ジープ・ラングラー・アンリミテッド、メルセデスベンツG350ブルーテック、レンジローバー・ヴォーグ、トヨタ・ランドクルーザー70、硬派なクロカン4WDにイッキ乗り!
全ての画像を見る
ワイルドな雰囲気のラングラーまずはジープ・ラングラー。アメリカ車の中で最も優れた悪路走破性を持つとはいえ、基本はオンロード・ユースを重視しているのだろう。街中で走っている限り、3.6リッターV6の余裕あるエンジン・パワーにモノを言わせ、快適である。4輪リジッドのサスペンションを持つため、多少のドタバタ感こそ感じるものの、むしろワイルドな雰囲気で楽しい。ラングラーで極悪路を試したところ、ローレンジを使い丁寧なアクセルワークを心がければ、必要以上の走破性能に感心しきり。というか、今回取り上げた4車種共に、呆れるくらいの能力を持つ。人間が滑って登れないような坂道すらワシワシ走ってしまう。これらのクルマをスタックさせたら、おそらく救援はクローラー付きの車両じゃないと難しい。そんなラングラーが379万円で買えるのだから魅力的だ。性能と価格のバランスも素晴らしいと思う。
我が国代表のランクル70に乗ると、大いにウナる! もはやクラシック・カーだ。4リッターV6エンジンこそ新しい世代だから快適かつパワフルだけれど、サスペンションは基本的に40年前から変わっていない4輪リジッド。耐久性重視のため、サスペンションも動かさない方向(ストロークさせるとダンパーの寿命が落ちる)。当然の如く乗り心地も悪く、ボール&ナット式のステアリングは、ベアリングの精度が悪いため、後述のGクラスより一段と渋い。じゃダメかと聞かれれば、今やこんなに「運転している感覚」を強く味わえるクルマなど無い。マニュアル・ミッションというのも楽しさを倍増させる。本来ならオーストラリアや発展途上国と同じく未舗装路を中心に使いたいクルマだが、残念なことに日本だと活躍の場無し。とはいえ新車でクラシック・カーが買えるのだから、この手のクルマを好む人からすれば辛抱たまらないと思う。単純に趣味の対象として考えたらいいだろう。普通のクルマと全く違うGクラスGクラスに乗ると野蛮な雰囲気に思わずウナる! ボディ・サイズからすればタイトなスペースの運転席は、アップライトなポジション。まるで2階に座っているかの如し。ディーゼル・エンジン搭載モデルのため、始動するやいろんな音が聞こえてくる。そもそもスロットル開度による音質の変化が大きい。「コロコロコロ。グワー! ブホー! ギュワー!」等々(笑)。インパネには3つの駆動力切り替えスイッチなどが並び、普通のクルマと全く違うことをイメージさせます。
驚くのはステアリング・フィール。そもそも重い。ボール&ナット式のためセルフセンタリングが弱く、交差点でハンドルを切ったらドライバーのチカラも使って戻してやらなければならぬ。でもさすがベンツ! どうやったら4輪リジッドのサスペンションでこんなに良い乗り心地を実現出来るんだろう、と思えるほど快適なのだ。しかも3リッターV6ディーゼルときたら、5.5リッターのガソリン・エンジン並のトルクを出す。驚くほどパワフル。参考までに書いておくと、レンジローバーを除く3車種は何でリジッドにこだわっているのかと言えば、モーグルに代表される「片側がストロークして片側が伸びる」ような場合のトラクションが、独立懸架より優れているからだ。ただし副作用として舗装路の乗り心地やハンドリングで厳しくなる傾向がある。ランクル70などは弱点を隠しきれていないが、Gクラスに乗ると、荒れた路面でブルブルした時にしかリジッドを感じさせない。タイしたもんです。滑らかな乗り心地のレンジローバーレンジローバーに乗り換えると、上質さに恐れ入る。今回のヴォーグV6は、3リッター340馬力のスーパーチャージド・エンジン搭載のエントリー・モデル。といってもレンジローバーの特徴を全て持つ。コクピットに座れば、ジャガーを思わせるような木と革の乗用車的なインテリア。走り出すと、滑らかな乗り心地と静粛なエンジン。さすがオフロードのロールスロイスと呼ばれるだけある。
それでいて雨や雪の低温時に曇りを防止するための細いニクロム線をフロント・ガラスの全面に埋め込ませたり、極悪路で繊細なパワー・コントロールをするためにアクセル・ペダルのストロークを長く確保するなど、「ヘビーデューティさ」はキッチリ引き継ぐ。そして相変わらず舗装路での走りときたら抜群である。アクセルを踏めば必要なだけ加速し、ブレーキを踏むと思っただけ減速。ハンドルを切ったら車高のことを忘れてしまうような横Gも出す。この4台、優劣の結論は無い。キャラクターが全く違うからだ。レンジローバーとGクラス。そしてラングラーとランクル70についちゃ価格的に近いけれど、買う人も迷わないだろう。「国沢光宏ならどれを買う?」と聞かれたら即答します。ラングラーのサハラですね。今まで10回くらい真剣に購入を考えましたから。新しいエンジンになってマニュアル・ミッション車が無くなったのは残念でならない。文=国沢光宏 写真=望月浩彦■ジープ・ラングラー・アンリミテッド・スポーツ駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 4705×1880×1845mmホイールベース 2945mmトレッド(前/後) 1570/1570mm車両重量 2020kgエンジン形式 V型6気筒DOHC排気量 3604cc最高出力 284ps/6350rpm最大トルク 35.4kgm/4300rpmトランスミッション 5段ATサスペンション(前) リジットアクスル/コイルサスペンション(後) リジットアクスル/コイルブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスクタイヤ(前後) 245/75R17車両本体価格 379万800円(税込)■トヨタ・ランドクルーザー70バン駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 4810×1870×1920mmホイールベース 2730mmトレッド(前/後) 1555/1460mm車両重量 2120kgエンジン形式 V型6気筒DOHC排気量 3955cc最高出力 231ps/5200rpm最大トルク 36.7kgm/3800rpmトランスミッション 5段MTサスペンション(前) リジットアクスル/コイルサスペンション(後) リジットアクスル/リーフブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前後) 265/70R16車両本体価格 360万円(税込)■メルセデス・ベンツG350ブルーテック駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 4530×1810×1970mmホイールベース 2850mmトレッド(前/後) 1500/1500mm車両重量 2510kgエンジン形式 V型6気筒DOHCディーゼル・ターボ排気量 2986cc最高出力 211ps/3400rpm最大トルク 51.1kgm/1600-2400rpmトランスミッション 7段ATサスペンション(前) リジットアクスル/コイルサスペンション(後) リジットアクスル/コイルブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスクタイヤ(前後) 265/60R18車両本体価格 998万円(税込)■レンジローバー3.0V6スーパーチャージド・ヴォーグ駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動全長×全幅×全高 5005×1985×1885mmホイールベース 2920mmトレッド(前/後) 1695/1690mm車両重量 2340kgエンジン形式 V型6気筒DOHCスーパーチャージャー排気量 2994cc最高出力 340ps/6500rpm最大トルク 45.9kgm/3500rpmトランスミッション 8段ATサスペンション(前) ストラット/エアサスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/エアブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスクタイヤ(前後) 255/55R20車両本体価格 1265万円(税込)
▶エンジン・バックナンバーおすすめ記事をもっと見る
(ENGINE2015年2月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
いますぐ登録
会員の方はこちら