2021.01.10

CARS

幻のクンタッチLP500を蘇らせた凄い日本人! スタンツァーニを激愛するランボルギーニ・コレクター

右からランボルギーニ・ウラッコ、クンタッチLP500S、その奥が幻のクンタッチLP500。

全ての画像を見る
乗るのが好き、知識を集めるのが好きなど、スーパーカー好きのカタチは人それぞれだが、開発者に心を奪われてランボルギーニに惚れ込んだのが、この丸森さんだ。その熱量は実車の収集はもちろんのこと、ワンオフのレプリカまで作ってしまうほど熱い。

advertisement


オーラを放つクンタッチLP500レプリカ!


パオロ・スタンツァーニ、そしてマルッチェロ・ガンディーニといえば、1970年代にランボルギーニでさまざまな名作を生み出したコンビだ。スタンツァーニは最終的には、エンジニアであると同時に、ランボルギーニ社のGM(総責任者)として、その経営の第一線を委ねられるに至っているし、一方のガンディーニは、あのミウラ以来、カロッツェリア・ベルトーネのチーフ・スタイリストとして、ランボルギーニにさまざまなデザインを提供してきた。

復元されたLP500のモックアップ。半世紀以上の時を経て蘇った、クンタッチLP500。エポキシとウッドパウダーからなる、エポウッドという素材を使用して、当時の図面どおりに仕上げられている。2018年に開催された、第12回スーパーカー・ミーティング山形にも姿を現し、多くの観客の目を楽しませた。クンタッチLP500はセミ・モノコック構造を持っていたが、後に発売された量産型はスペース・フレーム構造。そのフレームもガレージの壁面に飾られている。


その歴史に残るタッグ、とりわけパオロ・スタンツァーニの偉業を追いかけることを趣味としてきたのが山形県山形市の会社役員、丸森信裕さんだ。氏の趣味は実に多彩で、スーパーカーの収集のほかにも、ギターやオーディオなど、ガレージの上層階にはさまざまな趣味の部屋が作られている。残念ながらどちらの世界にも疎い筆者には、その価値を知る術はなかったが、その道の趣味人にはこちらも相当な品揃えなのだろう。

再び1階のガレージへと戻り、収蔵されているクルマを拝見する。その中で特別なオーラを放つのはガレージの最も奥に置かれたクンタッチLP500のレプリカだ。日本ではカウンタックと呼ばれるが、丸森氏はイタリア語読みのクンタッチを用いている。これはクンタッチのプロトタイプとして製作された後、クラッシュ・テストに供され、すでに実物はこの世には存在しないモデルである。

正真正銘ガンディーニの意思が伝わる本物


丸森氏は5年ほど前にイタリアを訪れたとき、ベルトーネで当時その図面を描いたマリーゴ・ガリッツィオ氏に出会い、図面が手元に残されていることを知ると、その原寸大レプリカを製作してみたい、つまりこれまで一部の関係者しか見たことのない幻のLP500を現代に再現してみたいと瞬時に考えたのだという。しかもその図面にはガンディーニのサインも残る。これは正真正銘、ガンディーニの意思が伝わる本物だ。

イタリア滞在中、丸森氏の胸中はLP500でいっぱいになった。最初は何かのパワートレインと組み合わせて走らせることも考えたが、それではLP500というプロトタイプの辿った歴史には似合わないと思い、当時製作された図面通りの正確なモックアップで行くことを決定。それをガリッツィオ氏に伝えたのは帰路の空港に到着してからのことだったという。ちなみにガリッツィオ氏はベルトーネを退職してから従業員が4人ほどの自身のカロッツェリアを設立しており、作業に何の問題もなかった。LP500プロジェクトの話はまとまったのである。

実際の製作は2016年から2017年にかけて行われた。ボディ素材は、エポウッド、すなわちエポキシ素材にウッドパウダーを混ぜたもの。非常に成型のしやすい素材ではあるが、反面削り過ぎなどの補修は難しい。丸森氏も何回かその製作過程を見学に行ったというが、最大のショックは完成の1年ほど前にマリーゴ・ガレッツィオ氏が亡くなってしまったこと。その後の作業は息子のフラビオが受け継ぐことになった。そして完成したLP500は、2018年に山形市内で開催された、これも丸森氏が主催する「スーパーカー・ミーティング山形」で展示され、大いに注目を集めたのだった。 LP500の背後、壁にかかるスペース・フレームは、量産モデルのLP400以降で使用されたもの。プロトタイプのLP500はセミ・モノコック構造だったが、それが受け継がれることはなかったのである。

LP400以降で使用されたスペース・フレーム。


▶「愛車とガレージ」おすすめ記事をもっと見る

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement