2024.01.08

CARS

ヤフオク7万円で買ったシトロエン、天国から地獄へ! 夜中にはじめての立ち往生! 僕は、愛と財力を試されているのか?【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#29】

2022年9月1日深夜、キャリアカーで運ばれる編集部ウエダのシトロエン・エグザンティア。

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鈴虫退治に手こずる

入庫から1週間後、カークラフトの篠原さんから修理完了と連絡があった。



フォグ・ランプ不灯の原因は球切れでなく、室内側のスイッチだった。検証のためいったん脱着したのだが、これがなかなか大変だったそうだ。取扱説明書では簡単そうに書いてあるけれど、実はユニットの枠を外からひっぱりつつ内側からステーを押さねばならず、2人でやるならともかく、1人ではなかなか手が足らない。

用意してあった黄色の電球は不要になってしまったが、脱着のついで交換してもらった。問題のスイッチは部品取り車のアクティバのものがすでに欠品だったので、オリジナルをバラして丁寧に清掃し、再度組み立てると復活した。どうやら内部の接触不良だったようである。

フォグ。ランプ点灯時はこんな感じ。個人的にはメイン・ライトもイエローにしたいところだが。

ウィンドウ・ウォッシャーはまず片側2カ所、計4カ所のノズルを丁寧に清掃。長年のワックスなどによる詰まりはこれで解消した。またボンネットを開け閉めする際にホースが曲がって潰れ、作動不良の原因になっていた。そこでフォルクスワーゲン・ルポ用のL字型の伸び縮みするホースを間に繋ぎ、流れを止めないよう改良している。

ボンネット左右のアース線も同様に、長い間の開閉で劣化していたので、こちらは新たに造り直してもらった。ただしこれはバッテリー周囲の配線のように始動不良などに繋がる重要なものというよりは、カー・オーディオなどの雑音対策として付いているレベルのものだという。

鈴虫退治は難航した。車内の異音はいろいろなところから伝わってくるもので、たいていオーナーの指摘する場所とは、ほど遠いところで音が出ていることが多いという。実際、僕が発生源と感じたメーター裏側には、ケーブルなど速度に乗じて振動するようなものはなかった。

カークラフトで探したところ、とりあえずステアリング・ギアボックスの上に付く遮熱板のカバーの爪が外れているのが見つかった。この爪はひっかかりが浅く、衝撃などで外れた可能性がある。再度組み直し、念のためタイラップで上からしっかりと固定した。

最後にエンジン・オイルとオートマチック・フルードを交換。走行距離や状況にもよるけれど、今後は1年に1度くらいのスパンでの交換を奨められた。使用した油脂類の銘柄や性能、劣化具合の検証などについては、また機会を改めてご紹介したい。

こんなのは地獄じゃない!?

油脂類の交換時には下回りもチェックされ、ハイドローリック・シトロエンの命ともいえるLHMのホースの劣化が発覚。エンジン・ルーム内のタンク上部と、車体後部のリターン・ホースの2カ所から微量の漏れが見つかった。

クランプを外してみると、その下から滲んでいた。

タンクのシールはすでに交換していたのになぜ? と思ったら、ここへ繋がる複数のリターン・ホースのうちの1本の、クランプの下からわずかに漏れ出していた。リア側も経年劣化で硬化し、アンチシンク・スフェアの付け根の、エレクトロ・バルブに繋がる部分が裂けて漏れていた。

どちらもさほど圧がかかるところではないので、クリーニングとクランプの締め直しと、ホースの延長で対策。減っていたLHMも補充してもらった。

ホースはできればさっさとすべて交換したいところだが、あちこちへ分岐している上に入口と出口の径が違ったりするので、新規作成はなかなか手間がかかる。使用点数も多く、純正パーツはほぼ欠品だ。ここは様子を見つつ、部品の捜索を続行することにした。

「漏れじゃなくて、せいぜい滲みだよ滲み。こんなのは地獄なんて言えないなぁ。うちのほかのお客さんたちも、きっと読者の皆さんも、もっと何かがあるだろうと期待をしているのに」

他人の不幸は蜜の味。カークラフトの篠原さんはそういって笑い、着実に地獄が近づいているのを感じているようだったが、僕はその気配にまったく気づいていなかった。なにせこの5カ月、機関自体は快調そのものだったからだ。

しかも今回の入庫後、パワートレインの感触はさらによくなっていた。エンジンはヘッド・オーバーホール後のならしが進んだこともあってよりスムーズに回るようになっているし、オートマチックの変速もスッ、スッとすごく小気味いい。



僕はこの変わりように味をしめ、高速道路を早々に降り、そこから空いた道を探して回り、カークラフトから東京まで一般道を約6時間延々と走り続けてしまった。

もともとエグザンティアは60km/hくらいで信号のない田舎道をノンストップで走っている時がとてつもなく気持ちいいのだけれど、機関から雑味が消えたことが、それをさらに助長しているようだった。

なお修復の工賃と部品代(かっこ内に記載)は以下の通りである。
※部品価格などは2022年8月時点のもの

・フォグ・ランプとエンジン・ルーム内ヒューズ・ボックス点検、
ステアリング・ホイールとコラム・カバー脱着、
フォグ・ランプ・スイッチ分解清掃、H3ランプ2球交換    14,400円
(※ランプは2球で1ペア4,200円)

・ウインドウ・ウォッシャー・ホース点検、ノズル清掃    他作業に含む
(※中古のVWルポ用L字型ジョイントを流用、部品代なし)

・ボンネット・アース・ケーブル脱着、作成、組み付け    他作業に含む
(※アース・ケーブル2本1,600円)

・ステアリング・ギアボックス遮熱板固定          他作業に含む

・エンジン・オイル、オイル・フィルター交換        2,000円
(※エンジン・オイル4.8リットル16,800円、
オイル・フィルター1,500円、オイル・トリートメント2,000円)

・オートマチック・トランスミッション・オイル交換     2,000円
(※オートマチック・オイル2.5リットル4,750円)

・LHMリターン・ホース点検、LHM補充           3,000円
(※LHMホース用クランプ2個600円、
LHMタンク用クランプ230円)

合計                           53,080円

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