2023.02.07

CARS

このご時世に4リッターNAなんて存在していいのか!? 7000回転で快音を放つ弾けたフラット・シックスはもう最高!! ケイマンGTSとボクスターT、これまた対極の718に試乗した!

ポルシェ718ケイマンGTS 4.0とポルシェ718ボクスターT

全ての画像を見る
4気筒も良くなった

advertisement


荒井 僕は2台ともいいと思いました。718ボクスターTもすごくよかったです。運転していてめちゃくちゃ気持ちよかった!

村上 それは山でしか乗ってないからじゃないの。山で乗ったら気持ちいいけど、街だときつい。

島下 2000回転以下のトルクがない。交差点でも不意にエンストしちゃうんじゃないかってくらい。

村上 坂道発進なんか、やめてくださいって思うよ。

藤原 反対に僕はこの下の薄さがナロー911っぽいというか、初代のボクスター2.5っぽくて、好きでしたけど(笑)。

島下 あとTでいえば、2リッターのフラット4が、最初出たときにはバラバラ、ボロボロという独特の癖が目立っていた気がしたけど、今乗るとあのイヤな感じがなかった。

村上 あれはみんな感じてたことだから、改善されたんでしょうね。

718ケイマンおよび718ボクスターでは2リッターフラット4ターボ・モデルに設定されている“T”グレード。



島下 でも何か変わったって、見てわかるようなところがないんですよ。明らかにエグゾーストの取り回しが違うわけでもないし。それでこの変わりようは大したものですよ。

藤原 すごくキレ良くヒュンヒュン回るでしょ。音もキューンと澄んだものになって、もはやエンジンを理由に4気筒のボクスター、ケイマンを否定する理由はなくなったと思う。

村上 ただTはヨーロッパ向けっていうのかな。ストップ・アンド・ゴーの少ない場所にはいいんだよ。山道を走らせたらこんなに軽快なクルマはない。そういう意味ではGTS4・0の方が重厚なクルマですよ。

島下 実際、ボクスターTが1380kg、ケイマンGTS4.0が1470kgで90kgも違いますから。

藤原 結構違いますね。エンジンが大きくて重いからかぁ。


島下 僕もTは見直しました。2リッターターボのボクスター、乗ってどうだろうと思ったけど、山で乗ると解消される。

村上 Tってかなり軽量化してるんでしょ?

島下 それがそうでもないんです。本国のリリースを読んでもナビがついていないとか、そのくらい。スタンダードに比べてスペック上も10kgしか軽くない。

荒井 でも運転した感覚的には軽いって思ったなぁ。

藤原 確かにそう感じました。

村上 ドアの取っ手のヒモとか、あれは気持ちの問題なんだね。

ドア内側のオープナーが簡素なベルト・タイプになるほか、スポーツ・クロノ・パッケージ、718の刺繍の入るスポーツ・シート、20インチ・ホイール、車高が通常より20mm低くなるPASMスポーツ・シャシーなどが標準装備となる。


ポルシェ史に残る名車

村上 今回2台乗り比べてみて、個人的にはGTS4.0のTってのがあれば最高だなって。GTSの軽いバージョンがあったら良いと思う。

藤原 意外とこれはこれでバランスしてるとも思いますが。

村上 いやいや、これで軽くしたらもっといいよ。最初に出たボクスター・スパイダーも単に軽くしただけですごくよかったでしょ。

島下 992がちょっと上の立派なものになった。一方ケイマンってハッチバックでカジュアルで、ちょっと抜けた感じ、頑張りすぎてない感じが絶妙。色を含めてそのカジュアルな存在感と、走らせた時の本物感ね。これがすっごく良いバランスだなって。

村上 今一番いいところにいるよね。

島下 これがGT4になるとちょっと頑張りすぎってなっちゃう。自分で買うなら左のMTを買うと思うけど、右のPDKなら奥さんも気軽に乗れるとか、相棒感があると言うか。これと毎日暮らせたらいいですよねぇ、と思う感じがある。

荒井 そう、このGTSには911のような支配されている感じはなかった。ちゃんと自分の手の内でコントロールできる。

藤原 懐に余裕のある人のGR86っていうか。走りに必要な要素すべてがここにある。スポーツカーの鏡みたいなクルマでした。

村上 これで1000万円切ってくれればなぁ。

藤原 それは最高(笑)。いずれにしろポルシェ史に残る名車ですよね。

村上 今買ってずっと持っていて、乗り続けていても古びないクルマ。

ボクスターTは、ドア内側のオープナーが簡素なベルト・タイプになるほか、スポーツ・クロノ・パッケージ、718の刺繍の入るスポーツ・シート、20インチ・ホイール、車高が通常より20mm低くなるPASMスポーツ・シャシーなどが標準装備となる。


藤原 6気筒ならボディの硬さとか、走りの質とかトータルのバランスでケイマンの方が合ってる気がしました。反対にボクスターは6気筒より4気筒の方が似合うと思うんです。屋根が開いて、軽いライトウェイトなキャラクターには、軽やかな4気筒が合っている。

島下 わかる気がしますよ。同じ4気筒でも718ケイマンTよりボクスターTの方がピタってハマった感じがする。

村上 987型でボクスター・スパイダーが最初に出た時もそんな爽やかなイメージだったよね。簡素な手動トップを採用したりして、とにかく軽くしたら、乗り味も爽やかになった。

藤原 そういう意味でもボクスターTは爽やかですよね。

荒井 超さわやか。若い感じ。

村上 ヤング・アット・ハートな。

荒井 MTだったのもよかったよね。

島下 これをMTで乗ってる人を見たら「おおっ!」って思いますよ。

藤原 粋人だなぁ~って。

荒井 街中でエンストしちゃっても、そこがいいんだよって。

村上 エンストしてもクラッチ・ペダルを踏むと勝手にかかってくれるから、あまり慌てなくて済む。

荒井 そこは便利。よくできてる。

藤原 正直、どっちも良くて悩ましい。でもやっぱケイマンGTS4.0の良さは、今のポルシェの中でも突出してますよね。

村上 バランスといい、性能といい、スポーツカーとしての出来が最上級と言っていい。ある時代の終わりにいるとすれば、その頂点の輝きのような、そういうクルマがケイマンGTS4.0、ボクスターGTS4.0なんだと思いますよ。

▶「ポルシェのおすすめ記事」をもっと見る

話す人=島下泰久+藤原よしお(まとめも)+村上 政(ENGINE編集長)+荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=神村 聖


■ポルシェ718ボクスターT
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4379×1801×1261mm
ホイールベース 2475mm
トレッド(前/後) 1515/1532mm
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1380kg(630kg:750kg)
エンジン形式 水冷水平対向4気筒DOHCターボ
排気量 1998cc
最高出力 300ps/6500rpm
最大トルク 380Nm/2150rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット(後) マクファーソンストラット
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 235/35ZR20/265/35ZR20
車両本体価格 921万円

■ポルシェ718ケイマンGTS 4.0
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4405×1801×1276mm
ホイールベース 2475mm
トレッド(前/後) 1527/1535mm
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1470kg(640kg:830kg)
エンジン形式 水冷水平対向6気筒
排気量 3995cc
最高出力 400ps/7000rpm
最大トルク 430Nm/5500rpm
トランスミッション 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット(後) マクファーソンストラット
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 235/35ZR20/265/35ZR20
車両本体価格 1152万円

(ENGINE2022年9・10月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement