2023.11.25

CARS

日本グランプリで優勝した生沢徹氏のカレラ・シックスが原点 5台の空冷911を乗り継いできたオーナーの現在の愛車は964型ターボ3.6

1994年型ポルシェ911ターボ3.6とオーナーの吉本さん。

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見た目も走りもドラマチック

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964ターボ3.6は、93年から94年にかけて世界でわずか1875台が作られ、日本には60 台程度が正規輸入された。とりわけ、吉本さんの「94モデル」は、総生産台数411台とされ、カレラRSと比べても希少性が高い車両である。日本では、993型カレラと併売されていた964シリーズ最後のモデルだ。

「930ターボSに乗っていたから、次のターボがどんなものか、興味があったんです。そうしたら、これも近所の店で見つけて、思わず駆け込みました。すると、たった4200kmしか走っていないからまたびっくり。このチャンスを逃してたまるか! と思っていたら、代わりになるクルマがないと売れないよ、と言われて。悩みに悩んで、930ターボSを泣く泣く手放しました」



930ターボSもまた、世界10台の超希少車だった。吉本さんは運命の911を寄せ付ける何かを持っているようだ。このあとは89年(通称930)のカレラ、同スピードスターも手に入れて、異なる3つの911の違いも楽しんだ。964ターボ3.6は、どんな911なのですか?

「まずなんといっても、このワイド・ボディが魅力ですよね。特別なクルマであることがひと目でわかるから、見ているだけでも心が満たされます。走りの面では、いわゆるドッカン・ターボの味わいです。930ターボSに比べればいくらかマイルドになった感覚もするけれど、ただ速いのではなく、エンジン回転の上昇とその加速していく様子がドラマチックで、感性が感じられるのが好きなんです。ターボ3.6のエンジンはカレラRS系にも搭載されたM64型がベースで、930ターボから踏襲されたM30型エンジンを積む964ターボ3.3とは全く別モノなんですよ。『良いモノが使われているんだ』という満足感も高いです」



取材日時点のオドメーターの値は、6208kmを示している。どこを見回しても新車のような状態で、タイムスリップしたような気分になる。

「ここ数年、市場価値があまりにも高騰してしまったから、走らせるのがちょっと怖くなって。だから今は週末に少し動かすばかりです。このクルマは眺めているだけでも幸せだなぁと思っていたけれど、やっぱり乗るのが一番楽しいな、と今日久しぶりに走らせて思いましたよ! もう少し動かすようにしていきたいな」

内装はグレー・レザー張りで、フロント・シートは8ウェイの電動調整式。

この手のクルマの維持に欠かせないのは信頼のおける主治医だが、幸いなことに、すぐ近くにいるそうだ。

「私は空冷ポルシェの腕前に定評がある、世田谷区中町の『センティード』の今井 誠さんにずっとお願いしています。今回も、久しぶりに動かすから事前に診てもらったんですよ」

吉本さんのターボ3.6は、これからが本当の出番なのかもしれない。

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

リア・フェンダーは大きく外へ張り出し、ワイド・トレッド化していることは写真からも一目瞭然。リア・エンブレムには「turbo 3.6」の文字が。

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(ENGINE2023年11月号)

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