2021.01.10

CARS

幻のクンタッチLP500を蘇らせた凄い日本人! スタンツァーニを激愛するランボルギーニ・コレクター

右からランボルギーニ・ウラッコ、クンタッチLP500S、その奥が幻のクンタッチLP500。

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クンタッチの完成型

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ガレージのセンターに置かれるクンタッチLP500S、そして向かって右隣りのウラッコP250Sも、もちろんパオロ・スタンツァーニが基本設計を生み出した名作であり、マルッチェロ・ガンディーニが美しく、そしてランボルギーニらしい刺激的なボディ・デザイン、インテリア・デザインを実現したモデルだ。

これらに使用された強管スペース・フレームは、その造形の美しさのみならず機能面でもきわめて高い性能を有するものであったと個人的には判断している。その剛性感は同時期に生産されていたフェラーリ製12 気筒モデルのそれを大幅に超えていたとさえ思う。もちろん最終的にその剛性感を生かすのは、当時はタイヤの性能にほかならなかったのだが。

ランボルギーニ・カウンタック LP500S。


そのような事情もあって、ランボルギーニはLP500Sの前モデル、LP400Sでタイヤをピレリ製P7に変更。サイズもアップした。それはLP500Sでも同様で、これでようやくクンタッチも本格的なコーナリング・マシンとしての評価を手に入れたのだろう。丸森氏が自分のコレクションの中で、最も気に入っている1台が、クンタッチLP500Sだと即答した理由も分かるような気がする。スタンツァーニ時代の感触を色濃く残すエンジニアリングと、それが実現する走り、そしてガンディーニのテイストが残るデザイン。この両者が残るクンタッチの最終期こそがLP500Sなのだという。

8気筒ミドシップ2+2のウラッコP250Sも、丸森氏には特別な存在の1台だ。わずか2450mmのホイールベースで2+2のキャビンを実現。しかもV型8気筒を横置きミドシップするという狂気のエンジニアリングは、スタンツァーニ愛が半端ない丸森氏にとっても特別な中でもさらに特別な存在なのだろう。実際に日本各地のイベントに、このウラッコで参加されている姿も良く見かけるし、その様子を見ると使い勝手も悪くはないことが想像できる。1970年代当時、ランボルギーニ創設者のフェルッチオ・ランボルギーニはポルシェ911を超える2+2GTを設計せよとスタンツァーニに命じたというが、多忙を極める中でこのウラッコを生み出した氏の実力と才能たるや素晴らしい。

ガレージの反対側の面には、ロータス・エスプリや、マセラティ・メラックなども置かれていたが、丸森氏によれば、もう少し年を取ったらエスプリでのんびりとドライブを楽しむ生活を送りたいとのこと。ランボルギーニに比べれば、確かに楽なGTかもしれませんが、まだまだそんなことを考えるのは早すぎると思いますよ。1年のうち、かなりの期間は雪に閉ざされてしまう土地柄だけに、来年の春に再びランボルギーニで走り出すまで、自宅でのトレーニングを忘れないでくださいね。

文=山崎元裕(自動車ジャーナリスト) 写真=郡 大二郎


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(ENGINE2020年12月号)

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