2020.07.27

CARS

「魂がつながっていた」デザイン・プロデユーサー、ジョー スズキさんの道具を越えた特別なクルマとなった人生最高の一台とは

パリからクルマで40分(約70キロ)の、フォンテーヌブロー宮殿の前で愛車と。1992年撮影。今でもナンバー・プレートは大切に保管している。

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これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。雑誌『エンジン』の住宅訪問シリーズでお馴染みのデザイン・プロデューサーのジョー スズキさんが選んだのは、「1990年式BMW320i」。30年ほど前に会社員としてパリに駐在していたジョー さん。今でも忘れられないのは4年半、公私を共にした、BMWの3シリーズである。

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人生最高の左ハンドル

僕にとって人生最高のクルマは、パリ時代に乗っていたBMW320i(1990年式)です。せっかくのフランス暮らしなので、日本ではなかなか乗れないマニアックなフランス車にしたかったのですが、当時は企業の駐在員。個人所有のクルマですが、仕事で使う場面も多く合理的に選びました。意外やこれが大正解。忘れえぬ一台となりました。

クルマ選びの際の条件は、日本からの来客を乗せる機会が随分とあるので、4ドアで大きなスーツケースを積めること。故障の少なさも重要です。また路上駐車の際は、前後のクルマをバンパーで押して動かし、自分の駐車スペースを作り出す必要があります。全長が短い小さなクルマだと有利ですが、高級ホテルや星付きレストランでも歓待される一台でないといけません。そして何より、運転して楽しくないと。

こうしてすぐにBMWの3シリーズに決めましたが、ミッションで悩みました。普通であればMTでしょう。ところが我が家を出ると、絶対に凱旋門のロータリーを通らないといけません。慣れと度胸が必要な、パリで最も厄介な場所です。考えた末ATを選びました。かの地では数少ない仕様ですが、運よくモデル末期の新車があって。人生唯一のニュー・カーです。そうそう、心配したロータリーの運転にはすぐに慣れました。このクルマと過ごした4年半、一度も事故はありません。試乗しないで購入しましたが、定評のある6気筒エンジンはご機嫌で、石畳の多いパリの道でも快適でした。

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