2024.02.27

CARS

思わず「コレください!」と叫びそうになった! ジープ試乗初の“小さな”本格派、レネゲードは、どんなSUVだったのか? 【『エンジン』蔵出しシリーズ・ジープ篇】

ジープ・レネゲードに北米の国際試乗会で乗った!

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あっ!と驚くオンロード性能

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僕らが始めに乗ったのはリミテッドの4×4だった。洒落たモス・グリーンのメタリックがジープらしくていい。“マイ・スカイ”が着いていたので、試しに外してみようかとやってみたら、外すのは簡単。そして、軽い。ハニカム構造のガラス繊維強化ポリウレタン製で、これならひとりで持ち運べる。ただし、ガイドに嵌めるようにして取り付ける際は左右2人でやらないと素早くやるのはちょっと難しい。1週間以上も行われてきたこの国際試乗会はずっと晴天に恵まれたらしいのに、最終日の今日は雲行きが怪しい。雨の匂いがする。というわけで屋根は着けたまま走り出した。

全長が4.2m強しかないのに、後席背後の荷室容量は実に525リッターもある。背もたれは6:4もしく4:2:4の分割可倒式。敷居の高さは地上76cmと十分低い。


最初は助手席に陣取ってコマ地図と睨めっこしながらナビ役を務める。立派な車載ナビの用意はあるのだけれど、あちこち回るコースを辿るとなると、昔ながらの方法が一番確実というわけだ。ルートが単調になってふと気づいた。乗り心地が素晴らしくスムーズだ。車重が1.5tあるおかげもあってか、上質な乗り心地だ。爽やかで軽やかななかにしっとりとした落ち着きがある。下手なセダンよりずっとイイ。しかも、静かだ。ジープでございという顔つきからは想像できないほど洗練されている。後ろがよく見える巨大なドアミラーの影響か、Bピラーの辺りでさわさわと風切り音がするものの、よほど空力設計を練っておかないと、これほど静かにはならないはずだ。後で調べたら、風洞で徹底的に空力開発が行われていて、見かけによらぬエアロ・ボディだと分かった。抗力係数はCd=0.35~0.37に過ぎない。単に低抵抗というだけでなく、空力的安定性も高そうだ。強くなってきた風のなかでも、進路を乱されることがない。乗り心地といい空力性能といい、言い訳要らずのオンロード性能を目指したと開発陣が誇らしげに言うだけのことはある。これならもっぱら街で乗用車として使っても何も文句はでないだろう。

と思っていたら、くねくねとしたワインディング・ロードではさしたるロールも見せずにすいすいと泳ぐではないか。SUVとは思えないような身のこなしである。

運転を代わって驚いた。まるでスポーツカーのような仕立てではないか。ドイツ車的とも言えそうだ。電動アシスト式とはすぐには察知できない、程よい重さのステアリングはギア比が速めで、反応がクイックだ。曖昧さはない。山道で乗員の感じる横Gの増減を極力なめらなものにするには、少しだけギア比を遅くした方が運転が容易になるだろうとは思うが、ロールを抑えたシャシーのセット・アップとの辻褄は合っている。独りで楽しむには都合がいいだろう。

それはそうと、9段ATの威力はすごい。変速マナーは最上級の滑らかさ。しかも、ステップ・アップは驚くほど細かいから、駆動力の変化は少ない。2.4リッターエンジンが4気筒とは思えないほど滑らかに感じられる効果まである。乾燥したオンロードであれば、ほとんどの状況で2輪駆動になることもあって、SUVの不利を全く感じさせない。




呆気にとられるトレイルホーク

オフロード走行を堪能すべく用意された特設コースでトレイルホークに乗り換えると、またまた驚きが待ち受けていた。先導車はラングラーのルビコン! 4WDモードを“ROCK”に切り替え、さらに4WD・LOWを選んで後に続く。最初のうちは余裕だったが、しばらくすると、えっ!! そんなとこ走るんですか!! と躊躇するような大石ゴロゴロの道になった。ルビコンは苦もなく進む。ところが、レネゲードもほとんど同じように走れてしまう。これはスゴイ! 思わず、「これ下さい」と叫びそうになった。電子制御運転支援装置のおかげで近年のSUVはかなりのことができるようになっているとはいえ、小型クラスでここまでの踏破能力を携えているものは僕の知る限り、ない。“ジープ”の名は伊達ではない。こんな道を走るだろうか? と自問すると、もちろんそんなチャンスはないだろうけれど、それでも欲しくなってしまう。

縁遠かったSUVが急に魅力的に思えてきて、ちょっと困ったなぁと思うその後の日々である。

文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=FCA

■ジープ・レネゲード・リミテッド
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4232×1887×1689mm
ホイールベース 2570mm
トレッド 前/後 1540/1540mm
車両重量 1519kg
エンジン形式 直列4気筒マルチエア2 16V
総排気量 2360cc
最高出力 180ps/6400rpm(87RONレギュラー)
最大トルク 24.2kgm/3900rpm
変速機 9段AT
最終減速比 3.734:1
サスペンション形式 前後 ストラット/コイル(最低地上高200mm)
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 225/55R18オールシーズン
日本市場導入時期 2015年第3四半期


■ジープ・レネゲード・トレイルホーク
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4232×1887×1689mm
ホイールベース 2570mm
トレッド 前/後 1540/1540mm
車両重量 1621kg
エンジン形式 直列4気筒マルチエア2 16V
総排気量 2360cc
最高出力 180ps/6400rpm(87RONレギュラー)
最大トルク 24.2kgm/3900rpm
変速機 9段AT
最終減速比 4.334:1
サスペンション形式 前後 ストラット/コイル(最低地上高220mm)
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 215/65R17オールシーズン
日本市場導入時期 2015年第3四半期

(ENGINE2015年4月号)

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