2024.05.28

CARS

還暦過ぎたら「上がりのクルマ選び!」 モータージャーナリストの国沢光宏がレクサスLC500コンバーチブルとLC500に試乗! こういうクルマでアガリたい!

モータージャーナリストの国沢光宏さんが上がりのクルマとして選んだのは、どっち?

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クーペかオープンか

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価格は新車で中古のカリフォルニアやコンチネンタルGTと同等。上がりのクルマは出来れば新車で買いたい。ということでLCのカタログを見ると、大きな選択をしなければならない。そうです。今回のテーマである「クーペかオープンか」であります。LCは途中でオープンを追加したのだけれど、これがまたイイ! 屋根を開けるとクーペより強い「贅沢してすみません感」がある。

低速トルクの豊かなV8は屋根を開けてクルーズするのに相性が抜群だ。


考えてみたらコンチネンタルGTの時もクーペかコンバーチブルかで迷った。もっと言えば、同じモデルにオープンがあれば、どんなクルマでも迷うと思う。ただ500万円程度のクルマでオープンを選ぶとなると、車両価格にして20%以上高くなってしまう。一方、高額のクルマなら10%程度の差。消費税と同じくらいで済む。当然ながら大いに迷うでしょう。

ちなみに過去、ケイマンかボクスターかというときは、考えること無くオープンのボクスターを買った。なんとなれば「オープンの方が安かった」からだ。最新の718はオープンの方が高くなりましたけど。今考えても先代の「ケイマンより安いボクスター」の価格設定はナゾである。脱線した。LCのボディ選びだった。それぞれどういった特徴と弱点を持つのか?

幌タイプの屋根であれば、必ず幌は寿命を迎える。保管状態にもよるけれど、屋外なら10年。屋内であれば20年以上コンディションをキープ出来ることだろう。私は屋内駐車なのでどちらでもいい。現在65歳。間違いなく免許返納まで幌でも問題無いと考えます。もちろん金属トップであれば耐久性についての心配は無い。動きが複雑な電動トップだと開閉機能のトラブルは出るか?

ラグジュアリーな雰囲気を醸し出すLC500コンバーチブルのインテリア。オープンカーにおいては内装も外観の一部であるという考え方が徹底され、白とブルーのインテリアがボディと上手にコーディネートされている。


視認性という点でもオープンはクーペに届かない。リアウインドウの面積を確保出来ないからだ。LCも、クーペからルーフを閉じた状態のコンバーチブルに乗り換えると「あれれ?」と思うくらい視野は狭くなる。斜め後方に付いた白バイだって発見しにくい。有り難いことに最近のクルマはバックカメラが付くし、斜め後方の接近センサーだってあるから慣れると言えば慣れる。

気持ちのいいオープン

オープンの魅力は当然ながら屋根を開けた時の気持ちよさにある! 同じクルマであっても屋根を開けた時の開放感ときたら筆舌に尽くしがたい。特に新しい世代のオープンはトップを開けた時の空気の流れまで風洞で入念にチェックしているため(キャビン後方のリフレクターなども有用)、屋根を開けて走っても古いクルマのように髪の毛が渦巻くようなことだって無い。

幌は50km/h以下ならスイッチ操作が可能。15秒で開閉する。


クローズドから屋根を開けるのはスイッチ一つ。ロック操作不要。使い勝手に文句無し! また寒い時季であってもシートヒーターや、パワフルで空気の流れをしっかり考えられたエアコンによって案外快適に走れてしまう。むしろ「頭寒足熱」が気持ちよいほど。最大の「こりゃダメだ」は夏の昼間。そもそも周囲に茹だったジジイを見せるのは悪い趣味だと考えます。

そして「少しばかり恥ずかしい」こと。読者諸氏もオープンで調子に乗って走っている高齢者を見た経験あるだろう。決して「いいね!」という印象にならない。隣に若い女性でも乗せていたら、少しばかりイラつく。今回は撮影だから都内でトップを開けて走っているけれど、プライベートであれば開けないと思う。実際、かつて何台かオープンカーを所有したが、ほぼ閉じて走っていた。



ここまで読んで「じゃオープンを選ぶ意味ないですね」と思うかもしれない。その通りです。むしろトラブルフリーでボディも剛性高く(しっかり補強入れているLCはルーフを閉じておけばボディ剛性は気にならないレベル。いや、開けてもブルブル感は無い)、視界もバッチリのクーペの方が上がりのクルマとしてふさわしいような気がする。ここでまた迷うことに。

絶滅危惧種のV8

興味深いことにLCはオープンを選ぶと自動的に今や絶滅危惧種となった5リッターV8だけとなる。さすがに今回のマイナーチェンジで騒音対策をしたんだろう。爆音を出していた初期型よりずいぶん静かになってしまい、V8特有の「ぐももも」というビート音もしない。それでもV6のハイブリッドよりクルマらしい。ここはもう最後のクルマということも考え、V8でしょう。

そして開けなくてもいいから「開けることも出来るんだぞ!」という気持ちだけでオープンを選びたい。何を隠そうLCも上がりのクルマの候補に挙げており、今回の取材以前から「乗るなら瞬時も迷わずオープン!」と決めている。年に数日かもしれないが、暑くも寒くも無い快適な天気の日に屋根を開けて走ると「ごめんなさい!」と謝りたくなるくらい気持ちいいです。クーペは現役の人にすすめておく。

文=国沢光宏 写真=茂呂幸正



■レクサスLC500コンバーチブル
駆動方式 フロント縦置き後輪駆動  
全長×全幅×全高 4770×1920×1350mm  
ホイールベース 2870mm  
車両重量 2050kg  
エンジン形式 V型8気筒DOHC  
総排気量 4968cc  
最高出力 477ps/6000rpm  
最大トルク 540Nm/4800rpm  
変速機 10段AT  
サスペンション(前) マルチリンク/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ前&後 通気冷却式ディスク  
タイヤ 前245/40R21 後275/35R21  
車両本体価格 1550万円  

■レクサスLC500h Sパッケージ
駆動方式 フロント縦置き後輪駆動  
全長×全幅×全高 4770×1920×1345mm  
ホイールベース 2870mm  
車両重量 2010kg  
エンジン形式 V型6気筒DOHC  
総排気量 3456cc  
最高出力 299ps/6600rpm  
最大トルク 356Nm/5100rpm  
変速機 CVT  
サスペンション(前) マルチリンク/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ前&後 通気冷却式ディスク  
タイヤ 前245/40R21 後275/35R21  
車両本体価格 1533万円  

(ENGINE2024年6月号)

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