2025.06.12

CARS

3点式シートベルトの元祖たるボルボ 新開発シートベルトは様々な体格や姿勢に対応しEX60に採用へ

ボルボのエンジニア、ニルス・ボーリンが考案し、PV544というモデルに採用された3点式シートベルト(1959年)と新型のマルチアダプティブ・シートベルト(2025年)。

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ボルボが、マルチ・アダプティブ・シートベルトを開発。2026年に発売を予定している新型EVのEX60に初搭載することを発表した。

ボルボの安全性追求には先駆者の誇りと覚悟がある

これは、衝突時にシートベルトが身体に与える力を制御するロード・リミッターの仕様を11種類と、従来の3種類から大幅に増加し、状況や個人により合った性能を発揮できるようにしたもの。

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作動具合の決定には、さまざまな車内外のセンサーや衝突センサーのデータを活用する。

衝突の方向や速度、乗員の体格や姿勢などをシステムが瞬時に判断し、最適な設定が選択される。



たとえば大柄な乗員の激しい衝突時には頭部損傷、小柄な乗員の軽めな衝突なら肋骨骨折と、特定のリスクを軽減するためにロード・リミッターの荷重設定を変化させるのだ。





1959年、世界に先駆けて3点式シートベルトを導入したボルボが、それを先進技術で進化させるマルチ・アダプティブ・シートベルトは、ボルボの並々ならぬ安全の追求が結実したものと言える。

2000年に開設したセーフティセンターの衝突実験施設では、これまでに7000台以上のクラッシュテストを実施し、試験データを積み重ねてきた。



850tもの可動式クラッシュ・バリアや、北欧に生息するヘラジカのような大型動物を想定したダミーなど、独自の設備も多いが、目を引くのは2本の実験路のうちの1本。建物から外へ伸びる80mのトンネルが、時計の針のように90度スイングするのだ。





これにより、屋内の衝突実験場では、さまざまな角度からの衝突のしかたが検証できる。さらに、屋外へ向けて走行すれば、スイングの円周上に配置された横転や溝への転落、壁やガードレールへの衝突といった多様なシチュエーションのテスト施設をすべて、1本の助走コースで使うことができる設計となっている。

マルチ・アダプティブ・シートベルトは、ここでのテスト結果だけでなく、実際の事故から得たデータも開発に活かされ、OTAアップデートによって継続的に性能向上が図られる。

事故防止や被害軽減のため、ほかに類を見ない実験施設を用意し、さらには不幸にして起きた事故さえも糧とする。ボルボの安全性追求には、先駆者の誇りと覚悟がにじんでいる。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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