心の高さを感じなくなった。多くのEVに共通する感触だ。車重の関係もあって身のこなしが軽快というわけではないけれど、それ以上に自然に旋回していけるようになったメリットのほうが大きい。

オープンが装備するソフトトップの作りは500Cと同等で、ルーフ前端のスイッチで電動開閉する。剛性感や密閉性を重視する人はハッチバックがおすすめだが、エンジン音がないのに光と風を満喫できるドライビングはけっこう新鮮で、電動オープンカーならではの価値を確認できた。



イタリアに行くと、石造りの外観はそのままに、中身をモダンにリノベーションした建築物を目にする。500eのクルマづくりは、それに近いと感じた。ボディ・サイズもプロポーションもそのままなのに、ディテールは電動化にふさわしい仕立てに変え、ヘリテージを親しみやすさとして取り入れている。結果として歴代500と同じ、愛されキャラになっている。

このクルマとならEVライフを始めてもいい。そう思う人、けっこう多いのではないだろうか。

文=森口将之 写真=望月浩彦


■フィアット500eアイコン<オープン>
駆動方式 フロント・モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 3630×1685×1530mm
ホイールベース 2320mm
車両重量 1330kg<1360kg>
モーター形式 交流同期モーター
モーター最高出力 118ps/4000rpm
モーター最大トルク 220Nm/2000rpm
変速機 1段固定
定格電圧/電池容量 352V/120Ah
電池総電力量 42kWh
WLTCモード一充電走行距離 335km
サスペンション形式 前 ストラット式
サスペンション形式 後 トーションビーム式
ブレーキ 前 通気冷却式ディスク
ブレーキ 後 ドラム
タイヤ 前後 205/45R17 88V
車両本体価格(税込) 485万円<495万円>

(ENGINE2022年6月号)

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