2024.09.04

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダのパワステ地獄! 原因は動脈硬化? それとも尿路結石? 【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#48】

猛暑となったこの夏、エグザンティアの運命やいかに……。

全ての画像を見る
ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月と200万円かけて修復後、走り出したエンジン編集部員ウエダの自腹散財リポート。今回も引き続き路上復帰から1年目の点検後のテスト・ドライブで発覚した、ステアリングのパワー・アシストの故障に悩まされたお話。

advertisement


4度目の正直でLHMタンク総点検

ステアリングのピニオン・バルブやアシスト・シリンダー、そしてブレーキ・フルードやサスペンション・フルードとともに、パワー・ステアリングのフルードも兼ねているLHMを各部へ送り出すハイ・プレッシャー・ポンプ……。過去に手を入れていないところはすべて見直したエグザンティア。だが奮闘むなしく走っているとステアリングのパワー・アシストは急に働かなくなってしまう……。

フィルターから吸い上げるパイプ内部も結晶状の汚れが付着している。

こうなったら後は初心に立ち返り、LHMの流れるところを1つ1つ見ていくしかない。結局犯人は大規模修復の時に洗浄し、フィルター類もすべて交換していたため後回しにしていたLHMのタンク内部にいた。その後も何度かLHM漏れがあったので補充や点検をしていたところだ。まさかこの中が原因だったとは……。

LHMタンク内部、特にLHMを送り出す供給方向のフィルターの中は、結晶状の塊のような無数のヘドロが詰まっていたのだ。人間でいうなら、動脈硬化か、尿路結石みたいなもの。管という管の内壁にへばりついていた塊が、この1年1万5000kmというハイペース走行が原因で、一気に剥がれて詰まり、LHMの流れを止めてしまったようだ。

フィルターを外すと、なんと結晶状の塊がびっしり。

おそらくLHMの供給が止まることでラインの内部にエアを噛んでしまい、その結果ステアリングのパワー・アシストが止まったと考えられる。

ほかに2台のエグザンティアを整備しているカークラフトでも、1年でここまでフィルターが真っ黒になるような症状は、これまでなかったらしい。

「最初に入庫して来た時、タンク上側のシールが、漏れの対策だったのかゴム系接着剤で固定されてしまっていたが、長い間LHMを補充しているだけで、タンクの中を抜き取ったりはしなかったのかもしれないな」

代表の篠原 勇さんによれば、フィルターはLHMを送り出す供給方向と戻ってくるリターン方向、つまり動脈側と静脈側にそれぞれ1つずつあるのだが、ひどいのは動脈側だったそうだ。

特にポンプからLHMを吸い上げる供給側、つまり動脈にあたる側のフィルターの汚れが激しい。

根本的にこの問題を解決するには、フィルターの洗浄だけでなく、すべてのLHMホース内壁を点検し、いっきに交換したいところ。だが、当然部品はないし、新規作成は恐ろしく手間が掛かる。とりあえず現時点では世界中から情報を収集しつつ、LHMホースの完全作り直しのための、部品集めをはじめることにした。

このLHMのホースは、単純に各部を繋いでいるだけでなく、分岐は複雑な上、各部で内径外径が異なる、様々なものが使われている。特にこの長さや径は、LHMの流量や流速を決める非常に重要なものだ。開発時のドタバタでいきあたりばったりな部分もあったかもしれないが、作り替える時に、径も取り回しも極力変えないほうがいい。部品集めと同時に、各部の徹底した計測も必要である。

幸いカークラフトではこのLHMラインの完全新規作成のための部品の目星はあるようだった。取り急ぎLHMに素材が侵されないか、部品のテストを繰り返しておくという。

この結果を待ち、LHMのラインはいずれ作り直すことにしたが、とりあえず現状ではLHMタンク内とフィルターの点検を、もっと短いスパンで繰り返していく以外に手はないと判断された。LHMは1回の交換ではすべて抜けないので、念のため何度もしつこく入れ替えもしておいた。ここまで作業をしたおかげか、長時間ロード・テストをしても、ステアリングのパワー・アシストは大人しく作動し続けるようになった。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement