2022.01.16

CARS

ナローは名車中の名車! 4台の空冷911と最新の911を所有するオーナーのポルシェの楽しみ方とは


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鈴木さんの911遍歴を振り返ってみよう。最初がまず991。次に久しぶりにMTのクルマに乗りたいと思い、白い964を手に入れた。まずは991との2台持ちだ。ところが譲って欲しいという人が現れ、964はいったん手放してしまう。

「そのテイストがずっと頭から離れなかった。だったら、いっそもっと古かったらどうだろうと思っていた時、あのタルガに出会ったんです」

気軽に乗れる991があっても、クルマは飾って置いておくものじゃないというのが鈴木さんのポリシーだ。とはいえさすがにタルガは暖機が必要で、雨にも濡らしたくない。普段乗れるMTの911を……と、2台目の黒い964を手に入れる。

「タルガも964もまったく普通に乗れますから、だったらキレイに乗りたいじゃないですか。感覚的には靴と一緒だと思っています」



その思いを形にすべく、なんと2台とも内外装、機関は全部一度バラされ、いったんホワイト・ボディの状態にし、再度組み立てられたという。タルガはできうる限りオリジナルの再現にこだわったが、964については少しだけ遊んで、フロント・ウインドウに映り込むダッシュボードをアルカンターラで仕上げ、カーペットからシートまでオフ・ホワイトに変更した。ただし、オリジナルの部品はすべてクルマごとにきちんと保管しているという。ポルシェ自身も同じようにレストアを行っているが、ただ新車の状態に戻すのならともかく、ここまでセンスよく仕上げるのはそうそう簡単なことではない。

964型カレラ2のインテリア&エクステリアはまさに鈴木さんの情熱の賜。艶やかなブラックのボディに対し、オフ・ホワイトの室内のコントラストが美しい。ダッシュボードはアルカンターラが張られている。

もう1台誌面に登場しているアリーナ・レッドの993は、仕事で出かけた海外で偶然見かけ、ピンと来た1台だという。

「黒の964は男が一人の世界に浸るような感じですけど、993は後ろのシルエットがほどよくボリューミーで女性的で、都内のホテルに乗り付けても違和感がないですよね。そうやってシチュエーションごとに使い分けていました」

993が来てまもなく、タルガに続き964もレストアへ。4台所有とはいえ実質991との2台持ちとなった。ところが鈴木さんと911との縁はさらに深まっていく。992が登場したからだ。991と入れ替えで選んだのはカブリオレ。直線的なテール・ランプの仕上げなどのせいか、やや雰囲気が重く、大きくなったように感じたせいだという。

ホイールは930時代の純正ホイール・デザインをリバイバルした、フックス社製の現代の製品。

「カブリオレの方がクルマ自体の見た目が、軽やかになる気がします。992はカブリオレが一番かな」

かくしてレストア中の2台はさておき、992カブリオレと993のペアで落ち着く……かと思いきや、コロナ禍で停滞した中古車市場に、930ターボの出物が現れてしまった。これもとにもかくにも手に入れ、現在は機関の整備にいそしんでいる。なお、まもなく仕上がるタルガと964と入れ替わりで、993も徹底的にバラされるのだという。

911たちの内外装を担当するガレージ・タカギの高木克之さんや、希少なパーツの手配やクルマの仕上げをアドバイスするクランク東京の林洋一さんと話す時の鈴木さんは、まるでいたずらっ子が新しいおもちゃを手に入れたように楽しげだ。

「これがいいよね、あれに替えたらきっと良いよね、ってそういうのがオモシロイじゃないですか」

速さやパワーにあまり興味が持てず、スペックなどの数字よりも、1つの機械としての魅力に惹かれると自己分析する。

「911って時計みたいだと思うんですよ。空冷は手巻きの機械式で、水冷はクォーツみたい。992になると、もうスマホ。どれも役割があり、良さがある。だけど手巻きの時計って最後まで残るじゃないですか。かたやスマホは新しい方がすべてにおいていい。だから992は乗り換えると思いますが、空冷の4台は手放すつもりはないんです」



その中でもタルガは「ナローは名車中の名車」とぞっこんだ。

「運転していて一番面白い。まさにクルマを操っている、という感覚がある。これが356だと、クラシカルな感じがありすぎる。この時代の911は直感的に操作できるというか……反応が自然で、なにもデフォルメされていない」

さらにもう1つ、建築にも造詣が深い鈴木さんが現在情熱を注いでいるのが、間伐材を用いて建てられるというガレージ。調湿効果が高く、美しい911たちの安住のすみかとなるはずだ。5台がずらりと並ぶ日は、きっともう、間もなくである。

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文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也 取材協力=Crank Tokyo/ガレージ・タカギ

(ENGINE2021年1月号)

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