2022.10.28

CARS

フェラーリSF90とどう違うのか? 乗ってわかったホンダNSXタイプSの凄さとは モータージャーナリストの島下泰久とエンジン編集部員が乗って語ったNSX座談会!【後篇】

これが最後! ホンダNSXタイプS

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特異な日本的スーパー・スポーツカー

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村上 エンジン・ドライビング・レッスンに2代目NSXで参加する人がいるんだけど、断トツに速い。

荒井 なんと! 筑波1000のようなショート・サーキットって、ロータス・エリーゼのような軽量級スポーツカーの独壇場だと思っていた。

島下 すごくよく曲がるし、タイト・コーナーの立ち上がりでも加速が素晴らしい。意のまま感があるでしょうね。

村上 ホントにこんなにイージーに速いクルマは珍しい。フェラーリやランボルギーニは座った瞬間から特別だからね。そういうものとはまったく違う日本的なスーパー・スポーツカー。特異なものだと思う。

荒井 それは初代から続いたものだよね。どんなに速くても日常の延長でしかない感じは。

島下 僕も初代NSXに乗ったときはシビックかよ? と思った。でも今思うとそれがいい。いつでもどこでも乗れて、本気で踏めば楽しい。

村上 唯一無二。そういうスーパー・スポーツカーはほかにない。

とてもしなやかな乗り心地のNSXタイプS。磁性流体を使ったマグネティック・ダンパーを改良し、ハンドリングと乗り心地の両方を向上したという。

荒井 とても日本的だというNSXタイプSだけど、そもそも2代目NSXが誕生したのは、アメリカの要求だったわけでしょう?

村上 アメリカで開発したんだよね。

島下 開発責任者はアメリカ人でした。まあ栃木研究所で働いていた人ですから、マインドとしては純アメリカ人ではなかったかもしれないけれど。で、こういう技術を育てていくのなら、ちゃんと日本でやらなきゃというので、開発が日本に戻されたんです。で、最後にこれが出た。

村上 ホンダのスポーツカーのなかでもNSXタイプSは特異だと思う。S2000にしてもシビック・タイプRにしても、操るのに技術が必要なクルマだったでしょう?

島下 S2000は下のトルクが全然なくて、エンストしまくりでした。

村上 それがスーパー・スポーツカーとして、こんなに乗りやすいクルマを出すんだからね。

島下 いままでのホンダは個人商店の集まりで、ひとつひとつのクルマが全然違っていたんですけど、ようやく横串が通ってきた感じがしています。シビック・タイプRもターボになった以降は、フツーになんとか使えるクルマになった。

村上 そうなんだ。だったらNSXは続けて欲しかったなあ。

荒井 せっかくここまで磨き上げられた素晴らしいものがあるのにね。

島下 トルク・ベクタリングはSF90よりこっちの方が全然いい。でもやめちゃうと、続けているところにいつか抜かれちゃうかもしれない。

村上 たしかにフツーの人が最も速く走らせることができるクルマの頂点という気がした。

荒井 それを享受できるのは30人しかいない。だから、買ったら乗って欲しいね。投資じゃなくて。

島下 そう。乗ったらこんなに楽しいモノはないって手放せなくなる。

話す人=島下泰久+村上 政(ENGINE編集長)+荒井寿彦(ENGINE編集部/まとめ) 写真=茂呂幸正

■ホンダNSXタイプS
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン+フロント2モーター4輪駆動
全長×全幅×全高 4535×1940×1215mm
ホイールベース 2630mm
車両重量 1770kg
エンジン 3.5リッターV6DOHCターボ
モーター 交流同期電動機
システム最高出力 610ps
システム最大トルク 667Nm
変速機 9段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後 マルチリンク
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 245/35ZR19 305/30ZR20
車両本体価格 2863万3000円

(ENGINE2022年11月号)

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