2025.10.11

LIFESTYLE

築28年ですっぽりと森に飲み込まれた建築家の自邸 夫はポルシェ、妻はカングー 愛車が大活躍する素敵な田舎暮らし 

梶原邸が完成したのは1997年。家の完成時は周りに大きな木がなかったが、あっという間に森の中の一軒家のようになってしまった。

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斜面に建てた家

東に向かって上がっていく傾斜地の敷地は、面積が1100平方メートルほど。梶原さんは、100以上の設計案を作ったという。南側は崖になっているので、家が建つことはない。プランは、この南面に大きな窓があり東西に長い、ワンルームのような家に落ち着いた。西側の低い方に吹き抜けのリビングを。ダイニング・キッチンは、斜面の勾配に合わせ、東の2階に相当する高さに設け、その間を幅の広い階段で繋いだ。ダイニングも窓が大きく眺めが良いので、明るく開放感がある。床面積が100平方メートル強とは思えない、広さを感じる居心地の良い家だ。

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ダイニングルームに続く、階段の途中から見たリビングルーム。天井高は5m近くある大空間。写真左手の南側は、大きな窓になっている。右手奥が玄関。窓際に置かれた個性的なスピーカー、ローテーブルや腰掛けている椅子は、梶原さんがデザインしたもの。アンプなどのオーディオ機器類はテーブルの中に収められ、ソファーからちょっと手を伸ばせば操作できるようになっている。

主寝室は地面を少し掘った半地下に設けた。クーラーがない家だが、暑い夏でも涼しく眠れるそうだ。冬は屋根面で温めた空気を床下に送り込んで蓄熱する方式を採用。カーブした天井の裏に、機器類を隠した。

「家を建てた当時は、今のように『美しい村』として知られていませんでした。東京から週末だけ通う生活を始めたところ、ここでの生活が本当に快適で。家族全員が気に入り、長男が小学校に上がるタイミングで、二拠点生活を止めて小砂に移ってきました」

今年で築28年の梶原邸。地元の杉をふんだんに使った家の内外は、雰囲気のある経年変化をみせている。辛子色に塗られた北側の壁の色も落ち着き、木々の緑と良いコントラストだ。幸いなことに、完成以来大きな補修の必要もなく、その間手を入れたものといえば、暖炉から薪ストーブに変えたくらい。ストーブの方が熱効率が良く、家の中はより暖かくなった。あとは消耗品を交換した程度だが、今後は少しずつ手を入れることを考えているという。

梶原さんの右手の薪ストーブは、去年交換したもの。奥は書斎になっている。

この3月まで、宇都宮大学で教鞭をとっていた梶原さんは、機会があればこの家を学生たちに開放し、実際に住宅を体験して貰ってきた。都会の学生と違い、建築家が設計した住宅を実際に訪れることができる機会は、本当に貴重なのだ。学生らの訪問時の記念写真を梶原さんは時折SNSにアップしているが、彼らの顔の輝いていること。リビングからダイニングに続く幅の広い階段は、ベンチ代わりになるだけでなく、腰掛けた全員を写すことができる、格好の記念撮影スポットにもなっている。大学を退任した梶原さんは、那珂川町を英名にした、設計事務所「ナカリバデザイン」をこの4月にスタートさせた。

東側のダイニング。カーブした天井の裏に、ソーラーシステムのファンやダクトが仕込まれている。

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