2022.01.08

CARS

こんな911を待っていた!! 日本上陸した新型ポルシェ911カレラGTSにタルガ4、ターボSカブリオレとともに乗ってわかったこととは


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村上 さて、こうやって3台乗り比べてみると、想像していた以上に違っていて面白かったね。つまり、992型になって、911の選択肢の幅がまたこんなにも拡がったんだということが良く分かった。

荒井 ターボSカブリオレっていうのは、とにかく全部載せのクルマでしょ。それに対してタルガ4は伊達者のためのクルマ。目を三角にして飛ばすものじゃない。とにかくスポーティな走りを気持ち良く、オシャレに楽しもうという人のためのもの。

村上 だから、とことん走りに振ったGTSとこのタルガ4というのは、ある意味、同じ911の中の最右翼と最左翼だと言うことができる。もちろんGT3なんかが出てくるとまた違うんだろうけれど、カレラ・シリーズの中の右翼と左翼。で、そのカレラの地平とは違うひとつ上の次元にいて、満漢全席みたいに贅沢な材料をすべて載せたのがターボSカブリオレということになる。

荒井 そうだと思いますね。

新井 でも、ターボSはたぶんクーペに乗ったらわかると思うんですけど、性格としてはGTSに近いと思いますよ。柔らかくした時の乗り心地の良さは3台の中で図抜けていたけれど、硬くした時、スポーツ・モードを選んだ時の足の硬さはGTSと大差ないですよ。

村上 いや、大差ないどころか、もっと硬いはずだよ。だって、GTSの480psに対して、ターボSは650psもあるんだもの。もっと硬くなかったら、そんなパワーを受け止められるわけがないよ。それでいながら、柔らかくした時にはタルガ4にも勝る快適性をも持っている。だから、右にも左にも翼をさらに拡げた別次元にいるクルマだと思ったの。

新井 ターボも時代によって右に行ったり左に行ったり、結構振られているけれど、今の992型のターボは硬派の右の方にいる。スペック見るとGTSはターボのシャシーを流用しているんですよ。そういう意味でも共通性はあるのだと思います。



村上 で、まあ、それはともかく、911というのは1963年に誕生した時から、GTカーとスポーツカーの間を行き来するようなものだったわけだけれど、その守備範囲の幅が、ここにきていよいよ拡がってきている感じがするよね。

荒井 GTカーとスポーツカーというベクトルの中でも、さらにGTSはカレラSとGT3の間だというように、どんどん間を埋めて行っているから、すごく間口が拡がると同時に奥行き方向にも延びていると思う。

村上 どんどん懐が深くなり、その懐の中の密度も濃くなって来ているということだよね。

新井 僕は、今回のGTSは、乾いた音も乗り味も含めて、なんだか昔の911に戻っているような気もするんです。992型で最初に出たカレラSやカレラに乗った時には、速くてハンドリングも良くて乗り心地も良くて、もう何の文句もないじゃないと思う反面、ポルシェってこんなのだったっけ、という疑問もどこかで感じていました。ポルシェ濃度がちょっと薄いんじゃないかという感じが、正直にいってあったんです。でも、このGTSはポルシェ味、911味がすごく濃い感じがしますね。

村上 確かに、このGTSに乗って、コレよコレコレ、こういうのを待ってました、という911ファンは間違いなくいるよね。それならGT3に行きなさいよ、という人がいるかも知れないけれど、GT3に比べたらずっと普段乗りに使えるクルマになっているから、その辺はまさに間を埋めてきた感じがある。でもこうなってくると、どの911を選んだらいいか、もちろん買える人の悩みではあるけれど、たとえ買えなくてもどれを自分のイチオシにするか、本当に難しい選択になってきたよね。

新井 僕は今回で決まりました。

荒井 GTSでしょ。

新井 いや、ターボSクーペです。ここまでGTSがすごいんだったらもっと凄いのが欲しくなる。GT3はまだ乗っていないからわかりませんが、今なら一番濃いのはターボSクーペ。マニュアルがいいですね。

荒井 僕はタルガかな。GTSにはサーキットの匂いがする。でも、速さが絶対正義の世界はもういいかなという感じ。それよりタルガで気持ち良く走るのがいいと思います。

村上 僕は今回改めて素のカレラにもう一度乗ってみたいと強く思った。これだけいろいろ出てくると、その原点たるカレラを味わいたくなる。素のマニュアル、乗ってみたいね。

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話す人=村上政(まとめも、以下ENGINE編集部)+荒井寿彦+新井一樹 写真=柏田芳敬



■911カレラGTS
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4533×1852×1303mm
ホイールベース 2450mm
車両重量(車検証) 1510kg(前軸570kg:後軸940kg)
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHCツインターボ
排気量 2981cc
ボア×ストローク 91.0×76.4mm
最高出力 480ps/6500rpm
最大トルク 570Nm/2300-5000rpm
トランスミッション 7段MT
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク(試乗車はセラミック) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/305/30ZR21
車両本体価格(税込み) 1868万円

■911タルガ4
駆動方式 リア縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4519×1852×1297mm
ホイールベース 2450mm
車両重量(車検証) 1690kg(前軸650kg:後軸1040kg)
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHCツインターボ
排気量 2981cc
ボア×ストローク 91.0×76.4mm
最高出力 385ps/6500rpm
最大トルク 450Nm/1950-5000rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク(試乗車はセラミック) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/305/30ZR21
車両本体価格(税込み) 1760万円

■911ターボSカブリオレ
駆動方式 リア縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4535×1900×1301mm
ホイールベース 2450mm
車両重量(車検証) 1730kg(前軸660kg:後軸1070kg)
エンジン形式 直噴水平対向6気筒DOHCツインターボ
排気量 3745cc
ボア×ストローク 102.0×76.4mm
最高出力 650ps/6750rpm
最大トルク 800Nm/2500-4000rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式セラミック・ディスク
タイヤ(前/後) 255/35ZR20/315/30ZR21
車両本体価格(税込み) 3235万円

(ENGINE2022年2・3月号)

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