2020.09.14

CARS

初代ユーノス・ロードスターは今も実家のガレージで眠っている! 自動車ジャーナリスト、藤野太一さんのロードスター愛に拍手!!

マツダが「人馬一体」をテーマに開発した2座オープンカー。ユーノス・ブランドから登場した初代は1989年のデビュー。2代目からマツダ・ロードスターと名を変え、現行モデルは5代目となる。

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05年に『カーセンサーエッジ』の創刊に携わったときにはラッキーにも3代目のNC型ロードスターの担当を任された。サード・ジェネレーションリミテッドという初期型に設定された限定車は、真っ赤なレザー・シートに、ボーズのオーディオや専用デザインの17インチ・アルミと、ちょっと豪華な仕様だったけれど、それもまごうことなきロードスターだった。

14年9月、千葉県幕張のイベント会場で開催された第4世代となるND型ロードスターの発表会にも立ち会うことができた。一般のファンを優先的に前列の席へ、報道関係者は後席にというファンを大切にする演出のもと、固唾を呑んで見守る観衆の前に、軽量、FR、重量配分最適、そしてアフォーダブルであるべきという執念の権化ともいうべき新型が姿をあらわしたとき、会場が一瞬静寂に包まれ、そして大歓声が巻き起こった。あとにも先にもない不思議な体験だった。こうしてロードスターはわたしのクルマ人生においてエポックな存在であり続けている。

かつて村上編集長はロードスターについて「こんなに走らせて楽しいクルマを日本が持っていることを誇りに思う。運転の技術も楽しさもすべてロードスターで学んだ。私の恩人ならぬ恩車だ」と述べていた。

わたしの実家にはいまも初代ロードスターがある。そのカタログには、『乗り手と愛馬との間に通う、そうした一体感こそ、ドライバーとスポーツカーを結ぶいちばんの絆であるとの思いが、「人馬一体」という言葉には、込められている』という記述がある。わたしにとっても紛れもなく恩車であり、そして愛車なのだ。

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文=藤野太一(自動車ジャーナリスト)



(ENGINE2020年7・8月合併号)

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