2023.07.12

CARS

「まさにサイレント・スポーツカー!」 これがベントレー・ベンテイガEWBに試乗した自動車評論家の生の声だ!! 【ベントレーの世界 前篇】

イギリスを代表する高級スポーツカー・ブランドとして104年もの歴史を誇るベントレーは今、2030年までのカーボンニュートラル化に向け、様々な分野で率先して活動を続けている。果たして、彼らの中に連綿と流れ続けているベントレー・イズムとは何か? 最新モデルを乗り比べながら考えてみた。モータージャーナリストの大谷達也と藤原よしお、エンジン編集長の村上の3人が座談でリポートする。

イギリスのプライド

村上 今回はイギリスを代表する高級車であるベントレーの世界を探求しようということで、ベンテイガ、フライングスパー、コンチネンタルGTの最新かつ、特徴的なモデルを選び、箱根まで走ってきました。

ベンテイガV8をベースにホイールベースを180mm延長したベンテイガEWB。ベンテイガ初の4WSの採用でV8よりも小さい5.9mの最小回転半径を実現した。48Vの電制アンチロールバーなど各種デバイスにより、高いドライバビリティを誇る。

藤原 ベンテイガは先日、日本に導入されたばかりのロングホイールベース版のEWB、フライングスパーも今年になって上陸したハイブリッド、そしてコンチネンタルGTはW型12気筒を積むハイパフォーマンス版のスピードの3台です。

村上 そこでベントレーに詳しいお2人に来ていただいたんですが、まず質問です。ひと言で言ってベントレーの世界とは何だと思いますか?

大谷 超ラグジュアリーなドライバーズカーですね。

村上 なるほど。藤原さんは?

藤原 イギリスのプライド。なんてったってロイヤルワラントですから。

大谷 その通り。この前のキング・チャールズが戴冠式の時に乗っていたのもベントレーだった。



村上 僕は今日乗って大自動車旅行、グランドツーリングってこういうクルマでするものなのだと、実感した。

大谷 具体的には?

村上 まったく乗っていて疲れ知らずだし、飛ばそうと思ったらいつでも飛ばせる。もう余裕の塊みたいなクルマ。かつて白洲次郎が3リッターで大自動車旅行をしたという世界が今も連綿と続いている。

大谷 それって100年前、1920年代の話でしょ。それが今でも結果として息づいているんだからブランドとして大したものですよ。

藤原 “ベントレー・ボーイズ”と呼ばれる血気盛んなセレブたちがル・マンを制した栄光から、ロールス・ロイスに買収されるまでの、いわゆるクリクルウッド時代ですね。

村上 それ以降にラグジュアリーな要素も入ってきた。

大谷 そうそう。ダービーに移ってガラッと変わるわけですよ。ものすごく静かで、乗り心地も良くて、豪華でっていう風になるんだよね。でも、今のベントレーが目指してるのは、W・O・ベントレーが采配を振るっていたオリジナルの姿。

藤原 大きくて、頑丈で、速く走るという。なにしろ、ル・マンで8年間に5勝もした、20年代のベスト・スポーツカーの1つですから。

大谷 ただ、そこから2000年くらいまで、ずっとロールス傘下になる。とはいえ、同じような格好に見えても差別化されていた。それがさらに別れたことによって、より明確になったのが、今のベントレーの姿。

藤原 今のラグジュアリーな世界っていうのはロールスとの時代に培ったもの。だけど別れた時に、ベントレーはクルー工場に残ったおかげで財産としてのクラフトマンシップを受け継ぐことができた。

大谷 それは今の両社のクルマづくりにも表れていますよね。今やイギリスの伝統を強く感じさせるのはベントレーの方です。その要因としてのクルー工場は大きい。

村上 あのインテリアの手作り感は相当独特だと思う。今のクルマだからグループの共通パーツを使わなきゃいけない宿命がある中で、すべてのパーツが手作りに近いような形でデザインされて作り込まれてる。ひと言で高級車って言うけれども、全然違う。ちょっとレベルが違うよ。これはリムジンだ!



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