新型ポルシェGT3RSにシルバーストーン・サーキットで試乗!
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安心してフルブレーキングしろ!まさか、この走りがすべてデータロガーとビデオに撮られていて、それをなんとマーク・ウェーバー氏に分析されることになるなんて、思ってもいなかった。だから走行後、部屋で待っていたら、ウェーバー氏がハーイと言って入ってきた時には、本当に腰が抜けそうになった。私の走りを見ながら、「2速、3速、ウンウン」と頷いていたウェーバー氏は、「まあ、いいんじゃないの」と微笑んだ後、「でもね」と言って、データロガーのグラフを拡大して指さした。アクセレレーターを閉じる、ブレーキを踏む、その間に何もしていない時間がある、というのだ。「ここで100m以上もコースティングしているよ」と言われてハッとなった。「アクセレレーターから足を話したら、すぐにフルブレーキング、しかも踏力は今の倍以上強くしないとダメだよ」と言われて、なるほどなぁと思った。
ふつうのクルマだったら、200km/h以上も出ていたら、かなりタメをとらなかったらフルブレーキングなど危なくてできない。その瞬間にスピン、なんてことは、かつてハコのクルマでアマチュアレースに出ていた頃にはよく経験した。しかし、どうやらこのGT3RSはそういうものとはまるで違うシロモノらしい。フロントもリアも、強大なダウンフォースで押さえ込んでくれるから、どんなにフルブレーキングしても、挙動が大きく乱れることはないから安心して踏めということらしいのだ。そのほか、コーナーへの進入角度が浅すぎるから、もっと深く回り込むようにということ、それから、ギアを落とす時に回転数を5000回転だったら常に5000回転付近に保つようにして、急激なトラクションの変化を与えないようにした方がいいとも指摘された。
午後の走行では、そのあたりに気をつけて走って、かなりトップ・スピードも上がったけれど、それでも計8周では、とても走りに開眼したとは言い難い。それが、これ以上は開かないくらいに目を見開くことになったのは、最後にWECにも参戦しているポルシェ・ワークスの現役ドライバーの助手席で同乗走行体験をした時のことだった。アクセレレーターというのは、こんなに最後まで踏み続けるのかというくらいにスロットルを開けているし、こんなに強くブレーキを踏んでも大丈夫なのかと思うくらいにドッカーンとブレーキを踏みつける。何も起こらないわけではない、とんでもない減速Gが助手席の私をも襲ってくるし、コーナリングGのかかり方も半端ではない。細かな修正舵も当てまくっている。さらに、脱輪スレスレまで縁石をまたいでコース幅をいっぱいに使うのにも驚かされた。耐久レースではこんな走りを何時間もするのだとすれば、もうやっていることの次元がまるで違うと思うしかなかった。結局のところ、新型911GT3RSの本当の凄さは、WECドライバーが乗れば恐ろしく速く、私のようなドライバーが乗ってもそれなりに速く、スポーツ走行が楽しめることにあるのだろう。レーシングカーにならないギリギリのところでスポーツカーの領域にとどまっているところが、このクルマの最大の魅力であり、それをあっさりと実現してしまうところに、ポルシェというメーカーの底知れぬ懐の深さがあるのだと思った。▶「ポルシェのおすすめ記事」をもっと見る文=村上政(ENGINE編集部)
◆新型ポルシェ911GT3RS、シルバーストーン・サーキット試乗動画!◆新型ポルシェ911GT3RSを解説した前篇はコチラ!(ENGINEWEBオリジナル)
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