2022.04.30

CARS

ストリートで楽しむならベストチョイス! マクラーレンGTに5人のモータージャーナリストが乗った【2022年エンジン輸入車大試乗会】

マクラーレンGT

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続いてのインプレッションは斎藤 聡、石井昌道、藤原よしおの3人。その乗り味の快適さは、3人ともに記しているほど印象的なようだ。

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猛烈なパワーをあっけないほどイージーに/斎藤 聡

レーシング・コンストラクターがそのノウハウをすべてつぎ込んで作り上げたロード・カーがマクラーレンだ。その中でもっともロード寄りにセットアップされているのがGTというわけ。モノセルII-Tと呼ばれるカーボンファイバー製のシャシーをベースにしたボディ構造はスポーツ・プロトタイプ・カーのレーシング・カーとほぼ同じ。4リッター V8ツイン・ターボで620ps/630Nmという途轍もないパワー&トルクを発揮するが、それを持て余すことなく受け止めることができるのはこのカーボン製シャシーがあるからこそ。こんなふうに書くと、どれだけ運転するのが難しいのだろうと思われるかもしれないが、その性能から想像すると運転はあっけないほどイージー。乗り心地だってゴツゴツした突き上げなど一切なく、びっくりするくらい滑らか。短いストロークの中で高精度かつ緻密に動くサスペンションがとてもいい仕事をしているという印象がある。ストリートでマクラーレンを楽しみたいなら、GTがベストチョイスだと思う。



乗り心地はソフトでも軟弱なモデルにあらず/石井昌道

マクラーレンのなかではもっとも全長が長く、1泊2日ぐらいの荷物なら十分に収まるラゲッジ・スペースのあるのがGT。スーパースポーツではあるものの、グランドツアラーとしての性能を追求しているのだ。エンジンは低回転域のレスポンスが重視されていて柔軟性に富み、街中から郊外路、高速道路などを流して走るのも得意。スプリングは比較的ソフトで、可変ダンパーもソフトにしていると、乗り心地は抜群にいい。なるほどこれならロングドライブがまったく苦にならないだろう。だからといって少々軟弱なモデルかといえば、まったく違う。右足に力を込めれば吹き上がりは鋭く、8000rpmまで一気。小径ターボでレスポンス重視にしてはあるが、エンジン本体がレーシーであることにかわりないのだ。乗り心地の良さからは想像がつかないほどハンドリングもシャープだ。やはりシャシーが軽量で基本能力が高いから、グランドツアラー仕立てでも一級のスーパースポーツたり得るのだろう。その凄さに脱帽だ。



10年にわたるロードカーの歩みの集大成/藤原よしお

カンナム・マシンに屋根を付けただけのM6 GTでロードカーの世界に進出しようとしていたブルース・マクラーレンが、どのような理想像を描いていたのかは今となっては知る由もないが、マクラーレンGTが10年にわたるマクラーレン・オートモーティブの1つの集大成であることは間違いない。稀代のレーシングカー・コンストラクターであるマクラーレンが速いだけ、すごいだけのスーパーカーを作るのは多分そんなに難しいことじゃない。しかし、快適で気持ちがいい、人の五感に訴える実用に耐えうるクルマとなると話は別。そこがコンストラクターと自動車メーカーの最大の違いだと思うのだが、GTはその命題を見事にクリアしている。

走りっぷりは余裕があって上質で快適。またイタリア勢とは一線を画するアンダーステイトメントな風体は知的でクールでヘルシー。もちろんアクセルに力を込めるとその速さは圧倒的。これなら天国のブルース御大もニッコリ。

スポーツ・シリーズ、スーパー・シリーズ、アルティメット・シリーズというマクラーレンのロードカーは3種類のカテゴリー分けがされていたが、そこへ第4のシリーズとして追加されたのがグランドツアラー的なキャラクターを与えられたGTだ。大きく開くリア・ハッチを備え、ゴルフバッグも収納可能。濃淡を瞬時に切り替えられるエレクトロクロミック・ルーフはオプション設定。

写真=神村 聖(メイン)/茂呂幸正(サブ)

(ENGINE2022年4月号)

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