2022.10.15

CARS

おじさんたちを沸かせる3台のスポーツカー! フェアレディZとは違う、GRスープラ、ポルシェ718ケイマンGTSの走りとは【後篇】

同じ2座クーペ、6気筒エンジンの日産フェアレディZ、GRスープラ、ポルシェ718ケイマンGTSを比較試乗!

全ての画像を見る
頭が重いZ

advertisement


荒井 今回の3台は6気筒エンジンの形式がそれぞれ違うほかに、前後重量配分も特徴的です。9ATの新型Zは前軸920kg+後軸700kg。GRスープラは前軸790kg+後軸740kg。ケイマンGTSは前軸640kg+後軸830kgです。

渡辺 新型Zは頭が重いですよね。まるで昔のセダンみたい。ただ、それが新型Zの優しい乗り味に繋がっていると思う。頭が重いと基本的にきちんと舵が効いて、これだけパワーがあっても乗りやすい。リアからパワーが逃げちゃうところは電子制御で抑えているけれど、ときどきアラが出る。

島下 今回ターボになってすごく重くなった。ボンネットを開けると冷却用パーツが山のようにある。でも、乗ったらすごくちゃんとしてる。舵を切ったときに重いモノがグラリと動くような感じはない。そこはビシッと固めてある。フロント・ヘビーという感じはない。

渡辺 これから筑波サーキットなどを走るようになったりすると、不満が出るかもしれない。でも、それを頭に入れて作ってないのがいい。そういうことをしたい人は勝手にチューニングしてくださいって。

荒井 Zってずっとそういうクルマだった。で、市井の人がいろいろ改造したらとんでもないものが出来上がったりした。

渡辺 それでGT-R(R35)のときは、開発責任者の水野和敏さんがガチガチに固めて手を出せないようにした。

上田 GT-RがあるからZをこういうキャラクターに出来たのかもしれない。

島下 あとで手を入れてくれというよりも、最初から視界から排除していると思う。「ダンスパートナー」というキイワードは本当に上手い。そこにはタイムはもういい、気持ちよく踊ろうという思いがある。

渡辺 その結果、こういう脚になった。いままでの日産ならこんなにしなやかにはならなかった。社内でもいろいろな意見があったみたいですよ。こんなにボディが動いちゃダメだとか。



荒井 高速のスタビリティは素晴らしいけどね。

渡辺 そこは注力した。怖いクルマには絶対にしないと。今回、箱根を走って感じたのはバウンドの収め方が3台それぞれだということ。コーナーの途中にあるバンプを通過したときのボディの収まり方は、Zが一番良かった。スッと一発で収まる。

島下 可変ダンパーだ、新しいシャシーだということが出来ない。だったら街乗りでボディが小刻みに上下するのはあきらめて、コーナリングで怖い思いをさせないということを優先したんでしょうね。

渡辺 ケイマンGTSはちょっと役者が違うというか、使っているパーツにおカネの掛け方が違う感じはしましたね。

島下 ポルシェを作っている人たちはサーキット当たり前、ニュルブルクリンク当たり前ですからね。クルマを作るっていうのはそういうことだと思っている。ケイマンGTSに乗って、改めて感じた。



荒井 新型Zはニュルを意識してないから、ああいう脚になった。そこが愛おしいわけだね。

上田 それにしてもクーペ、2座、6気筒まで同じなのにこんなに違うんですね。

島下 この3台は頭のなかではライバルとして比べるクルマだよね。僕たちもこうして企画したわけだし。でも、実際に買うことになったら、違い過ぎて迷わないかもしれない。好みがハッキリわかれる。

渡辺 でもこうして並んだなかで、500万円台なかばから新型Zは買えるんだからすごい。日本人は幸せですよ。

▶「ポルシェのおすすめ記事」をもっと見る

語る人=島下泰久+渡辺敏史+荒井寿彦(ENGINE編集部/まとめ)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=神村 聖



■ポルシェ718ケイマンGTS 4.0
駆動方式 ミドシップ縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4405×1800×1285mm
ホイールベース 2475mm
車両重量 1470kg
エンジン形式 水平対向6気筒DOHC
総排気量 3995cc
最高出力 400ps/7000rpm
最大トルク 430Nm/5500rpm
変速機 デュアルクラッチ7段自動MT
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション 後 マクファーソン・ストラット/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 235/35R20 265/35R20
車両本体価格 1113万円(テスト車は1452万8000円)

■日産フェアレディZバージョンST
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4380×1845×1315mm
ホイールベース 2550mm
車両重量 1620kg(9段AT)
エンジン形式 V型6気筒ツインターボ
総排気量 2997cc
最高出力 405ps/6400rpm
最大トルク 475Nm/1600~5600rpm
変速機 6段MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 255/40R19 275/35R19 265/35R20
車両本体価格 646万2500円(6MT、9AT同額)

■トヨタGRスープラ
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4830×1865×1290mm
ホイールベース 2470mm
車両重量 1530kg
エンジン形式 直列6筒DOHCターボ
総排気量 2997cc
最高出力 387ps/5800rpm
最大トルク 500Nm/1800~5000rpm
変速機 8段AT
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 255/35R19
車両本体価格 731万3000円

(ENGINE2022年11月号)

◆モータージャーナリストの島下泰久さんの新型フェアレディZの試乗記はコチラ!
日産フェアレディZ、2台同時比較試乗! ズバリ、新型Zは乗ってどうだったのか? 選ぶのはMTかATか? ジャーナリスト島下泰久の答えやいかに

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement