スターターボタンを押すと目の前にバーチャル・メーターが出現する。キャプチャーとは異なる全面液晶パネルのフルデジタル表示で、4つの表示モードが選べる。センターディスプレイでまずマイセンス・モードを選び、Dレンジに入れてスロットル・ペダルを踏む。
ダイレクト感に溢れる発進はモーターのみで、途中からエンジンが始動し、回転を上げていく。右足を緩めるとエンジン側の変速機が高いギアに変速を行いエンジンの回転が落ちていく。スロットル・ペダルから足を離すとエンジンが停止してエネルギー回生が始まり、ブレーキ・ペダルを踏むと回生が強まる。Bレンジではそれぞれの回生がさらに強くなる。もっとも印象的だったのは、エンジンやモーターなどパワートレインの切り替えの瞬間が手に取るようにわかること。吹け上がりや変速を含めてショックはないがダイレクト感にあふれている。
走り好きの気持ちを掴んだ設定に感心そのキャラクターを強調するのがスポーツ・モードで、エンジンのレスポンスが鋭くなるだけでなく、減速時にもエンジンを止めずに次の加速へ備えるとともにHSGで発電するなど、走り好きのドライバーの気持ちを掴んだようなセッティングに感心した。逆にエコモードでは積極的にモーターを使い、エンジンの回転も抑えめで、制動時の回生は強めになる。スイッチ操作で電動走行も可能だ。その走りは日本車のハイブリッド・カーに近いが、トヨタのそれよりモーター走行の比率が高く、ホンダや日産の設定に近い。
ルノーらしい素直かつ正確な走り欧州仕様の車両重量は1435kgと、日本仕様のキャプチャーより100kg以上重いのに対し、タイヤ・サイズは215/55R18でキャプチャーと同じだ。ただし、ホイールベースに加えてトレッドも拡大しているので、乗り心地は、ややタイヤがオーバー・サイズな感じもあるキャプチャーに比べると落ち着きが増していた。ハンドリングは、低い位置に駆動用電池を搭載することによる低重心化もあるのだろう、身のこなしは自然で、腰高感はなく、ハッチバックに近い感覚で曲がっていけた。ルノーらしい素直かつ正確な走りっぷりは、ハイブリッドになっても変わらない。環境性能や燃費性能もガソリン車よりレベルアップしている。でもそれ以上に、E-TECHは我々がハイブリッド・カーに抱く懸念をいい意味で打ち破ってくれた。ハイブリッド嫌いのためのハイブリッドになると直感的に思った。
文=森口将之 写真=ルノー・ジャポン(ENGINE WEBオリジナル)
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