2021.11.07

CARS

祝007最新作公開! 725馬力V型12気筒のDBSに乗ってアストン・マーティンの世界に浸る

コロナ禍で延期されていた映画『『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が10月に公開されて話題を呼んでいる。劇中でジェームズ・ボンドが乗るクルマといえば、もちろんアストン・マーティンに決まっている。クルマ好きにとってはまさにもうひとりの主人公。そんな組み合わせと同様、アストン・マーティンのクルマ作りにもまったくブレがない。数年前、アストン・マーティンの開発現場に極秘で呼ばれた経験のあるモータージャーナリストの渡辺慎太郎が、DBSスーパーレッジェーラに乗ってアストン・ブランドの魅力をリポートする。

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チーフエンジニアはジャーナリストの言いたい放題にどう答えたのか?


もうたぶん時効だろうから話してもいいと思うのだけれど、数年前にアストン・マーティンの開発現場に呼ばれたことがあった。場所はイタリアにある某メーカーが所有するテスト・コース。ピットにはワールド・プレミアまで1年弱と迫ったDB11をはじめ、開発中のモデルがズラリと並んでいた。当時のアストン・マーティンは、プロダクトのヒエラルキーやコンセプトが曖昧になっていて、さらにメルセデス製のエンジンを初めて搭載することにもなり、外部の意見も参考にしつつ、商品群の整理と再構築を図ろうとしていた。



参集したのは自分以外に、ドイツとイギリスとアメリカからジャーナリストがひとりずつの計4名。みんなが異口同音に言ったのは「個々のプロダクトの明確なキャラクターが分かりにくい」「AMG製V8には独自のチューニングが必要」などだった。要するに前者は「アストン・マーティンのラインナップで、どれが1番エライのか」、後者は「AMG製V8の動力性能やサウンドがアストン・マーティンにまったく合ってない」ということ。そんなジャーナリストの言いたい放題にずっと沈黙を守りつつ、うなずいていたひとりの男が、ようやく口を開いた。チーフ・エンジニア兼ビークル・エンジニアの肩書き(当時)を持つマット・ベッカーだった。

「今後は、ヴァンテージはポルシェ911を仮想敵にしたリアル・スポーツカー、DBSはフラッグシップ、DB11はその両者のブリッジ的な役割というポートフォリオを考えています。AMG製V8に関しては、今日お乗りいただいたものはほとんど素の状態ですが、今後きっちりと手を加えていきますので楽しみにしていてください」

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