XC90リチャージPHEV T8 AWDインスクリプション
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このXC90に乗ると、見える景色はこれまでと同じなのに、後ろから蹴り出され、音のない世界がどこまでも続こうとする感覚に戸惑う。
上質感もダイナミック性能も増した
デフォルトのハイブリッド・モードでも、混み合った高速道路で流れに乗っていると、意識して右足を深く踏み込まない限りエンジンの気配はなく、ほんのわずか始動しても移行は自然そのもの。C40のように重心が低くコーナーで下に張り付く感覚はないが、身のこなしの俊敏さと、加減速の自在感はすごくよく似ている。
XC90もXC60もシフトをDからBレインジに入れると回生度合いが高まる仕立てだが、XC60はさらにクリープのオンオフも選択でき、完全なワンペダル・ドライブも可能だから、なおさらEV感が強くなる。これまでのボルボのPHEVはあくまでエンジンありきでモーターはアシストする存在だと思ったが、新型は完全に主従が逆転している。峠道を走って感じたのは、どこからどう踏んでも強烈な動力性能をたやすく得られる一方で、過去のPHEVモデルよりもさらに足がしなやかに動き、より上質感が増したこと。電池残量の多かったXC60は特にそれが顕著で、この手のクロスオーバーSUVとしてのダイナミック性能は、確実に一段高い次元に上がったと実感できた。PHEVは現時点での充電環境下において、BEVよりはるかに長い航続距離と、低速域での環境負荷を低減できる一方で、あくまで欧州の法規制ありきの産物であり、高コストだという印象も強かった。だがここまで仕立てが変わりEV感が増すと、乗る側の意識はそうとう変わると思う。
輸入元によれば国内における受注台数の16.6%はすでにPHEVとBEVが占めるというから、操る楽しさと航続距離を気にしないですむ気軽さを、歓迎する人は間違いなく増えているのだろう。そしてPHEVが進む道として、この2台のような進化を僕は正しいと思うし、支持したいと思う。
■XC60リチャージPHEV T6 AWDインスクリプション駆動方式 フロント横置きエンジン+前後モーター4輪駆動 全長×全幅×全高 4710×1900×1660mm ホイールベース 2865mm 車両重量 2180kg 乗車定員 5名 エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量 1968cc 最高出力 253ps/5500rpm 最大トルク 350Nm/2500-5000rpm モーター最高出力(前) 70.7ps/3000-4500rpm
モーター最高出力(後) 145.5ps/3280-15900rpm モーター最大トルク(前) 165Nm/0-3000rpm
モーター最大トルク(後) 309Nm/0-3280rpmトランスミッション 8段AT サスペンション (前)ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)マルチリンク タイヤ(前後) 225/45R20 車両本体価格 934万円
■XC90リチャージPHEV T8 AWDインスクリプション駆動方式 フロント横置きエンジン+前後モーター4輪駆動 全長×全幅×全高 4950×1960×1775mm ホイールベース 2985mm 車両重量 2340kg 乗車定員 7名 エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量 1968cc 最高出力 317ps/6000rpm 最大トルク 400Nm/3000-5400rpm モーター最高出力(前) 70.7ps/3000-4500rpm
モーター最高出力(後) 145.5ps/3280-15900rpm モーター最大トルク(前) 165Nm/0-3000rpm
モーター最大トルク(後) 309Nm/0-3280rpm トランスミッション 8段AT サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) マルチリンク タイヤ(前後) 275/45R21 車両本体価格 1169万円 文=上田純一郎(本誌) 写真=阿部昌也(ENGINE2022年7月号)
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