2024.09.14

CARS

2WDと4WD、どっちが本当の911なのか? 世界最高、最速の、ポルシェの絶対テスト・ドライバー、ワルター・ロールに聞いた!【エンジン・アーカイブ「蔵出しシリーズ」】

911の味を決める絶対的なテスト・ドライバー、ワルター・ロール氏。

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2WD+MTはなくならない

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2WDと4WD、PDK付きとマニュアルの911のワルター・ロール的比較論は、じつにオーソドックスなものだった。かれは日常使用の911としてPDK付きのカレラ4Sを持つほか、1992年型の空冷911のカリカリ・ヴァージョンであるカレラRSも所有する。いちばんイージーな1台と、いちばんとんがった1台。それはポルシェ911フリークの夢である。「私がポルシェに加わったとき、私のタイムを100とすれば、ほかのテスト・ドライバーは90とか95までしか走れませんでした。95%のところまでならすばらしいクルマでも、残りの5%のところを使いはじめると、非常にトリッキーになる、ということがあります。911のような究極のスポーツカーにとっては、その5%のところで自在に操れることが大事です」と、ワルター・ロールはいった。911幻想の変わらぬ源泉は、それが「走る性能の究極的結晶である」という普及したイメージだ。だから、4WDを得、PDKを得ても、ポルシェは2WDでマニュアル変速機を持つ911をつくりつづけ、第2、第3のワルター・ロールを必要としつづけるだろう。

62歳の元祖ワルター・ロールはいま、「いちばん好きなポルシェ」というカレラGTを買おうとしている。そして、「そろそろ第一線にいなくてもいいかな、ともおもいはじめているんだ」と付け加え、ちょっとだけセンチな表情を浮かべたのだった。僕は911がまた好きになった。

文=鈴木正文(ENGINE編集部)写真=矢嶋 修 Archive: Fiat, Lancia, Audi, Opel, and Porsche

サンクト・エングルマーの自宅ガレージには、最新のカレラ4Sと、1992年型のカレラRSが収まる。


(ENGINE2009年1月号)

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