2022.07.04

CARS

売れっ子スタイリストが愛してやまないヒストリック・シトロエン! SMがもたらしてくれる素晴らしき喜びの世界!!

1年半かかってオランダで見つけたのがこのクルマ。2019年7月に納車されたシトロエンSM。

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独自の世界観に惹かれる

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「高校卒業後は服飾の専門学校に進み、そのあとは知り合いのツテでファッション誌のライターなどを始め、スタイリストの仕事もするようになりました。若い頃は自由になるお金もなかったので知り合いから格安の中古車を譲ってもらったりしながら、33歳くらいのときにシトロエンC6を手に入れました。現代のモデルなので壊れなさそうでしたし、生産も終了して中古価格も底値だったのが購入の決め手でした」

30代前半の青年が乗るにはいささかマニアックなチョイスだが、そこは自己表現の方法を知るスタイリストならではの選択と言えるだろう。

「もともと人とは違うものを選ぶ傾向がありましたね。王道の良さがあるのはもちろん理解していますが、独特の世界観を持ったものに惹かれます。それで選んだのがC6だったのですが、またいっぽうではSMもずっと気に掛かっていました。これもまた幼い頃の記憶なんですが、街で見かけたシトロエンSMと初代レンジローバーが並んでいるガレージに憧れまして。特にSMはそれ自体めったに見かけることはありませんし、旧車とSUVの組み合わせって最強だなって。私自身、ヴィンテージとかレアもの、コラボものの流れにハマった世代で、その点で言えばSMはシトロエンとマセラティのコラボレーションと言えますし、可動式のヘッドライトや宇宙船のようなスタイリングも本当に個性的で、ものすごく惹かれました。それで仕事も軌道に乗り少し余裕ができたこともあって、真剣にSMを探し始めました」

2ドア・クーペの優雅なプロファイル。

待った甲斐があった

他にもレア車の候補があったというが、幼い頃からのシトロエン熱は醒めることなく、SMの情報を集め、シトロエン専門店であるアウトニーズに辿り着いたという。

「SMが欲しいんです、ってアウトニーズさんに相談しました。いまのクルマがオランダで見つかり、契約に至りました。探し始めて1年半くらい経った頃です」

SMが上野さんの手元に届くには整備のため、さらに2年半の月日を要したという。

心地よいエグゾーストノートと軽やかな吹け上がりのエンジンが楽しめるのがSMの美点。ヘッド部分にはMaseratiの文字が誇らしげに輝く。エンジンルーム手前に見える緑の球体がハイドロ・ニューマチックの肝となるスフィア。そこには交換した時期がきっちりと記されている。

「納車されたのは2019年7月。長かったですね。ようやく納車されたときはまさに天にも昇るような気持ちでした(笑)。実際に運転してみるとハイドロによるシトロエン独特の優しい乗り心地に加えて、マセラティ・エンジンの爽快感が味わえる。スポーツカーのようなエンジン・フィールを持つシトロエンって他にはないですよね。開発当時の設計思想がいまも生きていて、高速巡航もお手のもの。いまアウトニーズさんに入っているのは、少し前に広島での撮影でこのSMを使って、その足で京都まで自走してメインテナンスに出したからです」

ということは重大インシデントによる入庫ではない?

「今回は特に大きな不具合があったわけではなく、定期的な整備と、ちょっと気になるところの修理をお願いしました。具体的にはハイビームに切り替えられないところとか、ステアリングを切ったときのちょっとした異音とかの解消ですね。納車されてから2年半くらい経ちますが、ほとんど手は掛かっていません。それはやはり納車までの2年半できっちりと整備をしていただいたおかげでしょうし、オイルや水のチェックも自分で定期的に行っているので、不具合はほとんどないんです」

あしからず、とこちらの意地悪な視線を見透かすかのように、いたずら少年っぽく微笑み返されてしまった。

リアビューはもちろん、可動式のヘッドライトやナンバーまでもが収められたフロント部分の造形も上野さんのお気に入りのポイント。全長4.9m×全幅1.8m超という長大なボディながら、クイックなステアリングギア・レシオなどのおかげで想像以上に小回りが利くのには驚いたという。

理想的な生活を維持する

「やはり信頼のおける工場やスタッフさん、そしてそこできっちりと整備されたものに出会えた、というのは大きいでしょうね。たしかに待ち時間は長かったけれど、その分いまはストレスなく楽しめています。もちろんこういったモデルは神経質な人には向かないかもしれませんし、多少のおおらかさを持っているからこそ付き合っていられるのかもしれません。いまは現行レンジローバーも所有しているので、小さい頃に見た憧れの光景が叶ったとも言えます。実用面は現代のクルマに補ってもらって、運転する楽しみ、所有する喜びを旧車で味わう。この状況はできるかぎり維持していきたいですね」

自身の理想を実現するべく、熟考を重ねて得たのがいまの上野さんのスタイル。だからこそヒストリック・シトロエンとの生活も地獄を見ないですんでいるのだろう。

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文=桐畑恒治 写真=茂呂幸正

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