2024.11.19

CARS

法が許す限り、自然吸気エンジンを捨て去るつもりはない! 進化して“S”になったアヴェンタドールはどんなランボルギーニだったのか?

フラッグシップのアヴェンタドールの後を継いだアヴェンタドールS

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【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】ご存じ中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の過去の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2017年4月号に掲載されたランボルギーニ・アヴェンタドールSのリポートを取り上げる。

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フラッグシップのアヴェンタドールの後を継いだアヴェンタドールS。より高性能な進化型となったスーパースポーツ・ランボルギーニの試乗会場となったのは、スペインはバレンシアにあるサーキット。果たして、“S”はスーパーなアヴェンタドールだったのか?

ランボルギーニがその昔使っていた、進化モデルを“S”と名づける手法を復活させてネーミングされた新型。

バレンシア・サーキット(シルクイート・デ・ラ・コムニタート・バレンシアーナ・リカルド・トルモ)に着いても、雨は止んでくれなかった。空はどんよりと曇っている。新型車についての概要説明を受けてから試乗する予定だったのが、いつ天候が悪化するやもしれないという状況のなか、走れる状況にあるうちにまずは乗ってくれ、クルマの説明は後だ、ということになった。訊けば、昨日は大雨で大変だったらしい。

1周4.051km。欧州のサーキットには珍しく、左回り。腕利きインストラクターの操る先導車について走るカルガモ方式で、インラップとアウトラップ込みで4周を3回、あるいは4回、という希望的予定を聞かされた後、早速走り始めることになった。

大きさを忘れさせる身のこなし

慌しく試乗プログラムは始まり、自分の番が回ってきた。ピットレーンに並んだアヴェンタドールSの1台に乗り込む。スウィング・アップ・ドアを跳ね上げると、そこには見慣れたアヴェンタドールのコックピット。敷居は低いけれど、幅が広いサイドシルを跨ぐようにして乗り込み、シートを合わせ、ステアリングホイールの高さと伸長を合わせこむ。自然吸気6.5リッターV12は完全に温まり、リッチな音を吐き出しながらアイドリング状態にある。ドライビング・モードはストラダーレ(公道)、スポルト(スポーツ)、コルサ(レーシング)、そしてエゴ(EGO)。

コックピットの基本造形はそのまま踏襲する。

いきなりなので、まずはストラダーレでスタートする。むずかることLAMBORGHINI AVENTADOR Sなくスムーズに発進。早め早めにシフトアップしていく。V12エンジンは低い回転域も使うことになる。さすがに場所がサーキットだけあって、いかに6.5リッターであっても、これは自然吸気エンジンだから、最初から速いペースで引っ張る先導車についていくにはシフト・ダウンしたくなる。自動変速は時間をかけて滑らかに繋ぐ制御。これまでのアヴェンタドールと同じくシングル・クラッチ式の自動MTだからやむをえない。しかも、クラッチ・プレート径を抑えて締結力を確保するために、レーシング・カーさながらにツイン・プレート式なのだから、それを思えば制御は上手い。



が、走行ラインを教えながらペースを上げるインストラクターについていくには観察している場合じゃないようだ。慌ててモードをスポルトに切り替えて右足を深く踏み込む。と、タイト・コーナーの立ち上がりでお尻がむずかる。フル・ウェット状態の路面とはいえ、まるで後輪駆動の挙動だ。ところが、テール・アウトに備えて身構える間に、自ら姿勢を安定させ、加速していく。何度か繰り返す。テール・アウトさせたければ、もっと踏め、ということらしい。その気がないなら、こっちは前へ進むぞ、というスタンスらしい。

スポルト・モードではシフトアップは素早くなり、より高い回転域で上へ繋ぐ。繋ぐ瞬間にドンッというショックも出る。高出力エンジンのシングル・クラッチ式ではお約束。臆することなく、右足の踏み込み量を増やしていく。コーナーからの立ち上がり加速が速い。トラクション性能がすごい。フロント・アクスルの駆動力負担に頼っている感じがまったくといっていいほどないのに、この前進力。4WDで頑張っていますという感じはさらさらない。



背後でV12が8500rpmの頂へと素晴らしい勢いで淀みなく駆け上がっていく。いかにもランボルギーニの音。フェラーリのように金属音を交えて変調しながら咽び鳴くのではなく、ひたらすらピッチを詰めていく。燃焼音を連想させるサウンドだ。トップ・エンドまで引っ張り上げても、トルクのタレは微塵もない。レヴカウンターを視界の隅にとどめておかないと、自動変速のタイミングを計れない。マニュアル変速するのであれば、なおさらだ。

それにしても、この姿勢を保持する能力の高さときたらどうだ。今の状態で軽く1.8t近いはずなのに、重さを持て余す感じは皆無だ。ボディはひたすらソリッドで、それこそ剛性感の塊。脚が隙を見せて緩むこともない。万全の支えを見せ続ける。全長4.8m、全幅2mの大きさがあるから、人馬一体というわけにはいかないけれど、すべてがタイトに引き締まった感触は、はるかに小さなスポーツカーのそれと変わらない。



だからといって、短時間でポテンシャルを根こそぎ引き出せるような易しいクルマではない。何せ背中には巨大なV12が740psを引き出せるならやってみろと待ち構えているし、最高速度は350km/hだというのだから、とてもじゃないけれど、安易な気持ちで戯れるわけにはいかない。しかも、そういう剛体感の塊のようなクルマを足もとで支える超ワイドなタイヤは、ウェット路面ですら強力なグリップ力を発揮する。何か起これば、それは半端なスピードでのことではないだろう。

そうこうしているうちに1回目の試乗は終わった。次はコルサ・モードも試してみよう。

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