2021.11.28

CARS

「現住所はオフロード!」のトヨタ・ランドクルーザーと「まるでスポーツカー!」のメルセデスAMG G63 大人気の2台を国沢光宏が比較試乗!!


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G63の住所は『オンロード』となる。というか前述の通り悪路を走れるようなタイヤや床下の構造じゃない。ハンドリングはスポーツ・モデルそのもの。アクセル開ければテールを沈ませることなく加速し、ハンドルを切るとシャープにフロント・ノーズの向きが変わる。そればかりかシートの形状まで横Gを支えるように変化。G63はSUVの皮をかぶったスポーツカーなのだった。これまた「外し」の美学やオシャレだと思う。

ただ私がGクラスを選ぶのなら、0.1秒も迷わず286psの3リッターのストレート6ディーゼルを搭載するG350dにするだろう。「外し」の美学もいいけれど、そちらはお金持ちに任せておきたい。G350dはゲレンデ・ヴァーゲン本来の姿と言ってよい。滑らかに回るストレート6を愛でつつ、週末毎に山荘を目指す生活って悪くない。G63は豊かなリタイヤ後の生活をイメージしながら、都会で秒刻みの仕事をするような人の「癒やし」です。



ついに絶滅危惧種指定になった!!

参考までに書いておくと、ランクル300もGクラスも絶滅危惧種指定になった。ランクル300の場合、もう販売できる国や地域がほとんどない。世界中で販売されると思っている人も多いようだけれど、欧州市場は厳しいCAFE(企業別平均燃費)規制が施行されており、10km/リッターを切るようなクルマは売れない(売るなら1台あたり100万円以上の燃費未達成ペナルティを払わないとならない)。トヨタに確認してみたら、大半が日本と中東とのこと。

Gクラスは燃費未達反則金を払っても買う人がいるだろうけれど、欧州では燃費の悪いクルマ=毛皮のコートのような立場になってきた。誰からも尊敬されないばかりか、ソフィスティケートを感じさせない人というイメージ。だからこそフランクフルトでモーターショー反対の大きいデモが起きた(今年からミュンヘンに移り内容も電気自動車中心になった)。欧州でも爆音を出しながらG63のようなクルマでアウトバーンをぶっ飛ばせる時代も終わる。



幸い我が国ではそういった世の中の空気になっていない。クルマ好き的には「だからこそ今のウチに乗っておこう!」。加えて考えて頂きたい。Gクラスもランクル300も毎日の移動に使えるようなサイズじゃないと思う。休日用として使うのなら、走行距離だって多くならないだろう。今から買ってもガソリンが普通に買えなくなるカーボン・フリーの2050年まで29年ある。最後の恐竜と楽しく過ごすのもクルマ趣味としちゃ悪くないです。

文=国沢光宏 写真=望月浩彦

■トヨタ・ランドクルーザー GRスポーツ
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4995×1990×1925mm
ホイールベース 2850mm
車両重量 2540kg
エンジン形式 V型6気筒ツインターボ
総排気量 3444cc
最高出力 415ps/5200rpm
最大トルク 650Nm/2000~3600rpm
変速機 10段AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 265/65R18
車両本体価格 868万3950円

■メルセデスAMG G63
駆動方式 フロント縦置きエンジン全輪駆動
全長×全幅×全高 4665×1985×1975mm
ホイールベース 2890mm
車両重量 2530kg
エンジン形式 V型8気筒ツインターボ
総排気量 3982cc
最高出力 585ps/6000rpm
最大トルク 850Nm/2500~3500rpm
変速機 9段AT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 通気冷却式ディスク
タイヤ 275/50R20
車両本体価格 2218万円

(ENGINE2021年12月号)

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