2024.03.17

CARS

【動画付】「次に乗り比べるまで、結論はお預けにしよう」 驚愕の新技術、ポルシェ・アクティブライド・サスペンションとは? 新型ポルシェ・パナメーラに試乗!

新型ポルシェ・パナメーラ

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逆ロールさせるのも可能

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そもそも、標準のエアスプリングが2チャンバーなのに、なぜこちらが1チャンバーなのかと言うと、スプリングは常にソフト側に固定して、あとはすべてをダンパーに任せておけばいいからだそうだ。それだけ飛び抜けて広い領域での制御が可能だということになる。なにしろ、これを使えばこれまでのアクティブ・スタビライザーも不要。そのかわりに電気モーター・ユニットを取り付け、400Vの電源でそれを回して油圧を発生させ、硬さの変化はもちろん、高さも標準位置から上に9cm、下に10cmまで動かすことができるというのだ。実際には乗り込み時にボディを55mm持ち上げて乗降しやすくするほか、リフト・モードでは30mm上がり、スポーツでは10mm、スポーツプラスでは28mmそれぞれ下がる設定になっている。そして、走行中は常に硬さと高さを変化させて、走行に最適な状況を作り出す。どんな悪路でもボディはまったくフラットな状態で走り抜けられることを、サーキットに特設された凸凹コースで体験した。パイロン・スラロームをやってもノンロール。フルブレーキングやフル加速をしても、ノーズダイブもスクワットもしない。いや、それどころか、場合によってはコーナリング時にクルマを逆ロールさせてオートバイのようにリーンさせることもシステム上は可能で、実際に特殊な状況ではそういうこともするという。

サーキットではターボEハイブリッドに試乗した。ターボ・モデルは左右のエア・インテークのブレードが1 枚になり、フロント・リッド先端のポルシェ・クレストが白黒になるほか、サイドウインドウのトリムもブラックアウトされる。今回は試せなかったが、バッテリー容量の大幅な増加により、電気走行可能距離は75%増えて最大93㎞になった。


しかし、重要なのは、それがドライバーにとって違和感なく、自然に行なわれるということだろう。本コースを走って、その実力のほどを試した。モードによって制御のレベルは変化し、本コースを走るのに使ったスポーツプラスでは、本当に必要なだけの制御しかしないようになっているという。しかし、それでもブレーキング時やフルスロットル時には、最適な姿勢を保つようにクルマがコントロールしてくれていたようだし、ロール制御も抜群に上手いようだ。「ようだ」というのは、どこまでがこのシステムによるものなのかわからないくらい自然にそうなっているからだ。スポーツ走行を終えた後、ノーマル・モードで時速50kmから70kmで走り、わざとクルマを振り回すような操作をすると、かなり積極的に足が動いているのがわかった。なるほど不思議な動きをする。本当は一般公道で試してみたかった。

サーキットからの帰りは素のパナメーラに乗った。4より鼻先が軽くて、運転していて気持ちいい。足回りもこっちで十分いいじゃないか、と思ったけれど、次に乗り比べるまで、結論はお預けにしておこう。

文=村上政(ENGINE編集部) 写真=ポルシェ



新型ポルシェ・パナメーラ「アクティブ・ライド・デモンストレーション」
タコ踊りするパナメーラ! 

これこそが、新しいポルシエ・アクティブライド・サスペンションのなせる技だ。国際試乗会が開かれたセビリアのモンテブランコ・サーキットには、デモンストレーション用にアイフォンでダンパーの伸び縮みを遠隔操作できるようにした試乗車が用意されていて、目の前でタコ踊りを実演して見せてくれた。これだけ自由自在に足が動けば、どんな悪路にいっても、どんなGのかかるコーナーでも、常にボディをフラットに保つことができるのも頷ける。それにしても、こりゃまるでアメ車のローライダーが飛び跳ねる姿を見ているようだ。



新型ポルシェ・パナメーラ「アクティブ・ライド・デモンストレーション」
この足の超絶技巧的伸び縮みを見よ!

国際試乗会の会場には、激しい凸凹を人工的に作り出したコースも用意されていて、そこでノーマル・モデルとポルシェ・アクティブライド・サスペンション装着モデルとを乗り比べて、その実力を体感できるようになっていた。外から見ていると、どんな凸凹道を走っても、ボディは微動だにせず、足だけが激しく上下している様子が見て取れる。まるでアヒルの水掻きのように、上半身は悠々としているのに、下半身だけは必死になって仕事をしているというわけだ。

■ポルシェ・パナメーラ(4)
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪(4輪) 駆動
全長×全幅×全高 5052×1937×1423mm
ホイールベース  2950mm
車両重量  1885kg(1920kg)
エンジン形式  水冷V6DOHCツインターボ
排気量  2894cc
ボア×ストローク  84.5×86.0mm
最高出力(システム)   353ps/5400-6700rpm
最大トルク(システム)   500Nm/1900-4800rpm
トランスミッション  ツインクラッチ式8 段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後)  265/45ZR19/295/40ZR19
車両本体価格(税込み)1424万円(1479 万円)

■パナメーラ・ターボE ハイブリッド
駆動方式 フロント縦置きエンジン+電気モーター4輪駆動
全長×全幅×全高  5054×1937×1421mm
ホイールベース  2950mm
車両重量  2360kg
エンジン形式 水冷V8DOHCツインターボ(+電気モーター)
排気量  2894cc
ボア×ストローク 84.5×86.0mm
最高出力(システム) 519ps/6000rpm (+190psで計680ps)
最大トルク(システム)  770Nm/2330-4000rpm(+450Nmで計930Nm)
トランスミッション ツインクラッチ式8 段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/エア・スプリング
サスペンション(後) マルチリンク/エア・スプリング
ブレーキ(前後)   通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 275/40ZR20/315/35ZR20
車両本体価格(税込み)  未発表
    
(ENGINE 2024年5月号)

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